寺田和代「本と歩く アラ還ヨーロッパひとり旅」 第5回 イタリア・ナポリ篇(5)
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(5)アルテカードから始まるナポリ歩き
翌朝、カーテンから差し込む光で目がさめる。晴天だ。となれば漠然と考えていた通りポンペイ遺跡に足を伸ばそう。
そうと決めたらアルテカードartecardの準備だ。ナポリ観光局が発行するウェブ上の観光パスのことで、主な史跡・美術館・博物館などの入場券や公共交通乗り放題などがセットされている。エリアや日数別の数種類の中から、ナポリ市内を含むカンパニア州内2ヵ所の施設入場料とその往復交通費をカバーする「カンパニア州内3日2ヵ所券」41ユーロ(2024年10月時点)を選んだ。入場無料特典はポンペイ遺跡と以前から行きたかった国立考古学博物館で使うつもり。世知辛い話だけど、この2ヵ所の合計入場料だけでパス代金の元をとれる(ポンペイ22ユーロ+博物館20ユーロ)。そこに交通費が加わったら……購入一択だ。
ところがここで思わぬ一難。さくさくと購入操作を始めたものの途中からどうしても先に進めない。歪んで表記される数字群を正しく読んで打ち込むプロセスで何度やり直してもエラーになってしまう。キツネにつままれた気持ちで40分近くも立ち往生。心のどこかに、旅先でいつ体調に異変をきたしてもおかしくない年齢だという不安があるせいで、よもや脳梗塞でもおきて目がおかしくなったのかとドキドキする(さいわい何ごともなかった)。
こうなったらウェブパスは諦め、ナポリ中央駅にただ1ヵ所あるらしい紙の切符売り場まで赴かなきゃダメか。やさぐれてスマホをぶん投げようとした寸前にふっと画面が切り替わり、そこから先は問題なく進行して購入完了。ポンペイの神々に遊ばれたのか、小さく呪われたのか。

綿コートに、首元のクーフィーヤは旅先でパレスチナ支援デモに遭遇したら参加しようと持参した
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