灯火杯6th 全作品感想文
先日結果発表を行った、自主企画コンテスト「灯火杯 6th」。
大分空いてしまったので、改めて結果発表はこちらに貼っておきます。
ご参加いただいたすべての作品に対して、御礼を込めて全作品への感想文としてまとめました。
※なお、現在当該noteが非公開となっている方は割愛させていただいています。
灯火杯6th 全作品感想文
①泣かせようとしてくる文章じゃなくていいの|本田すのうさん
気高い意志の物語
「こちらから"泣き"を迎えに行くのはいい。でも無理やり泣かせにこられるのが苦手なんだ。涙をカツアゲされている気分になる。」
ここのフレーズがとにかく共感しかなかったです!
「どうだどうだ」と誘導されるのは嫌いという根っこは、わたしの場合は、自分が主導権を持ちたいんだという想いから来ていると気づかされました。あと、「しゅんでくる」の意味を思わず調べていました(笑)
「涙のカツアゲ」という新しい概念をインストールさせていただくとともに、最後の部分が強く刺さりました。わたしも、内省系のnoteは泣きながら書いているものが多く、きっとそうした狙っていないものこそ、読んでいただいている方に伝わるのだと、思い出させてくれました。
②書けない時は、書けないことを書こうとしているだけなのかもしれない|みくまゆたんさん
「書けない」の正体に切り込む
書けないときは、「本当は書きたくないこと」を無理に言葉にしようとしているのではないか。という部分と、最後の「書けない」という状態は、今の自分が求める水準に、まだ手が届かないだけのこと。の箇所に、ハッとさせられました。
特に後半の「自分の水準にまだ手が届かないだけのこと」というのは、本当にその通りで、それは自分の中に目指している理想像(目標)があるのだと安心させてくれた視点でもありました。
「書けない」状態というのは、色々なパターンがあるとは思いますが、実はかなり大きなヒントが眠っている状態なのかもしれませんね。
④祝われなかった日も。|なつき希さん
静かな船出
「指先でボタンを押した瞬間、
画面がわずかに白く光り、「投稿しました」と表示された。」
確かに実際に文章を書く側の人が行ったことはこれだけなのかもしれません。ですが、それはあくまで仕上げの作業であるとわたしも文章を書く身として知っています。
そんな小さな決意と、まるで笹舟を流れに放つような静かな気持ちを思い出していました。
「最後の一文まで、自分の言葉を信じたこと。」
書き手として、こんなに震えた言葉はないかもしれません。それは、企画応募作品に限ったことではなく、自分の文章における最大の読者は間違いなく自分であり、過去の文章を読む度にその文章を書いていた時の感情を思い出しています。
そして、それは間違いなく自身の感情や想いを最後までどう表現しようか悩み、そして、選んだ「自分の言葉」でした。
仮に自分の外に大きな変化はなくても。自分自身もなぜ書くのか、どういうことをしているのか、改めて俯瞰で見せていただいた気がしました。
初ご参加、ありがとうございました!
⑤いつものダイニングバーで、いつものように祈る|影山さくらさん
お酒の"正しい"飲み方
「昔の夢が叶った理由も、今、小説を書き続けられている理由も、応援してくれる家族と友人たちが存在するからだ。」
最後の部分が眩しく刺さりました。
自分の話で恐縮ですが、わたしはジャンルごとの「〇〇仲間」ばかりです。ですが、それは、特定のジャンルにおける競争相手や協力関係にある友人でしかなく、成績で「ジャッジ」していたのかもしれないと思いました。
また、転職の多さや個人事業主やパラレルワーカーとしての生き方も、少なくとも未だに父の理解は得られていません。
何と言うか、物凄く羨ましかったのと、これこそがわたしが憧れるお酒の飲み方だと思いました。改めて、そうした飲み方ができるように、まずは一緒に飲みたいと思う友人(候補?)を誘ってみたいと思います!
⑥三万文字のプレゼント|小石ゆうべさん
その「灯火」は繋がっていく
「どうしてか分からないが、私はnoteでなら文章を書くことができるらしい。」
ご友人とのお話から始めたnote、少しずつ楽しくなっていくとともに、ご自身の憧れに手を伸ばしていく姿に大きな勇気をいただきました。
わたし自身も、noteを始める当初からまさかこんな形で自分にとって大切なことがどんどん広がっていくとは思いもしませんでした。
そして、ZINEを作るお話も、ご自身もZINEを作るnoterさんの影響で作ってみようとなり、きっとゆうべさんの姿を見て「自分もやってみよう」とまた続く方がいらっしゃるのではと思います。
その踏み出した勇気に励まされる作品でした!
⑦あまねくモノガタラ―に祝福を!|八神 夜宵さん
「物語」が救うのは
いや、たとえ誰にも読まれなかったとしても、それでいいのだ。
なぜなら、モノガタラ―の真の仕事は「読まれること」や「承認されること」ではない。
「その物語を、この世界に確実に存在させること」
が目的なのだから。
文章に限らず、物語を存在させる「モノガタラ―」への賛辞。
この考え方自体に心を掴まれました。最初は「もしもこんなものがあったら」くらいだったかもしれないという投げかけは、うんうんと深く同意していました。
そして、“モノガタラ―の真の仕事は「読まれること」や「承認されること」ではない。「その物語を、この世界に確実に存在させること」が目的なのだから。”の部分もかなり抉られます。
作中の例えでもあるように、レストランやライブステージだったら、心が折れてしまいかねないと思います。ですが、それでも書くのは、やはり、一番自身の文章を読んでいる読者を救いたいからだと、自身の根っこにある気持ちに気付きました。
もちろん、それは商業的にどうなのかと思いますし、当然多くの人に読んでいただきたいですし、評価もしてほしいです。ですが、モノガタラーの優しい嘘が幸せにするのは、まずは自分であってほしいと思うのはワガママでしょうか。
⑧【エッセイ】 毒や皮肉も、変態道も|えむのマイトン | 路地裏で遊ぼうさん
誠実に、正直に
マイトンさんの作品、個人的に圧倒されていました。
「もっと知って欲しい。」
この気持ちを素直に表に出せたことはありませんでした。
ネットリテラシーに気をつけながらも、ちょっと匂わせたいと思うのは、間違いなくこの気持ちです(そうでなかったら、自分の歌を録音などするでしょうか。いや、しない)。
そして、自分のことを知ってもらって、愛してくれる人もいるとしたうえで最後にシビれました。
「そしてあなたのことももっと知りたいと思う。」
実際、メンバーシップメンバーのnoteを読み込み続けてきた姿を知っているからこそ、凄く刺さります。
この飾らない、偽らない等身大のままで、全部さらけ出せるマイトンさんが本当にかっこいいと思いました!
⑨緑豊かなる杜へ|ようさん
思い出をたくさん詰めて、いざ「出発式」へ
この記事を書くことで、ようやく私はひとつの過去の後ろめたさを手放せました。ずっと私はあの出来事を書くことが怖かったから。
外の世界に向かって言葉が届くことに怖さはあるけれど、私は本づくりに挑戦します。これは私の出発式です。
最後の締めくくりを「出発式」としているところが、特に好きです。
旅立ちというか、新しいことに向かって、緊張や不安もありながらしっかりと胸を張っていく姿に強い憧れがあります。
そして、そのときに頼りになるのが、それまでの日々だったり、大切にしてきた要素だと思っています。そうした思い出や想いを一つずつ丁寧に詰めて、いざ迎える出発の日。
そんな姿に、心強く打たれるとともに、エールをいただいたようさんの作品でした!
灯火杯6thの灯火賞受賞作品のため、より詳しい内容はこちらのインタビューnoteにまとめているので、よかったらこちらもぜひ!
⑩3回とも、合格発表に行くのを見送った話(灯火杯参加作)|櫻井とこさん
キラキラに惑わされない
何かを成し遂げるには、目標に向かった地道ながら継続的な努力が必要不可欠だということ。
努力に裏切られることも、残念ながらある。
しかし、積み重ねてきたものがなければ、祝福は訪れない。
ラストの部分に、強く、そして、激しく同意しました。
今の世の中、キラキラした部分だけがどうしてもフォーカスされがちですが、本当に大切なことはそこに至るまでの積み重ねなんだと強く実感したエッセイでした!
⑪【3月9日。】|コッシーさん
ハブとなった物語
灯火杯6thの共催である、アルロン賞を受賞されたコッシーさんの作品。
美容学校を卒業した奥さんのお話なのですが、このnoteをきっかけにコッシーさんの「みくまゆ会 チャレがや企画」にお邪魔するきっかけになりました。
こちらのnoteのなかで、以前録音した3月9日を公開しています。
さらに、アルロン賞の副賞として、アルロンさんが歌う3月9日もコッシーさんに贈呈されたようです!!
まさに「お祭り騒ぎ」を象徴する作品で、わたしも楽しませていただきました!
⑫届かぬ手紙をそれでも書くということ|蒼海 豊さん
確かに残る足跡
ご自身の「再起」についてのお話であり、しっかり今の自分、さらに、読者にもしっかりと寄り添う、蒼海さんの歩みと優しさを確かに感じた作品でした。
「あなたが残した言葉たちは、
未来のあなたの大切なパートナーになることでしょう。」
この部分が特に好きで、わたし自身も自分が過去に書いたnoteにどれだけ勇気づけられたかわかりません。
3年日誌などもそうですが、ともすればそのまま通り過ぎて行ってしまう、「なかったこと」になりかねない日々をしっかりとつなぎ留めておくために、こうして書いているんだなと気づかせていただきました。
⑬さいごだとわかっていたなら。|とわさん
寄せては返す、手放してしまいそうな想い
仮に生き別れとまでいかずとも、人生のなかでもう会わない人はたくさんいる。そんな人との別れを想いながら、どうしても「最期」という漢字変換がずっと頭をよぎっていました。
そして、もう一つ、とても大切なことは、こちら側から「終わり」にすることもできる。そこには様々な想いがまじりあっているような気がしてなりません。
揺蕩う想いのなかでも、細く儚い線でありながらも、しっかりと存在を大切にしようとする想いに胸打たれました。
⑭ありがとうを伝え隊(3/7〜3/13)|なみあさむさん
5th大会の振り返りとともに、灯火杯を拡散いただいたなみあさむさん。
今回の6th大会から、さばくさんの作品のPOPを作ってくださいました!
こういう本のPOPっていいですよねー!
⑮書けなかった日を祝う|喜木凛🌿ブックシェアコーディネーターさん
再発見の物語
いつもワークに参加させてもらっている、りんちゃんこと喜木凛さんの作品。
もうホント毎回主催者の意図を汲んだ「お手本」のような作品を寄せていただいています!
書けた日だけが、書く人の人生ではない。
迷った夜も、立ち尽くした時間も、暮らしのほうを選んだあの瞬間も。
いつか生まれる一行を支える、豊かな土になる。
書きたかったことがあるのに他のことが忙しくて書けない日、わたしも焦って、そして、自分を責めていました。
ですが、本当に辛かったのはそういう日ではありません。特に忙しいとか何かに邪魔されるわけでもなく、「書けた」のに「書けなかった日」。もうこれは自分の「怠惰」以外言い訳できないと思っていました。
ですが、わたしも毎日投稿を1年以上続けて、あるいは、小説を書くようになってわかったことがあります。
りんちゃんの言う通り、それは決して無駄になっていない。むしろ、何度も書き出しや構成を考えては練り直したものが、ふと形になることがある。
まさに、捉え直しの話であり、内省や気づきといった灯火的にど真ん中のテーマのお話でした!
⑯花にあらし|さばくさん
余韻をゆっくりと味わうお話
ぜんぶ軽薄すぎる気がして言うのをやめた。もはや「気にしないで」と返すことさえ負担になりそうだった。
休職体験者としても「後輩」はもちろんですが、「自分がもっとうまくできたのでは」と自分を責めてしまう「先輩」の双方に感情移入してしまい、色々な感情が混ざり合っていました。
ただ、それは決して嫌な気持ちというわけでもなく、かと言って、ロマンチスト的なものでもなく、まさに「花にあらし(風)」でした。
まじめで一生懸命で焦りまくっていた後輩さん。もっと自分のできることがあればと、思い上がりとわかりながら振り返る先輩。先輩が帰ってから送るメール。届かない返信。
それは、多くの場面では「意味がない」と切り捨てられていた日常な気がして。ただ、決してそれが不幸というわけでもなく、次の職場への糧と明るくいう事もできない。ただ、お互いのことをしっかり大切にしたかけがえのない軌跡のように、少なくとも自分は大事にしたいと思いました。
⑰書くひとの誕生日を祝いたいんだ|極夜 / Kyokuyaさん
「おめでとう」を素直に受け取れなくなっている人にこそ、ぜひ読んでほしい
「誕生日おめでとう」が嬉しくなくなってきた日。それでも、誰かの誕生日は祝いたいという自分の気持ちと向き合っていくことで、極夜さんは大切なことに気付きます。
「会えてうれしい、この世にあなたが来たことを感謝したい」
この考え方、とても素敵だなと思いました。
何歳とかじゃなく、誕生日そのものがおめでたいんだ、感謝を伝えたいんだ!という発想が、幸せを伝染させていくようなエネルギーを感じました。
「祝いたいから祝うんだ」と子どもみたいなことを言っていた自分がちょっと恥ずかしくなったので、今後は極夜さんの考え方を勝手に採用させてもらおうと思います。
⑱深夜に謎テンションで、なんか、もう、マジ祝福☆|らいおん🦁さん
深夜の謎テンションは伊達じゃない!!
個人的にらいおんさんのこの作品、かなり好きです!
「小難しいことばかり書いている」でお馴染みらいおんさんが、まるで飲酒配信のような深夜テンションで書かれていることに大興奮です!
特にこの一言から始まる段落以降の勢いが好きすぎるのと、書いてある内容がわかりすぎて、一気に最後まで読みきっていました。
脳内再生。
普段のらいおんさんを知っているだけに、マイトンさんかと見間違いかねないテンション、サイコーです!!
※マイトン、急にお名前出しちゃってすみません💦
⑲【エッセイ】心の接着剤になりたいのかもしれない。|乃井 万之介さん
「人を伸ばす」とは
その中に必ず、壊れかけた心を繋ぎ止めてくれる接着剤があるはずだから。
文中で「接着剤」と表現されているものは、わたし自身がずっと意識してきたことでした。
そして、それはわたし自身も散らばった知識や経験が、一つに繋がったときのひらめきというか、あの最高に知的好奇心がくすぐられる瞬間の虜になっていたからです。
本人の才能や好奇心を呼び覚ます「接着剤」は、植物の根や枝葉のように、一つの大きな幹とそれを繋ぐ大きな筋のようなものをイメージしていました。
⑳声に出して伝えたいから、やっぱり書いてる。|髙塚しいも|5児の母さん
子どもとのコミュニケーションを考え直したくなりました
家族への愛と言うと、やっぱりしいもさんというイメージがわたしは定着していますが、今回は双子くんたちの卒園式のお話です。それぞれがちゃんと自分たちで考えたアウトプットは異なっていて、「こうしなきゃ」みたいなものに囚われていないまっすぐさに感動しました。
「いつもだいじにしてくれてるから、あげる」
特にハッとさせられたのが、お兄ちゃんの言葉です。
思えば、双子くんたちがこれだけ伸び伸びと自身の思うことや趣向を出せるのは、しいもさんたち両親のスタンスや家庭の雰囲気あってこそではないでしょうか。
そして、本人たちも全身で感じています。
「いつもだいじにしてくれているから」
果たして、自分たちの子どもたちはこうやって思ってくれているか、そもそも、自分はちゃんと愛情をちゃんと言動として伝えることができているのか。自身をジャッジする方向で追い詰め過ぎても辛くなるだけでしたが、もっと子どもたちと話そうと思えた作品でした!
しいもさん、いつもほっこりするご家族のお話をありがとうございます!
㉑なんでもない日、おめでとう。|星トラ子さん
書く意味は、きっとある
感想と言いつつ、完全にわたしの主張なのですが、「書く意味はあるよ!」と必死に主張している自分がいました。トラ子さんの作品は小説じゃなくても、何というか「World」があって、ついつい惹き込まれているんですよね。
いつ頃からだろう。そんな正論に苦笑いをするようになったのは。
誰も読んでくれなくても、きっと書かなかったら後悔する。書きたいんだって気持ちや、この気持ちをどうやったらうまく書けるんだって気持ちを忘れようとしたら、きっと自分で自分を責めてしまう気がします。
「後悔しないようという言い方がネガティブすぎるなら、自分が胸を張っているために、自分が追い求めるんだ」と、勝手に反論しながら、自身を鼓舞している自分がいました。
㉒そしてこの記事が生まれたってワケ!【#灯火杯6th応募作】|暁野スミレさん
書こうとしたこと、書いたことに祝福を
書くことも、同じように捉えられたらもっと楽になるのに。
誕生日は迎えたことを祝ってもらえる。それと同じように書くことも、完結や出来とかではなくて、書こうと思ったことや書いたことそのものを認められてもいいのではという、スミレさんの何気ないつぶやきが刺さりました。
わたしたちは、どうしても評価社会のなかでの基準で考えてしまいがちです。
確かに、商業的な目線であればそれらは当然だとは思いますし、改善意欲がなくただ自己満足でやるというのも違うのかもしれません。
ですが、誹謗中傷などは別として、本質的には書きたいと思って書いたことそのものは、誰に否定されるわけでもないと改めて強く思わせられた作品でした。
あとがき
今回、プライベートでバタバタしてしまい、結果発表からかなり時間が空いてしまって大変恐縮です。
ただ、この半年ほどの動きは自身としても、かなり大きな気づきをたくさんいただいた期間となり、Rebootのタイミングとして自身のことを見直すきっかけにも繋がりました。
※何があったかは、直近のnoteでそれぞれ詳しく書いているので、よかったら読んでいただけたらと思います。
そして、創作大賞が一段落したタイミングで、今年もやりますよ!
灯火杯 夏。次は7回目の7thとなります!
過去の灯火杯マガジン整理と並行して進めていきますので、続報をご期待ください!
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