#3 ひとりになりたい。でも、ひとりは寂しい。

今回の禁止ルールは、スパッと切り分ける「壁」を禁止する。
こんにちは。ソラカタチ・ラボです。
「禁じられた空想建築」の第3回、お付き合いありがとうございます。
自分の部屋を思い浮かべてください。真っ先に何をイメージしますか?
おそらく、四方を囲む「壁」ではないでしょうか。
現代の建物は、壁の厚さはだいたい10〜15センチくらい。壁の中身は、柱をはじめ、下地の板、遮音、耐水シート、化粧材など、様々な機能に対応した材料がギュッと重なりあって、壁ができています。なるべく薄いほうが部屋が広くなるので、ありがたい。ということで、ギュギュっと、機能の重なりでできた板の塊で「ここからは私の部屋!」と切り分けているのが、今の私たちの暮らしです。
でも、ふと思ったんです。壁の正体が、ギュッとした材料の重なりの板だとすると、逆に開放したら、どんな姿のイエになるか、空想してみようじゃないですか。
「もし、壁がものすごく分厚くて、スカスカの重なりでできていたら?」
むしろ壁を分厚く、さらに分厚くして、すべて壁の重なりでできた塊に、部屋の穴を穿ってスペースを作ってしまったらどうか。バームクーヘンのような、あるいはキャベツのような「イエ」になりそうです。

キャベツの中の虫になってみる
このイエには、いわゆる「仕切りとしての壁」がありません。
あるのは、何層にも重なった分厚い「層」。
キャベツの葉っぱが幾重にも重なっている様子に似ています。
住人は「層」に、ちょうどいい居場所をくり抜いて潜り込みます。

部屋の中心部は静寂に包まれた寝床に。外側は光と気配が混じり合う書斎に。部屋に立つ場所で、家族との距離感までデザインできるのです。
「部屋を選ぶ」のではなく、分厚い構造体の中に「潜り込んでいく」感覚。 バームクーヘンの層の隙間から、隣の層にいる家族の気配がチラリと見えたり、見えなかったり。 壁でパッキリ分けるよりも、なんだかずっと、お互いの存在を優しく感じられるような気がしませんか?


不揃いなキャベツの形
3つの部屋は、その関係を壁(層)の角度で変えて、不揃いな層にしています。不揃いな層をくりぬいて部屋をつくることで、隣り合う部屋の見通しを変えています。また、3つの部屋の関係性が、そのままイエのカタチになって現れるのも特徴的です。同じ形のキャベツがないのと同じですね。

「究極の隠れ家」
設計者の視点でいうと、これは、ものすごく贅沢なつくりです。
普通の家は「部屋を広くすること」を考えますが、このイエでは部屋と部屋の「何もない隙間」をどう設計するかになります。
「壁はないのに、深く、何かに守られている」
そんな矛盾した安心感。 キャベツの芯に近いほど静かで暗く、外側にいくほど明るく外へつながる。 そんなグラデーションの中を、その日の気分で回遊する暮らし。 効率を求めた四角い箱では、味わえない体験になりそうです。
あなたはどの「層」がお好み?
私たちはいつの間にか、薄い壁で区切られた箱に自分を合わせることに慣れすぎているのかもしれません。
もし、こんな「分厚い隙間の家」があったら。 あなたは、部屋の光が差し込む外側の層で、軽やかに過ごしたいですか? それとも、一番奥の、誰にも見つからない場所で丸くなって眠りたいですか?自分の「心地よい厚み」を見つける旅。より原始的なイエの話でした。
さて、次はどんな「ありえないイエ」を覗いてみましょうか。イエの「出入り口」、「窓」、「壁」と来たので。。。あれですね。(と言いながら考えています。)
【合わせて読みたい】これまでのシリーズもこちらどうぞ。
【合わせて読みたい】空想建築の裏側、成り立ち編もあります。
最後に、「書く」というテーマでも書いてました。
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