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もしオルカンを持っているなら、もうREITを少し持っています

投信を持っている方に、最初に一つだけ。

もし全世界株式のインデックスファンド(いわゆるオルカン)を持っているなら、あなたはすでに、不動産を少しだけ持っています。

知らないうちに、です。


指数の中に、不動産の株が入っている

全世界株式のインデックスは、世界中の株を業種ごとに分けて持ちます。その業種の一つに、不動産(Real Estate)があります。

そしてその中身のかなりの部分が、世界各国のREITです。アメリカの大型REITや、データセンターを持つREITなどが、指数の一部として含まれています。

つまり――

「不動産には手を出していない」と思っていても、指数を通じて少しだけ持っている。

これが出発点です。

どこで確かめるか:ご自分の投信の月次レポートまたは交付目論見。「業種別構成」のページに「不動産」の行があります。運用会社のサイトからPDFで見られます。


ただし、日本のJ-REITはほぼ入っていません

ここからが本題です。

全世界株式の指数は、国ごとの株式市場の大きさに応じて配分されます。日本株自体の比率がそこまで大きくない上に、その中の不動産、さらにその中のJ-REITとなると、割合はかなり小さくなります。

しかも、含まれている不動産の多くは海外のものです。

この違いは、大きいです。

・オルカンの不動産部分=世界の不動産を、円建てではなく持つ
・日本のJ-REIT=日本の不動産の賃料を、円で受け取る

為替の影響を受けるかどうかも違いますし、分配金が入ってくるタイミングも違います。

「日本の不動産から、円で、定期的に受け取る」をしたいなら、オルカンではその役割を果たせません。


では、別に持つ意味はどこにあるのか

ここで初めて、数字の話になります。入門の記事ですが、この3つだけはここで覚えてください。

① 分配金利回り

分配金利回り = 1口当たりの年間分配金 ÷ 投資口価格

REITを見る人が最初に見る数字です。株でいう配当利回りにあたります。

REITは、一定の要件を満たせば分配金を損金に算入できる仕組みになっています。そのため、利益のほぼ全額を配るのが前提の乗り物です。利益の一部を手元に残す株とは、ここが根本的に違います。

→ この話は別に書きました:株の配当とREITの分配金は、出どころが違います

② イールドスプレッド

利回りの水準を単体で見ても、高いのか安いのかは分かりません。比べる相手が要ります。

イールドスプレッド = 分配金利回り − 長期金利(10年国債利回り)

国債でもらえる利回りに対して、どれだけ上乗せされているか。この差が縮むと、わざわざREITを持つ理由が弱くなります

「金利が上がるとREITは弱い」と言われるのは、一つにはここです。分配金が変わらなくても、国債の利回りが上がれば差は縮みます。

どこで見るか:投資法人は公表しません(価格に依存するため)。JPXの「Jリート・インフラファンドview」や、不動産証券化協会のJ-REIT.jpで、市場全体の予想分配金利回りが見られます。長期金利は財務省や日経のサイトで。

※ 水準は日々動きます。ここに数字を書いてもすぐ古くなるので、探し方だけ渡します。ご自分で一度引き算してみてください。

③ 東証REIT指数

日本のJ-REIT全体の値動きを表す指数です。株でいう日経平均やTOPIXにあたります。

この指数に連動するETFがあるので、個別銘柄を選ばなくてもJ-REIT全体をまとめて持つことができます。ただしこの指数は時価総額の大きい銘柄の影響を強く受けるので、中身は自動的に均等にはなりません。


役割を並べてみる

ここまでを、役割で並べ直します。

対象
・オルカンの不動産部分:世界の不動産(欧米中心)
・日本のJ-REIT:日本の不動産

通貨
・オルカンの不動産部分:現地通貨(為替の影響を受ける)
・日本のJ-REIT:円

受け取り方
・オルカンの不動産部分:基準価額に含む(売らないと現金化しない)
・日本のJ-REIT:年2回の分配金で入ってくる

中身を選べるか
・オルカンの不動産部分:選べない
・日本のJ-REIT:セクターも銘柄も選べる

比率
・オルカンの不動産部分:ごく小さい
・日本のJ-REIT:自分で決められる

どちらが良いという話ではありません。役割が違うだけです。

ただ、「円で、定期的に、不動産から受け取りたい」なら、オルカンだけでは届かない。これだけははっきりしています。


この先、何を見ればいいのか

実際にJ-REITを見始めると、指標が十数個出てきます。NAV倍率、LTV、NOI利回り、稼働率、含み益――。

全部覚える必要はありません。最初は6つで十分です。

見る順番と含めて、別の記事に一枚にまとめました。

J-REITの指標、結局どれを見ればいいのか|6つと、見る順番【総目次】


次に読むなら

この記事の続きは、この順で書いています。

  1. J-REITとは何かを、一番短く|大家さんになるのではありません

  2. 「REITはやめとけ」と言われる理由を、5つに分けてみる

  3. 株の配当とREITの分配金は、出どころが違います

  4. J-REITはどこで、いくらから買えるのか|最初に決める3つ

まとめて読みたい方は、マガジン「はじめてのJ-REIT」に並べてあります。

はじめてのJ-REIT|仕組みと、買う前に知ること


■ ご利用にあたって

本記事は、J-REITの仕組みと開示資料の読み方を解説する教育目的のコンテンツです。特定の投資商品の売買を推奨するものではなく、投資助言・代理業に該当する助言を行うものではありません。

・本記事では特定の銘柄・ファンドの数値を取り上げていません。指数の構成や利回りの水準は常に変動します。実際の数値は、各ファンドの月次レポート・交付目論見や、取引所・業界団体の公表資料をご確認ください。
・税制の取扱いは制度改正や個別の事情により異なります。詳細は国税庁・金融庁の情報や、ご利用の証券会社でご確認ください。
・情報の正確性・完全性を保証するものではありません。
・投資判断はご自身の責任と判断において行ってください。本記事に基づく損失について、筆者は一切の責任を負いません。
・筆者は金融商品取引業者ではありません。

【保有の開示】筆者は複数のJ-REITを保有しています。

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