老後のお金が足りない気がする | 老後の暮らしを整える
「親のお金が足りてるのか足りてないのかがわからなくて不安。」
という話を、割とよく聞く。
不安に思っているくらいなら、親に確認すればいいのに、と思うのだけれど、足りないことが判明するのが怖くて、確認できない、という。
少しでも心配なことがあると、すぐに確認して、できるかぎりの手を打っておきたいタイプの私にとっては、心配ごとをそのままにしておくなんて、逆に怖くてできない。世の中にはいろんなタイプのにんげんがいるんだなぁ、と改めて思う。
年金生活に入ったものの、年金だけでは生活費が足りない、ということはそんなに特別なことではないと思う。
そもそも、満額であっても国民年金だけで暮らすのはかなり難しいと思う(単身の場合はなおさら)。
また、厚生年金があっても、年金生活に入ったとたん、サラリーマン時代と比べると収入は減る、というのがふつうのパターン。がくっと減る収入にあわせて、生活をコンパクトにする(収入にあわせた支出でやりくりする)というのは、実際、かなり難しいことだ。
年金をもらい始める65歳なんて、現役世代と変わらないくらい元気だし、まだまだお金も使いたい。
そして、貯蓄があっても油断はできない。貯蓄分をどう使うか?うまくやりくりしなければならない。
自分の寿命はわからないので、取り敢えず平均寿命を参考にする。65歳だったら、ざっくりあと20年(=240ヶ月)、年金で足りない生活費を毎月いくらまで出せるのか?を計算してみよう(たとえ貯蓄が250万円あったとしても、月に1万円しか使えない、という塩な事実が判明)。
医療費や介護にかかる費用など、備えがあればより安心だけれど、心配しだせばキリがない。健康保険や介護保険もあるのだから、あとは自分の手持ちのお金でやりくりする。1日でも長く元気に過ごせるよう、健康第一だ。これは現役時代といっしょだ。
昭和世代のひとたちは、お金がないといいながらも、生命保険にはしっかりはいっていたりするので、年金や貯蓄で生活費が足りない場合、生命保険を解約して、返戻金を生活費にあてる、という奥の手が使える可能性もある。
年金をもらう世代なら、亡くなった後にお金が必要になることといえばお葬式代くらいのはず。
生きてる間の生活費が足りないのなら、お葬式のことなんて気にすることない。(お葬式をしないと誰かに迷惑をかける、とかないわけだし。生きてる間にお金が足りないほうが迷惑。)生命保険の解約については、返戻金の金額や適切な解約のタイミング等、保険会社に相談してみよう。
また、持ち家なら、家を手放す、ということを検討してもいいと思う。使わない物だらけのすごく大きな家におじいちゃんとおばあちゃんがこじんまり暮らしている、というのは、地方ではよく見る光景だ。
生活費が足りないのなら、家(と土地)を売って、公営住宅などに引っ越すのもありと思う。
年齢を重ねるほど、古くて大きな家よりも、コンパクトな家のほうがずっと暮らしやすいと思う。固定資産税や水道光熱費等の維持費もコンパクトな家のほうが出費もコンパクトになる。
家(と土地)の値段次第では、高齢者向けサービス付き住宅への引っ越しなど、選択肢が増えるかもしれない。
にんげん死んでしまえば、家も物もいらなくなる。生きている間にお金がなくて困っているなら、家を有効活用する、というのはぜんぜんありだと思う。
*リバースモーゲージ等、家を担保にお金を作る(借金する)、というしくみもあるけれど、自宅への思い入れを手放したほうが、自由な老後を手に入れられるのでは?と、個人的には思ってしまう。ま、人それぞれ、自分の価値観にあう方法を考えればいいと思う。
また、生活費が赤字なのに、クレジットカードを使っていたら、すぐにデビットカードに切り替えよう。
デビットカードなら、銀行口座の残高がなければ支払いができないので、お金がなくなってしまうとなにも買えない(←ほんとうはこれが当たり前)。
買いたいものが買えないのは悲しいけれど、赤字にはならない。お金がないのに借金をしてしまうほうが、結果的にはもっとつらくなる。(若いときなら死ぬ気で働いて借金一掃、という可能性もあるが、年金ぐらしのひとには厳しいものがある)
トイレットペーパーや食べ物など、生活必需品にも困るようなら、現物支給でサポートしよう(生活必需品でなければ、サポートする必要もない)。お金のサポートは、結果的に、本人が自立するチャンスを阻んでしまうので、できるだけ避けたい。
解約できる保険もない、売れてお金になりそうな家(と土地)もない、貯蓄もない、という場合は、気合いをいれて、働く。どこも人手不足なので、歳をとっていても、仕事はある。
いずれにしても、年金、貯蓄では生活費がまかなえず、他にお金になるものもなにもない、という状態なら、役場の福祉の窓口に相談には行ったほうがいいだろう。
住み慣れた家を引っ越しをしたり、クレジットカードを解約したりなんて、親がかわいそう、福祉の窓口に行けなんてひどい、と思うかもしれない。
でも、冷静になって考えてほしい。赤字のまま、今のままの生活を続けることはできない。
親のお金のサポートしながら、自分の暮らしを守り、自分の老後の準備もできるのか?
両立できるなら、親をサポートしよう。両立できないなら、さぁどうする?
老後のくらしにおいてお金はすごく大事なことなので、一度は家族、親子間で確認をしておいたほうがいいと思う。お金があっても、なくても、どちらにしてもすごく大事なことだから。
理想は年金をもらい始めるタイミング(65歳)で、一度話をしたいところだけど、私自身、親が65歳の時点ではそういう話をする雰囲気ではなかったのも事実。母がおれおれ詐欺に遭って、親のお金の管理を任されてから、父が75歳くらいになって、ようやく、話をしはじめた。
もちろん、こういう話をするときのコミュニケーションの取り方は、よくよく考えて、慎重に、ていねいに。親子の関係性にもよるけれど、親のプライドを傷つけてしまうと、本来の目的を達することができない。改まって話をする、というよりも、年末やお正月などに、カジュアルに話題にするのもいいんじゃないかと思う。
もし親がプライドをふりかざしたとしても、いずれは誰しも年齢を重ねるに従って、体力も、気力も、判断力も落ちていく。誰かの助けが必要なときがやってくる。助けるほうも、助けてもらうほうも、経済状況の共有は必須。お金がなければできないこともあるし、お金があってもできないこともある。
にんげんは全員、やがては老い、死んでゆく。それは「縁起でもないこと」ではなく、「避けられない現実」だ。体力も、気力も、判断力もしっかりあるうちに、家族で整理しておくべきことは、先延ばしせず、きちんと整理しておこう。
私自身、親のお金の管理を預かった後、将来のお金のこと、家のことなどを親と話し合おうとして、なんども拒否られた。それでも挫けずに、少しずつ、少しずつ、しつこく話をし、できることから整理を進めていった。親の気持ちの切り替えも含めて、想像以上に時間のかかるプロセスとなった。ときにイラついたりもしたけれど、これは時間をかける必要があるんだな、と思うようになっていった。
数年かけて(なんどもココロを折れながら)、完璧とはいえないまでも、やるべきと思うことをほぼできたと思う。タイミング的にぎりぎりなことも多く、がんばってよかったと思っている。
親が具合が悪くなったり、生活が破綻したりして、にっちもさっちもいかなくなってからでは打てる手も限られてしまう。もし、75歳の親がお金が足りない!となると、こどももいい年齢になっており、親を助けるのもだいぶしんどくなる。75歳でお金が足りなくなることを、10年前にわかっていたら、打つ手もある。65歳なら、来たるピンチに備えて、まだまだできることがいろいろある。(もっと早ければ、なおいいけど。)
まとめ:
年金生活となった親のお金が足りなそうな気がしたら、勇気を出して、親に確認しよう(怖がって先延ばしにすると、問題が悪化する可能性が大きい)。
まずは年金額と日々の生活費、支出の確認。次に生命保険や車、不動産など、現時点で現金でいくらになるのか?を確認。
年金と貯蓄では赤字、もしくは今後赤字になることが判明したら、暮らしの立て直しをする。引っ越し、クレジットカードの解約等、赤字を増やさない手立てを早急にとる。状況次第では役場の福祉の窓口に相談する。
親が、自分が若ければ若いほど、対処の選択肢は多い。がんばれ!
