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年末調整の改正はいつから|施行は12月1日。経理が秋に押さえる変更日

    今年の年末調整は、去年と違います。
    ただし、11月までは何も変わりません。

    10月に給与計算をしていて何も変わらないのは、正常です。
    異常ではありません。
    変更は12月に、まとめて来ます。

    この記事では、経理と給与の担当者が秋のうちに押さえておく変更日を扱います。
    年末調整の施行日、法定調書を紙で出せる枚数、そして税額がゼロでも出す新しい申告の3つです。

    どれも別の制度で、別のページに書かれています。
    担当者から見ると、別々に降ってきます。
    最後に、日付順に並べ直します。

    先に、調べていていちばん意外だったことを2つ書いておきます。

    1つ目。
    法定調書を紙で出せるかどうかは、今年の枚数では決まりません。
    前々年の枚数で決まります。
    つまり2027年1月の出し方は、2025年1月に何枚出したかで、すでに確定しています。
    今から減らしても変わりません。

    2つ目。
    新しくできた防衛特別法人税は、税額がゼロでも申告書を出します。
    国税庁は、別表のどの欄に「0」と書いて出すかまで指定しています。

    この記事は、国税庁の「令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について」、タックスアンサーNo.1199・No.7400・No.7455、「法定調書(源泉徴収票、支払調書)の作成と提出」、「防衛特別法人税に関する納付手続等について」、リーフレット「防衛特別法人税が創設されました」、国税庁 e-Tax のお知らせをもとに、2026年9月12日時点の内容にしています。個別の会社にどう当てはまるかは、所轄の税務署か顧問の税理士にご確認ください。


    年末調整が変わるのは、12月1日から

    国税庁が、施行日と適用範囲をはっきり書いている

    まず、公式の資料を見ます。
    国税庁のページに、今年の改正について次のように書かれています。

    令和8年度税制改正により、所得税の基礎控除の引上げ、給与所得控除の最低保障額の引上げ及び扶養親族等の所得要件の改正等が行われました。

    そして、いつからかが続きます。

    これらの改正は、原則として、令和8年12月1日に施行され、令和8年分以後の所得税について適用されます。

    12月1日です。

    さらに、実務にどう効くかまで書かれています。

    このため、令和8年12月に行う年末調整など、令和8年12月以後の源泉徴収事務に変更が生じます(令和8年11月までの源泉徴収事務に変更は生じません。)。

    11月までは変更が生じない、とかっこ書きで明記されています。

    このかっこ書きは、意外に重要です。
    制度改正のニュースを見た担当者が、慌てて毎月の源泉徴収を直してしまうことがあります。
    今回はその必要がありません。

    準備できるのは、10月と11月の2か月だけ

    11月まではこれまでどおりで、12月の年末調整で一気に精算します。

    逆に言えば、11月まで何も起きないので、準備しないまま12月を迎えることになります。
    そして12月は、経理がいちばん忙しい月です。

    準備する期間は10月と11月しかありません。
    この2か月に何も起きないことが、この改正のいちばんの難所だと思います。

    年末調整で配る申告書は、様式が前年分から変わっている

    具体的に何が変わるか。
    ここが実務に直結します。

    同じページに、こう書かれています。

    なお、この改正に伴い、給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼給与所得者の特定親族特別控除申告書兼所得金額調整控除申告書について、前年分から変更しています。

    長い名前ですが、年末調整で従業員に配って書いてもらう、あの用紙のことです。
    前年分から変更されています。

    去年の用紙を印刷して配ると、書いてもらったあとに作り直しになります。
    そして、この用紙は従業員全員に関係します。
    配り直しは、数十人分の手戻りになります。

    やることは1つです。
    配る前に、今年の様式を国税庁のページから取り直す。

    それだけのことですが、去年のフォルダから印刷するほうが早いので、毎年どこかで起きます。

    基礎控除の金額は、年分で列が分かれている

    もう1つ、見落とされやすい点があります。

    基礎控除の金額は、納税者本人の合計所得金額に応じて段階的に決まります。
    1つの金額ではありません。

    そして、国税庁のタックスアンサーにある表を見ると、年分ごとに列が分かれています。
    令和6年分以前、令和7年分、令和8年分と令和9年分、令和10年分以後の4つです。

    合計所得金額が132万円以下の場合を例にすると、令和6年分以前は48万円、令和7年分は95万円、令和8年分と令和9年分は104万円、令和10年分以後は99万円です。

    令和8年分と令和9年分だけ、金額が違います。

    つまり、今年から2年間の措置があり、そのあとまた変わります。
    今年覚えたことを、そのまま3年後には使えません。
    給与ソフトの設定も、年分ごとに切り替わっている前提で確認することになります。

    同じページには、施行日についての注記もあります。

    (注1) 令和8年分の上記規定は、令和8年12月1日に施行されます。

    もう1つ、準確定申告についての注記も置かれています。

    (注2) 令和8年11月30日以前に、令和8年分の所得税の死亡又は出国に伴う準確定申告書の提出をする方は、令和7年分以前と同様に改正前の基礎控除の金額を適用しますので、令和8年11月30日以前に提出された準確定申告書については、令和8年12月1日以後、更正の請求により改正後の基礎控除の金額を適用することができます。

    12月1日という日付が、実際に境目として働いていることが分かります。

    なお、令和元年分以前は、合計所得金額にかかわらず一律38万円でした。

    (注4) 令和元年分以前の基礎控除の金額は、納税者本人の合計所得金額にかかわらず、一律38万円です。

    段階的に決まる仕組み自体が、まだ新しいものです。
    ベテランほど、昔の感覚が残ります。

    金額そのものは、この記事では表にしていません。
    区分が細かく、1行だけ引くと誤解のもとになるためです。
    原典を開いてください。

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    法定調書が30枚あると、紙では出せなくなる

    100枚から30枚へ。切り替わるのは2027年1月1日

    1月末に税務署へ出す書類があります。
    源泉徴収票や、税理士に払った報酬の支払調書。
    まとめて法定調書と呼ばれるものです。

    これまで、多くの中小企業は紙で出してきました。
    枚数が少ないからです。

    その基準が下がります。
    国税庁のタックスアンサーに、こう書かれています。

    法定調書の種類ごとに、前々年の提出すべきであったその法定調書の提出枚数が「30枚以上」(令和8年12月31日以前に提出する法定調書については「100枚以上」)であるものについては、インターネットを利用したe-Tax(国税電子申告・納税システム)を使用して送付する方法、光ディスク等(CD、DVDなどをいいます。以下同じ)を使用して提出する方法または国税庁長官の認定を受けたクラウドサービス等(以下「e-Tax等」といいます。)による提出が必要です。

    長いので、分解します。

    基準は30枚以上になります。
    ただし、令和8年、つまり2026年の12月31日以前に提出するものは、これまでどおり100枚以上です。

    言い換えると、次の1月、2027年1月に出すものから30枚基準になります。

    そして、30枚以上に当たる場合、選べる出し方は3つです。
    e-Tax、光ディスク等、認定を受けたクラウドサービス等。

    書面は、この3つに入っていません。

    判定に使う年は、もう終わっている

    ここが、この章でいちばん伝えたいところです。

    枚数は、今年の枚数で判定するのではありません。
    前々年です。

    同じページに、具体例が載っています。

    例えば、令和7年1月に提出すべき「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」の枚数が「30枚以上」であった場合には、令和9年1月に提出する「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」はe-Tax等により提出する必要があります。

    令和7年1月、つまり2025年1月に出した枚数で、2027年1月の出し方が決まります。

    2025年1月は、もう1年半以上前です。

    つまり、義務がかかるかどうかは、すでに確定しています。
    今から取引先を減らしても、支払調書の枚数を調整しても、2027年1月の判定は変わりません。

    やるべきことは、減らすことではありません。
    2025年1月に何枚出したかを、いま調べることです。

    判定は、法定調書の種類ごとに行う

    もう1つ、間違えやすい点があります。

    別のタックスアンサーには、こう書かれています。

    なお、30枚以上の判定は、法定調書の種類ごとに行います。

    全部を合計するのではありません。
    種類ごとです。

    源泉徴収票が20枚、報酬の支払調書が15枚、不動産の使用料等の支払調書が5枚。
    合計40枚ですが、どれも30枚に届いていません。
    この場合、義務はかかりません。

    逆に、報酬の支払調書だけで35枚あれば、その種類については義務がかかります。
    他の種類は紙のままでも構いません。

    種類ごとに分かれるので、社内で数えるときも種類ごとに数えることになります。
    合計だけ見ていると判定を誤ります。

    提出期限と、出し方の選択肢

    期限も確認しておきます。

    上記「主な法定調書の提出義務者」の1から6の法定調書は、原則として、支払の確定した日の属する年の翌年1月31日までに提出しなければなりません。

    翌年の1月31日です。
    年末調整が終わって、すぐ来ます。

    出し方は、国税庁のページに6つ並んでいます。
    e-Taxソフトのウェブ版、e-Taxソフト、eLTAX、認定クラウド等、光ディスク等、書面です。

    このうち、e-Taxソフトのウェブ版については、こう説明されています。

    なお、国税庁が提供する「e-Taxソフト(WEB版)」では、報酬等の支払調書や退職所得の源泉徴収票などを、画面上で1件別に入力したり、他のソフトで作成したCSVファイルを取り込んで送信することができます。

    専用ソフトを入れずに、ブラウザで使えるものです。
    1件ずつ画面で入力する方法と、他のソフトで作ったCSVファイルを取り込んで送る方法があります。

    ただし、始める前に準備が要ります。

    初めてe-Taxソフト(WEB版)を利用するには、事前準備が必要です。

    1月31日の直前に始めるものではありません。

    給与支払報告書を市区町村に出せば、源泉徴収票はいらない

    こちらは、枚数とは別の話です。
    知っていると、出す書類そのものが減ります。

    「給与支払報告書」や「公的年金等の支払報告書」は、eLTAX(地方税ポータルシステム)を利用して市区町村に提出することができます。この場合、「源泉徴収票のみなし提出の特例」が適用されるため、「給与所得の源泉徴収票」又は「公的年金等の源泉徴収票」を税務署に提出する必要はありません。

    eLTAXで市区町村に出せば、税務署に源泉徴収票を出さなくてよい、という特例です。

    ただし、同じ段落に続きがあります。

    なお、源泉徴収票と支払報告書を同時に作成・提出することができる「eLTAXでの電子的提出の一元化機能」は令和8年9月をもって終了します。

    令和8年9月、つまり今月です。

    この一元化機能を使って提出していた会社は、次の提出から別の手順になります。
    まず、自社が使っていたかどうかを確かめてください。

    なお、これは電子帳簿保存法とは別の制度です。
    取引データの保存の話ではなく、税務署への提出方法の話です。
    名前が似ているので混ざりますが、根拠になる規定も期限も別のものです。

    電子帳簿保存法のほうは、別の記事で扱っています。
    https://note.com/yunta_fukurou/n/nbe7a8a0cb5de


    税額がゼロでも、出さないといけない申告がある

    防衛特別法人税は、令和8年4月1日以後に開始する事業年度から

    新しい税ができました。
    防衛特別法人税といいます。

    名前だけ聞くと、大きな会社の話に聞こえます。
    実際、税額が出る会社は限られます。

    しかし、申告そのものは違います。

    国税庁のリーフレットに、こう書かれています。

    令和7年3月 31 日に公布された「所得税法等の一部を改正する法律(令和7年法律第 13 号)(令7改正法)」により「我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法(防確法)」が改正され、防衛特別法人税が創設されました。

    続けて、誰がいつからかが書かれています。

    これに伴い、令和8年4月1日以後に開始する事業年度から、各事業年度の所得に対する法人税を課される法人は、防衛特別法人税の納税義務者となり、防衛特別法人税確定申告書の提出が必要となります。

    各事業年度の所得に対する法人税を課される法人、とあります。
    特定の規模や業種で区切られていません。

    3月決算の会社なら、いま進んでいる期が1期目です。
    12月決算なら、次の期からです。

    課される期間については、国税庁の「令和7年度 法人税関係法令の改正の概要」に書かれています。

    法人の各課税事業年度の基準法人税額について、当分の間、防衛特別法人税が課されます(防確法9)。

    当分の間、です。
    終わりの年が決まっている税ではありません。

    年500万円を引いて、残りに4パーセント

    計算の形も確認しておきます。

    各事業年度の所得に対する法人税を課される法人は、令和8年4月1日以後に開始する各事業年度において、所得税額控除など一定の税額控除を適用しないで計算した法人税の額から年 500 万円を控除した金額に4%の税率を乗じて計算した金額を、防衛特別法人税額として申告し、納付することが必要となります。

    差し引く枠が年500万円あります。
    多くの中小企業では引き切れて、税額はゼロになります。

    ゼロと書いて出す。別表の欄まで指定されている

    ゼロだから関係ない、とはなりません。

    (注)防衛特別法人税額が0であっても申告は必要となります。

    そして、どう出すかまで書かれています。

    なお、所得金額が欠損等の理由により基準法人税額が0となる場合や基礎控除額(年 500 万円)の控除により課税標準法人税額が0となる場合であっても、防衛特別法人税確定申告書を提出する必要がありますので、別表一次葉一の「課税標準法人税額の計算」及び「防衛特別法人税額の計算」の各欄を記載し、同表の「防衛特別法人税額」及び「防衛特別法人税額計」の各欄に「0」と記載して提出してください。

    空欄で出すのではなく、「0」と書いて出します。
    ここまで書いてあるということは、迷う人が多いと見込まれているということです。

    法人税関係法令の改正の概要でも、同じことが確認できます。

    ※3 計算の結果、納税額が生じない場合であっても、申告義務は失われないため、いわゆる零申告が必要となります。

    出さないほうが例外です。
    そちらも書かれています。

    (注1) 各事業年度の所得に対する法人税の納税義務がない法人(例えば、公益法人等及び人格のない社団等で収益事業を行っていないものや国内源泉所得を有しない外国法人)や清算所得に対する法人税を課される平成 22 年9月 30 日以前に解散した内国法人である普通法人又は協同組合等については、防衛特別法人税確定申告書を提出する必要はありません。

    収益事業を行っていない公益法人などです。
    普通に法人税を申告している会社は、ここには入りません。

    申告書は一体だが、記載欄は別葉になる

    実務でいちばん効くのは、この一文だと思います。

    なお、防衛特別法人税の申告書は、法人税及び地方法人税の申告書と一体の様式となっています。ただし、別表一及び別表一の二の様式では、防衛特別法人税の記載欄は法人税及び地方法人税の記載欄とは別葉になりますので、提出を忘れないようご注意ください。

    同じ申告書の中にあるのに、紙が別になります。
    「一体だから大丈夫」と思っていると、その1枚が抜けます。

    提出期限は、法人税と同じ考え方です。

    防衛特別法人税確定申告書は、原則として、各課税事業年度終了の日の翌日から2月以内に納税地を所轄する税務署長に提出しなければなりません(防確法 25)。

    法人税の申告期限を延長している会社は、こちらも同じだけ延びます。

    (注2) 法人税確定申告書の提出期限が延長されている場合には、防衛特別法人税確定申告書の提出期限は、その延長された提出期限となります(防確法 25④)。

    中間申告は、1年遅れて始まる

    確定申告と中間申告で、始まる時期が違います。

    (7) 中間申告 令和9年4月1日以後に開始する課税事業年度(※)において、法人税の中間申告書を提出すべき法人は、防衛特別法人税についても中間申告書を提出する必要があります(防確法 21)。

    確定申告が先、中間申告は次の期からです。
    1年ずれています。


    e-Taxの側は、まだ揃っていない

    別表は、段階的にリリースされている

    新しい税なので、e-Taxの側の準備が進んでいる途中です。
    e-Taxのお知らせに、その状況が書かれています。

    令和8年4月1日以後開始事業年度の法人税申告書に係る別表1、別表4及び別表5関係については、 リリース済み(e-Taxに提出可能)となります。その他のリリース前の別表等については、リリースまでの間、イメージデータ(PDF形式)で提出することができます。

    一部はもう電子で出せます。
    まだのものはPDFで出す、という運用です。

    更正の請求は、令和9年1月まで電子データで出せない

    申告を直す手続についても、同じ状況です。

    令和8年8月からイメージデータ(PDF形式)により、e-Tax提出が可能になります。e-Taxによる電子データ(XML形式)提出については、令和9年1月リリース予定となりますので、それまでの間においては、書面又はイメージデータ(PDF形式)により提出いただく必要がありますのでご注意ください。

    納税証明書は、令和9年5月まで書面

    ここは、急に必要になるものなので、先に知っておく価値があります。

    e-Taxによる納税証明書の交付請求については、令和9年5月までの間においては、書面によりお願いします。

    納税証明書は、入札や借入れで急に必要になります。
    これまで電子で取っていた会社が、当日になって書面しか使えないと知ると、間に合いません。

    代理人が請求する場合の様式も変わります。

    なお、e-Taxによる納税証明書の交付請求に際し、作成する電子委任状については、令和9年5月から様式が変更される予定です。つきましては、令和9年5月以降に代理人がe-Taxを利用して納税証明書の交付請求を行う場合は、新様式の電子委任状をご利用くださいますようお願いいたします。

    納付書で払うときの書き方

    金融機関の窓口で納付書を使う会社もあります。
    書き方が指定されています。

    • 税目番号欄:「030」を記載。グループ通算法人の場合は「032」

    • 税目欄:「防衛特別法人税」を記載

    • 納期等の区分欄:対象課税事業年度を記載

    • 申告区分欄:申告等の区分に応じて丸を記載

    • 徴定順位欄:「50」を記載

    毎年やっている作業ではないので、初回は記載例を見ながらやることになります。
    国税庁が記載例のPDFを出しています。


    2026年9月時点の最新状況

    国税庁のページにも、古い表記が残っている

    一次資料にあたると、こういうことも分かります。

    タックスアンサーNo.7455 は、ページの見出しが「法定調書の提出枚数が30枚以上の場合の……提出義務」に変わっています。
    一方、そこへ案内している「法定調書(源泉徴収票、支払調書)」のページでは、リンクの文言が「No.7455 法定調書の提出枚数が100枚以上の場合の……」のままです。
    2026年9月12日に、両方のページを開いて確認しました。

    中身は新しいものが正しく、案内の文言だけが古い形で残っています。

    実務への影響はありませんが、社内で資料を探すときには効きます。
    「100枚」で検索した人と「30枚」で検索した人が、別のページにたどり着くことがあるためです。
    番号で指すほうが確実です。

    PDFで出す期間は、制度ではなく対応の都合

    もう1つ、社内で混乱しやすいのがここです。

    別表のPDF提出も、納税証明書の書面請求も、制度がそう決めているわけではありません。
    システムの対応が追いつくまでの措置です。

    だから期限が「令和9年1月リリース予定」「令和9年5月までの間」という書き方になります。
    制度の施行日とは、性質が違います。

    この期間だけの話だと分かっていれば、慌てずに済みます。
    逆に、制度が変わったと思って社内に説明すると、来年また説明し直すことになります。


    変更日を、日付順に並べる

    制度ごとに覚えるより、カレンダーに並べたほうが抜けにくくなります。

    • 2026年4月1日以後に開始する事業年度:防衛特別法人税の課税事業年度が始まる。3月決算なら、いま進んでいる期が1期目

    • 2026年9月:eLTAXでの電子的提出の一元化機能が終了する。この一覧でいちばん手前の日付

    • 2026年11月まで:源泉徴収の事務に変更はない。国税庁が明記している

    • 2026年12月1日:令和8年度税制改正が施行される。12月の年末調整から関係する

    • 2026年12月31日まで:法定調書を紙で出せるかどうかの基準は、これまでどおり100枚以上

    • 2027年1月1日:法定調書の基準が30枚以上になる

    • 2027年1月:防衛特別法人税の更正の請求を、電子データで出せるようになる予定

    • 2027年1月31日:法定調書の提出期限

    • 2027年4月1日以後に開始する課税事業年度:防衛特別法人税の中間申告が始まる

    • 2027年5月:納税証明書の交付請求が書面に限られる期間が終わる。電子委任状の様式も変わる予定

    • 令和10年分以後:基礎控除の金額が、また変わる

    並べると、性質の違うものが混ざっているのが分かります。

    1つ目、期限が来るもの。
    12月の年末調整、1月31日の提出期限。
    これは毎年あるもので、今年は中身が変わるだけです。

    2つ目、条件が変わるもの。
    法定調書の30枚基準。
    いつ来るかより、自社が該当するかを先に調べる必要があります。

    3つ目、増えるもの。
    防衛特別法人税の申告。
    今までなかった作業が1つ増えます。

    4つ目、システム側の都合で暫定になっているもの。
    PDFでの提出、書面での納税証明書請求。

    このうち、社内でいちばん混乱するのは4つ目です。
    制度が変わったわけではないのに、いつもと違う手順になります。
    理由が「まだ対応していないから」なので、説明しにくい。


    秋のうちに、社内で調べておく3つ

    会計事務所や税理士に頼んでいる会社なら、多くはそちらで進みます。
    それでも、自社で持っておくべきものが3つあります。

    1つ目、自社の事業年度の始まりの日。
    防衛特別法人税がどの決算から関係するかは、これで決まります。

    2つ目、2025年1月に出した法定調書の枚数を、種類ごとに。
    2027年1月の提出方法は、この数字で決まっています。
    会計事務所に頼んでいる場合、控えを持っているのはそちらです。

    3つ目、使っている給与ソフトと申告ソフトの更新予定日。
    これは提供元に聞かないと分かりません。
    12月に入ってから聞くと遅いです。

    聞くのは9月か10月がよいと思います。
    11月は、向こうも忙しくなります。

    この記事で扱わなかったこと

    金額の計算をしていません。
    基礎控除がいくらになるか、防衛特別法人税がいくらになるかは、区分と数字で決まります。

    理由は2つあります。
    1つは、区分が細かく、1行だけ引くと誤解のもとになること。
    もう1つは、公表資料が更新されることです。

    参考・引用元に国税庁のページを並べてあります。
    そちらを開いてください。

    そして、この記事は制度の説明であって、個別の会社への適用判定ではありません。
    うちは対象か、いくらになるか、いつまでに何を出すか。
    この3つは、所轄の税務署か顧問の税理士にご確認ください。


    まとめ

    • 令和8年度税制改正は、令和8年12月1日に施行される。国税庁は、令和8年11月までの源泉徴収事務に変更は生じないと明記している

    • 変更は12月の年末調整からまとめて来る。準備できるのは10月と11月の2か月だけ

    • 年末調整で配る申告書の様式は、前年分から変更されている。去年の用紙を配ると手戻りになる

    • 基礎控除の金額は合計所得金額の区分で分かれ、さらに年分でも分かれる。令和8年分と令和9年分、令和10年分以後で違う

    • 法定調書を電子で提出する義務の基準が、100枚以上から30枚以上に下がる。2026年12月31日以前に提出するものは100枚以上のまま

    • 判定に使うのは前々年の枚数。2027年1月に出すものは、2025年1月に出した枚数で決まっていて、もう変えられない

    • 判定は法定調書の種類ごとに行う。合計ではない

    • 給与支払報告書をeLTAXで市区町村に出せば、税務署への源泉徴収票の提出は不要になる。ただし一元化機能は令和8年9月で終わる

    • 防衛特別法人税は、令和8年4月1日以後に開始する事業年度から申告と納付が必要。当分の間、課される

    • 税額がゼロでも申告書を出す。別表の欄に「0」と記載して提出するよう指定されている

    • 申告書は法人税と一体の様式だが、別表一などでは記載欄が別葉になる。提出を忘れやすい

    • 中間申告は、令和9年4月1日以後に開始する課税事業年度から

    • e-Taxは段階的に対応中で、別表はPDF提出の期間がある。納税証明書の電子請求は令和9年5月まで書面

    秋のうちに調べるのは3つです。
    自社の事業年度の始まりの日、2025年1月に出した法定調書の枚数、ソフトの更新予定日。

    どれも、12月に入ってからでは間に合いません。

    皆さんの会社では、この3つを誰が持っているでしょうか。


    参考・引用元

    年末調整と基礎控除

    法定調書

    防衛特別法人税


    実務で使う書式について

    この連載の内容を、社内でそのまま使える書式にまとめたものを、別のマガジンで公開しています。規程のひな形、対応フロー、チェックシート、報告書式などです。

    実務で使う書式・キット
    https://note.com/yunta_fukurou/m/mfc25857fab40


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    同じ2026年10月に、インボイスの経過措置も切り替わります。
    売り手側の2割特例と、買い手側の控除割合をこちらで扱っています。
    https://note.com/yunta_fukurou/n/n7f4ecbeb1cb7

    取引データをどう保存するかは、別の記事で扱っています。
    電子取引の範囲と、猶予措置の中身をまとめています。
    https://note.com/yunta_fukurou/n/nbe7a8a0cb5de

    CSVで提出するときに起きる事故は、こちらで扱っています。
    先頭の0が消える理由と、壊れないデータの渡し方をまとめています。
    https://note.com/yunta_fukurou/n/n8bb215311d9d

    請求書そのものを電子でやりとりする仕組みは、別の記事で扱っています。
    デジタルインボイスとPeppolの関係をまとめています。
    https://note.com/yunta_fukurou/n/nd073723cd005

    同じ2026年10月1日に動く消費税の経過措置は、別の記事で扱っています。
    8割控除が7割になる日と、その判定が支払日ではなく取引日で決まることを書いています。
    https://note.com/yunta_fukurou/n/n23e9c709e00d

     
     
    Digital Workplace Architect|社内外のIT・AIの導入と運用 IT・AI・セキュリティと周辺機器の「今さら聞けない」を一次情報で解説。書式・キットも。 Amazonのアソシエイトとして、梟 〜GLEANINGS〜は適格販売により収入を得ています。

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