#11|熱中症の危険なサインを見逃さない──重症化を疑う症状
熱中症シリーズ
〜命を守る完全ガイド〜
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熱中症から命を守る
知らなかったでは済まされない、
予防・後遺症・暑さに備えるカラダづくり
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第2章|熱中症の症状を知る
#11|熱中症の危険なサインを見逃さない──重症化を疑う症状
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「なんだか受け答えがおかしい。」
「呼びかけても、反応が鈍い。」
「まっすぐ歩けない。」
「突然、けいれんした。」
「カラダが異常に熱い。」
こんな状態が見られたとき、
「少し休ませれば大丈夫かな。」
「水を飲ませて、もう少し様子を見よう。」
そう判断してはいけない場合があります。
これらは、命に関わる重症化のサインかもしれません。
放置すると、自分で助けを求めることさえ難しくなる場合があります。
前回の記事では、
めまい。
立ちくらみ。
大量の発汗。
こむら返り。
頭痛。
吐き氣。
倦怠感。
など、熱中症の初期に現れやすい症状についてお伝えしました。
しかし、熱中症が進行すると、
本人だけでは正常に判断できなくなるほど、脳や全身の働きに影響が及ぶことがあります。
ここから先は、
「本人が大丈夫と言っているから大丈夫」
ではありません。
重症化すると、本人よりも先に周囲の人が命を守る場面があります。
◼️|「意識がおかしい」は、特に見逃してはいけない
熱中症で最も注意したいサインの一つが、
意識状態の変化です。
「意識障害」というと、
完全に意識を失って倒れている状態だけを想像するかもしれません。
しかし、実際には、それだけではありません。
たとえば、
・呼びかけても反応が鈍い
・返事はするけれど、受け答えがおかしい
・話がかみ合わない
・ぼーっとしている
・いつもと違う言動をする
・自分がどこにいるのかわからない
なども、
脳の働きに異常が起きている可能性を考えなければならないサインです。
厚生労働省も、重い熱中症でみられる症状として、高体温、意識障害、呼びかけや刺激への反応が鈍い、言動が不自然、ふらつくなどを挙げています。(あんぜんサイト)
つまり、
「意識があるか、ないか」だけを見ればいいわけではありません。
大切なのは、
その人が、いつものように正常に反応できているか。
ということです。
◼️|「本人が大丈夫と言っている」は、判断材料にならないことがある
ここは、とても大切なところです。
熱中症が進行して脳の働きに影響が及ぶと、
本人自身が、
自分の状態を正しく判断できなくなることがあります。
周囲から見れば明らかに様子がおかしいのに、
「大丈夫。」
「まだできる。」
「少し休めば平氣。」
と言うこともあります。
しかし、
受け答えがおかしい。
反応が鈍い。
足元がおぼつかない。
そんな状態であれば、
本人の「大丈夫」という言葉だけで判断してはいけません。
熱中症では、本人よりも先に、
周囲の人が異変に氣づくことがあります。
だからこそ、家族や職場の仲間など、
周囲の人が危険なサインを知っておくことが大切なのです。
家族。
友人。
同僚。
指導者。
周囲にいる人の観察が、とても重要になります。
◼️|まっすぐ歩けない、立っていられない
「ちょっとフラフラする。」
という初期の立ちくらみとは違い、
明らかに足元がおぼつかない。
まっすぐ歩けない。
立っていることが難しい。
カラダをうまく動かせない。
こうした状態も、軽く考えてはいけません。
日本救急医学会の「熱中症診療ガイドライン2024」では、熱中症でみられる症状の一つとして小脳失調も挙げられています。
つまり、
「疲れているだけかな。」
「少しフラついているだけ。」
ではなく、
カラダを正常にコントロールできなくなっている可能性がある
ということです。
無理に歩かせたり、
自力で帰らせたりしないことが大切です。
◼️|けいれんが起きている
けいれんも、見逃してはいけない危険なサインです。
ここで注意したいのは、
前回の記事で取り上げた、
足がつる。
ふくらはぎが痛い。
筋肉が硬くなる。
といった、いわゆる「こむら返り」と、
全身がガクガクと引きつけるようなけいれんは同じではない
ということです。
全身性のけいれんや、意識状態の変化を伴うけいれんが起きている場合には、
重い状態を考えなければなりません。
日本救急医学会のガイドラインでも、熱中症に伴う症状として意識障害や痙攣が挙げられています。
このような場合、
「水を飲めば治るかもしれない。」
と無理に水分を飲ませることも危険です。
意識が十分でなければ、うまく飲み込めず、誤嚥する可能性があります。
厚生労働省も、自力で水が飲めない場合や意識がない場合には、すぐに救急車を呼ぶよう案内しています。(厚生労働省)
◼️|カラダが異常に熱い
もう一つ注意したいのが、
明らかな高体温です。
熱中症では、カラダが熱を外へ逃がしきれなくなることで、体内に熱が蓄積していきます。
そして重症化すると、
皮膚に触れただけでも、
「明らかに熱い。」
と感じるほど体温が上昇することがあります。
日本救急医学会の2024年ガイドラインでは、最も重い熱中症を評価するうえで、深部体温と意識レベルを重要な要素として扱っています。
ただし、
ここで一つ知っておいてほしいことがあります。
熱中症の危険性を、体温の数字だけで判断してはいけません。
家庭で測った体温がそれほど高く見えなくても、
意識がおかしい。
呼びかけへの反応が悪い。
まっすぐ歩けない。
けいれんしている。
といった症状があれば、危険な状態を疑う必要があります。
反対に、
「40℃になっていないから大丈夫。」
と考えることも危険です。
◼️|「いつもと違う」が、大切なサインになる
熱中症の危険なサインは、
必ずしも、
「倒れる。」
「意識を失う。」
という劇的な形だけで現れるわけではありません。
会話がおかしい。
ぼーっとしている。
突然、意味のわからないことを言う。
反応が遅い。
いつもの動きができない。
歩き方がおかしい。
こうした、
「何か、いつもと違う。」
という小さな違和感が、重要なサインになることがあります。
特に、
暑い場所にいた。
炎天下で活動していた。
蒸し暑い室内に長時間いた。
運動や仕事をしていた。
という状況で、このような異変が見られたら、
熱中症の可能性を考えてください。
◼️|危険なサインがあったら、「様子を見る」から行動を切り替える
ここまでの記事で、
熱中症は軽い症状から始まることがあるとお伝えしてきました。
だからこそ、
初期症状の段階で氣づいて対処することが大切です。
しかし、
意識がおかしい。
呼びかけへの反応が悪い。
異常な言動がある。
まっすぐ歩けない。
全身のけいれんがある。
カラダが異常に熱い。
こうしたサインが現れている場合は、
「もう少し様子を見る」段階ではない可能性があります。
特に意識障害やけいれんなどがある場合には、救急要請をためらわないでください。
そして救急車を待っている間も、
可能であれば涼しい場所へ移し、
衣服をゆるめ、
カラダを冷やし始めることが重要です。(都道府県労働局所在地一覧)
具体的な救急要請の判断基準については、#15で詳しく解説します。
応急処置については、第5章で体系的にお伝えします。
◼️|熱中症では、周囲の人が命を守ることがある
初期の熱中症であれば、
本人が、
「ちょっと氣分が悪い。」
「少し休みたい。」
と異変を伝えられるかもしれません。
しかし重症化すると、
その「自分で助けを求める力」そのものが失われていくことがあります。
だから、
熱中症は本人だけの問題ではありません。
隣にいる人が、
「何かおかしい。」
と氣づけるか。
「大丈夫?」で終わらず、反応を確認できるか。
危険だと思ったときに、行動できるか。
その判断が、
重症化を防ぎ、
命を守ることにつながります。
◼️|今日から覚えておいてほしいこと
熱中症で覚えておいてほしいのは、
倒れているかどうかだけではありません。
意識がおかしい。
呼びかけへの反応がおかしい。
言動がおかしい。
まっすぐ歩けない。
全身のけいれんがある。
カラダが異常に熱い。
こうしたサインが見られたら、
「休めば治るだろう。」
「本人が大丈夫と言っているから。」
と、そのまま様子を見続けないでください。
熱中症では、
本人が危険を判断できなくなることがあります。
だからこそ、
周囲の人が氣づく。
周囲の人が判断する。
周囲の人が行動する。
それが命を守ることがあります。
|まとめ
熱中症は、初期の段階では、
めまい、立ちくらみ、頭痛、吐き氣、倦怠感などから始まることがあります。
しかし進行すると、
意識状態の変化。
呼びかけへの反応低下。
異常な言動。
歩行や運動の異常。
けいれん。
高体温。
など、より危険なサインが現れることがあります。日本救急医学会のガイドラインでも、意識障害、痙攣、小脳失調、高体温などが熱中症でみられる症状として示されています。
大切なのは、
「倒れていないから大丈夫」と考えないこと。
そして、
「本人が大丈夫と言っているから大丈夫」と考えないこと。
いつもと違う。
反応がおかしい。
行動がおかしい。
そう感じたら、
その違和感を軽く考えないでください。
熱中症は、
危険なサインを知っている人がそばにいることで、救える命があります。
知識は、
自分を守るためだけのものではありません。
大切な人の異変に氣づき、
早く行動することが、命を救うことがあります。
今日の記事で学んだ危険なサインを、
ぜひ、自分だけでなく、大切な人を守る知識として覚えておいてください。
|次回予告
次回は、
#12|汗が出ない?汗が止まらない?──汗の変化からわかること
をお届けします。
熱中症では、
「汗が止まらない。」
「急に汗が出なくなった。」
そんな変化が起こることがあります。
しかし、
汗だけで熱中症の重症度を判断することはできません。
汗は何を教えてくれるのか。
そして、
汗だけではわからないことは何なのか。
次回は、熱中症と汗の関係を正しく理解していきます。
|参考・出典
・日本救急医学会
「熱中症診療ガイドライン2024」
・環境省
「熱中症環境保健マニュアル」
・厚生労働省
「熱中症が疑われる人を見かけたら 応急処置」
・厚生労働省
「職場のあんぜんサイト 熱中症」
※本記事の内容は、執筆時点で公的機関が公表している情報をもとに作成しています。
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