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J-REITとは何かを、一番短く|大家さんになるのではありません

J-REITの説明で、よくこう書かれます。

少額から「小口の大家さん」になれます

この説明は、大事なところが抜けています。

大家さんには、なりません。


大家とは、ここが違う

実物の大家になると、次のことが自分で決められます。

  • どの物件を買うか

  • 誰に貸すか

  • 賃料をいくらにするか

  • いつ修繕するか

  • いつ売るか

J-REITでは、この5つをひとつも決められません。

全部を決めているのは、資産運用会社という別会社です。

だからJ-REITを買うというのは、
物件を選ぶことではなく、「どの運用会社に任せるか」を選ぶことです。

これが、この記事で一番伝えたいことです。


なぜ、人に任せる形になっているのか

ここには、仕組み上の理由があります。

J-REITの中身である「投資法人」には、従業員がいません。

会社なのに、働いている人がいない。物件を探す人も、テナントと交渉する人も、修繕を手配する人も、中にはいません。

だから、外に任せるしかない。実際、主に3つの先に分けて任せています。

  • 資産運用会社:物件の売買と運用を決める(一番大事)

  • 資産保管会社:資産を預かる

  • 一般事務受託者:会計・税務・投資主名簿などの事務

このうち、分配金に直接効いてくるのは資産運用会社だけです。残りは、言ってしまえば事務方です。

だからこそ、選ぶときに見るのは運用会社になります。


実態は「会社」です

もう一つ、名前から誤解されやすい点があります。

「不動産投資信託」と呼ばれますが、日本のJ-REITの実体は「投資法人」という会社です。投信のような基金ではありません。

だから、株と同じような仕組みで動きます。

  • 株式:投資口

  • 株主:投資主

  • 株価:投資口価格

  • 配当:分配金

  • 株主総会:投資主総会

取引所に上場していて、株と同じように取引時間中はいつでも売買できます。ここは投信(基準価額は1日1回)と大きく違うところです。

そして取引単位は1口。株のような100株単位ではありません。


投資口価格は、何で動くのか

上場している以上、価格は日々動きます。主な要因は4つです。

① 分配金の見通し ―― 増えそうなら上がりやすい
② 長期金利 ―― 上がると、国債との差(上乗せ分)が縮む
③ 不動産市況 ―― 賃料や物件価格の地合い
④ 需給 ―― 指数に連動する資金の出入り

このうち②が、REITが「金利に弱い」と言われる理由の一つです。分配金が変わらなくても、国債の利回りが上がれば、相対的な魅力は下がります。

※ ただし「金利が上がる=すぐに分配金が減る」ではありません。そこには時間差があり、その長さは数字で見られます。→ 「REITはやめとけ」と言われる理由を、5つに分けてみる


じゃあ、何を見て選ぶのか

「運用会社を選ぶ」なら、見るべきものは物件ではありません。入門の段階では、この3つで十分です。

① スポンサー

運用会社の背後にいる企業です。なぜ見るのか。物件の供給元になるからです。

大きく3つに分かれます。

不動産系
・強いところ:自前で開発しているので、物件を回してもらえる
・気をつけるところ:スポンサーから高く買わされるリスク

金融系
・強いところ:信用力があり、借入の条件で有利になりやすい
・気をつけるところ:物件の供給ルートは自前ではない

独立系
・強いところ:利益相反が小さい
・気をつけるところ:物件は市場から買うしかない

どれが優れているという話ではなく、とっているリスクが違うだけです。

どこで見るか:各投資法人のサイトの「スポンサー」ページ。トップページに必ず書いてあります。

② セクター

何の物件を持っているか。オフィス、物流、住宅、商業、ホテル、ヘルスケア、そして複数を混ぜた総合型。

これで、分配金の振れ幅がかなり決まります。住宅は小口に分散されていて安定しやすく、ホテルは業績に連動するので動きます。

③ 資産規模と物件数

どれだけの規模を、何物件で持っているか。

ただし――ここには落とし穴があります。物件数が多ければ分散している、とは限りません。上位の数物件で大半を稼いでいることが普通にあります。

どこで見るか:決算説明資料の「ポートフォリオ概要」。投資法人のサイトのIRページからPDFで見られます。


決算は、年2回

株と違うところをもう一つ。

J-REITの多くは、決算が年2回です。株のような四半期開示は基本的にありません。

これは2つのことを意味します。

① 分配金も年2回しか入ってこない(1銘柄だけの場合)
② 1回の決算の重みが、株より重い

情報が出てくる頻度が低い分、1回の決算をちゃんと読む価値が大きいとも言えます。

さらに、決算月は銘柄ごとに違います。だから決算月の違う銘柄を組み合わせれば、受け取る月を分散できます。→ J-REITはどこで、いくらから買えるのか


もう一つ、大家と違うところ

実物の大家にはあって、J-REITにはないものがあります。

レバレッジ(借入を使って自己資金を大きく回すこと)を、自分ではかけられません。

もちろん投資法人自体は借金をしています。でもそれは向こうが決めた水準であって、こちらが調節するものではありません。

代わりに、管理も、入居者とのやりとりも、売却の手間もありません。売りたければ、取引時間中にボタンを押すだけです。

この交換をどう見るかは、人によって違います。


まとめ

1. 大家にはならない。物件も入居者も賃料も、自分では決められない
2. そもそも投資法人には従業員がいない。外に任せる形しかない
3. だから選んでいるのは「どの運用会社に任せるか」
4. 実態は会社(投資法人)。上場していて、1口単位でいつでも売買できる
5. 見るのはスポンサー・セクター・資産規模の3つ
6. 決算は年2回。1回の重みが株より重い


次に読むなら

指標の見方をまとめて知りたい方はこちらへ。

J-REITの指標、結局どれを見ればいいのか|6つと、見る順番【総目次】


■ ご利用にあたって

本記事は、J-REITの仕組みと開示資料の読み方を解説する教育目的のコンテンツです。特定の投資商品の売買を推奨するものではなく、投資助言・代理業に該当する助言を行うものではありません。

・本記事では特定の銘柄の数値を取り上げていません。体制・取引単位・決算期の取扱いは投資法人によって異なることがあります。実際の内容は、取引所・各投資法人の公表資料をご確認ください。
・情報の正確性・完全性を保証するものではありません。
・投資判断はご自身の責任と判断において行ってください。本記事に基づく損失について、筆者は一切の責任を負いません。
・筆者は金融商品取引業者ではありません。

【保有の開示】筆者は複数のJ-REITを保有しています。

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