体験したものだけでは、科学の本論を語ることはできない… それではカントが言いうように、「批判的な解明を何もしないで、僅かな手を加えたもの」になるにすぎません… 連載 超訳プロレゴメナ 187 読書会編129
超訳プロレゴメナ読書会 第十四回から
ディスカション(承前)
池田幸男:
この四つの問いですが、「形而上学の一般」が、第三の問いとなっています。この順序も重要なのじゃないかって思えます。可能な限り不要なものを捨象できるものから先に取り掛かることで、問題を鮮明化すると考えられるからです。
須田隆雄:
その意味でも応用要素が高いものは、無視されていると観ればいいですね。具体例として、応用的なものが採られることもありますが、それでは本論の周りを彷徨いてるにすぎないからですね?
曽根康夫:
体験したものだけでは、科学の本論を語ることはできないって、そういうことなんでしょう。それではカントが言いうように、「批判的な解明を何もしないで、僅かな手を加えたもの」になるにすぎませんからね。
桐川夢見:
そういうことなんだ! だからカントは、四つの問いを掲げる前に、こう書いてるわけなんですね。
一般にはこの可能性にたいして、批判的な解明を何もしないで、僅かな手を加えたものを形而上学と呼んでいる。だがぼくたちは探究の一環としてこの科学の自然的なるものを含んで理解しなければならないのだ。
ここまでのことを対象にするとこの先験的な問題は、次の四つ問いに分けることができる。この先ではこれを、順を追って答えていくことになるだろう。
山際このみ:
でも、抽象度が高いものを突然に掲げられたら、理解できる人はほとんどいないでしょうね! だから、ここまでくるのに、分析と総合について、くどいくらいの文章が続いていたってことなんだろうね。
前島幸太郎:
序説と第1節から第5節までが、それに相当するわけですね。それも、これですべての準備が整ったとは、ぼくには思えないのです。
池田幸男:
たしかにそうかもしれませんが、次回からは第6節に入っていくことにしたいですね。疑問が出てくれば、またここに戻ってくればいいんじゃないのですか?
山際このみ:
いつもの幸太郎と違って、今日はかなり慎重だったね! それだけ、ここには大きな垣根があるのかもしれないね!
前島幸太郎:
たしかにそうだけど、ぼくにはその垣根を乗り越えるつもりです。
いまのぼくには、考えなければならないことが他にもありますから…
桐川夢見:
それって、来々週の学会のことじゃないかしら! 環さんが、なんで先生の学会に同行するかってことが、疑問なんじゃないかしら?
山際このみ:
それは幸太郎だけじゃなく、ここにいるみんなの疑問なんだけど… 夢見ちゃんは知ってるんだね!
桐川夢見:
ええ、そうだけど… 話にすると長くもなるし、際どいところもあるから、今回のまとめの中に、書いておくことにしました。
前回のまとめのなかで桐川夢見のことに触れたが、本人は当初からそれを意識していたのだろう。
