J-REITはどこで、いくらから買えるのか|最初に決める3つ
「J-REITを買ってみようか」と思ったとき、いきなり銘柄を探し始めると迷います。
約60銘柄あって、どれもそれらしく見えるからです。
銘柄を選ぶ前に、決めることが3つあります。ここを決めると、候補が一気に絞ります。
その前に:場所と単位
場所は、普通の証券会社です。株を買うのと同じ画面で、同じように注文します。専用の口座は要りません。
単位は、1口。株のような100株単位ではありません。
ただし――
1口あたりの価格は、銘柄によって大きく違います。
数万円台のものもあれば、桁がひとつ上のものもあります。
この差は、過去に投資口分割(株でいう株式分割)をしたかどうかで生まれます。
ここで間違えやすいのが――
❌ 安いから割安
⭕️ 1口の大きさが違うだけ
1口を半分に割れば価格も半分になりますが、中身は何も変わっていません。割安かどうかを見るのは価格ではなくNAV倍率です。
どこで見るか:証券会社の銘柄検索で、「不動産投資信託」または「J-REIT」のカテゴリを見ると一覧が出ます。
決めること① 個別か、ETFか
一番大きな分かれ道です。
銘柄選び
・個別:自分で
・ETF:不要
セクターの偏り
・個別:自分で決める
・ETF:指数に任せる
入る頻度
・個別:年2回
・ETF:年4回が多い
コスト
・個別:売買手数料のみ
・ETF:+信託報酬
このうち、ETFについては知っておくべきことが3つあります。
① 指数は時価総額加重
東証REIT指数は時価総額加重です。
つまり大型銘柄の影響を強く受けます。中身は自動的に均等にはなりません。
「全部に分散している」と思っても、実質は大型銘柄の面が強く出ます。セクターの偏りも自分では直せません。
② 信託報酬がかかる
ETFは運用してもらう商品なので、保有している間ずっと信託報酬がひかれます。個別にはこれがありません。
少額・短期では気にならない水準ですが、長く持つほど積み上がります。
③ 分配金のタイミングが別
ETFの決算月は、中身の銘柄の決算月とは別です。中の銘柄から入ってきた分配金を、ETFが自分のスケジュールでまとめて出すからです。
この話は別の回で詳しく書きます。
REITのETFと個別REIT、何が違うのか|中身を開けて見る
決めること② NISAか、特定口座か
J-REITは新NISAの成長投資枠で買えます(つみたて投資枠ではありません)。
ここでREITならではの点が一つあります。
REITは、リターンの大部分が分配金です。
値上がり益中心の資産と違い、非課税の効き目が毎回の受領時に出ます。
ただし、NISAには見落としやすい注意点があります。
売却で損が出ても、他の利益と相殺できません。
特定口座なら、損を他の利益とぶつけて税金を減らせます。NISAではそれができない。これはREITに限らずNISA全般の話です。
※ 税制の取扱いは制度改正や個別の事情で変わります。枠の金額や対象商品も含めて、必ず金融庁のNISAのページや、ご利用の証券会社の説明をご確認ください。
この話も、別の回で詳しく書きます。
新NISAでJ-REITを買う前に|成長投資枠と分配金の扱い
決めること③ 毎月もらいたいか、年2回でいいか
これが、J-REITならではの話です。
J-REITの多くは、決算が年2回です。株のような四半期ではありません。だから1銘柄だけ持っていると、分配金は年2回しか入ってきません。
そして、決算月は銘柄ごとに違います。
2月・8月 | 3月・9月 | 1月・7月 | …
決算月の違う銘柄を組み合わせれば、受け取る月を分散できます。
これが、よく言われる「分配金カレンダー」の仕組みです。
ただし――
これは受け取るタイミングの話であって、利回りが上がるわけではありません。
月々入ることを優先して、中身の選択が雑になったら本末転倒です。
決算月の調べ方
各投資法人のサイトのトップページに、決算月と次回の分配金予想が書いてあります。
権利落ち日というもの
分配金を受け取る権利を得るには、決められた日までに買って保有している必要があります。
ここで、初めての方が必ずひっかかる落とし穴があります。
権利落ち日を過ぎると、その分だけ価格は下がりやすくなります。
分配金を受け取っても、その分価格が下がれば、手元は増えていません。
「権利取り目的で直前に買って、もらったら売る」という発想は、ここを見落としています。そしてREITは分配金が大きい分、この落ち幅も株より目立ちます。
※ 権利確定の日程やルールは変更されることがあります。実際の日付は、各投資法人の公表や取引所・証券会社の情報で必ずご確認ください。
この話も、別の回で詳しく書きます。
J-REITの分配金カレンダー|権利落ちの仕組みと、自分で作る手順
注文の出し方
注文方法は株と同じで、大きく2つです。
成行
・どういうもの:値段を指定せず、すぐに約定
・向いているとき:すぐ買いたいとき
指値
・どういうもの:値段を指定して待つ
・向いているとき:価格を控えたいとき
J-REITでは、もう一つ覚えておきたいことがあります。
銘柄によっては、出来高(売買の量)が薄いことがあります。
量が薄いと、成行で出したときに思ったより高い値で約定することがあります。
小型の銘柄や、市場が静かな時間帯ではこれが起きやすい。迷ったら指値です。
どこで見るか:証券会社の注文画面にある「板」(値段と数量の並び)。すかすかなら、量が薄いということです。
では、最初の1銘柄をどう決めるか
ここで具体的な銘柄名を挙げることはしません。代わりに、絞り方の軌を置いておきます。
① セクターを先に決める
―― 住宅は小口に分散されて安定しやすい。ホテルは業績に連動して振れる。
② スポンサーの類型を見る
―― 不動産系・金融系・独立系。とっているリスクが違う。
③ 自分の予算で買えるか
―― 1口の価格は銘柄で全く違う。
この3つで絞ってから、指標で確かめるという順番になります。
逆に、利回りだけで並べて上から選ぶのは、一番危ないやり方です。利回りが高いには理由があり、その理由は銘柄ごとに違います。
3つを並べ直す
① 個別か、ETFか → 選ぶ手間をかけるか、まとめて持つか
② NISAか、特定口座か → 非課税を取るか、損益通算を残すか
③ 毎月か、年2回か → 決算月を組み合わせるか、絞るか
この3つが決まれば、「どの銘柄がいいか」ではなく「何を見ればいいか」に進めます。
見るべき指標は6つだけです。見る順番と含めて、別の記事に一枚にまとめました。
J-REITの指標、結局どれを見ればいいのか|6つと、見る順番【総目次】
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■ ご利用にあたって
本記事は、J-REITの仕組みと開示資料の読み方を解説する教育目的のコンテンツです。特定の投資商品の売買を推奨するものではなく、投資助言・代理業に該当する助言を行うものではありません。
・本記事では特定の銘柄名・価格を取り上げていません。取引単位・価格・決算月・権利確定の日程・注文方法の取扱いは変更されることがあります。必ず取引所・各投資法人の公表資料や、ご利用の証券会社でご確認ください。
・税制・NISAの取扱いは制度改正や個別の事情により異なります。本記事は税務に関する助言ではありません。詳細は金融庁・国税庁の情報や、証券会社・税理士にご確認ください。
・情報の正確性・完全性を保証するものではありません。
・投資判断はご自身の責任と判断において行ってください。本記事に基づく損失について、筆者は一切の責任を負いません。
・筆者は金融商品取引業者ではありません。
【保有の開示】筆者は複数のJ-REITを保有しています。
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