
VW、XPENG協業車の販売が計画を大幅に下回る、中国向けEV、月平均267台、目標の10%未満|世界自動車朝刊2026年10月12日
今日の結論
世界の自動車産業では、電動化への移行をめぐる政策、収益性、商品競争力の関係が大きく変化している。
10月20日、欧州議会の主要3政治会派は、2035年の乗用車CO₂排出削減目標を87.5%へ引き下げる妥協案で一致した。
欧州委員会が2025年に提案した90%削減目標から、さらに緩和する内容である。欧州産の低炭素鋼材を利用した場合の補完措置も盛り込まれた。Reuters
一方、米General Motors(GM)は同日、第3四半期決算を発表した。
売上高は前年同期比2.9%増の500億ドル、調整後EBITは21.6%増の41億ドルとなった。大型ピックアップトラックの販売が利益を支え、EV事業の縮小も収益改善に寄与した。
しかし、原材料費や物流費の上昇に加え、HEVの品ぞろえが乏しいことへの懸念から、株価は下落した。
欧州では規制を緩和し、メーカーの選択肢を広げようとしている。
米国では、GMが収益性の高いエンジン車を中心に利益を確保している。
中国では、Volkswagen Group(VW)が現地企業との技術協業を進めながらも、販売実績を十分に伸ばせていない。
そして電池最大手のCATLは、売上高の急増に対して利益の伸びが鈍化し、大型トラック向けの新しい電池交換事業を拡大しようとしている。
これらの動きは、電動化の技術的な進歩と、事業としての成功が必ずしも一致しないことを示している。
今後の自動車産業では、規制に対応する能力だけでなく、商品を適切な価格で販売し、開発投資を回収し、持続的に利益を確保する能力が一段と重要になる。
1.EU、2035年CO₂削減目標を87.5%へ緩和する案――欧州議会の主要3会派が妥協
欧州議会の主要3政治会派は10月20日、2035年の乗用車CO₂排出削減目標について、従来案をさらに緩和する妥協案で一致した。
Reutersが入手した合意文書によると、乗用車の2035年削減目標を2021年比87.5%とする。
さらに、EU域内で生産された低炭素鋼材を使用することによる7.5%相当の補完措置を認める内容である。
対象となるのは、欧州人民党、社会民主進歩同盟、Renew Europeの3会派である。
ただし、今回の合意は各会派の正式承認を経る必要があり、その後も欧州議会とEU理事会の間で協議が必要になる。
EUの2035年規制が87.5%削減へ正式に変更されたわけではない。
仏独合意からさらに緩和
今回の新規性は、16日に成立したフランスとドイツの共同方針から、欧州議会側の具体的な妥協案へ議論が進んだことである。
EUの2035年CO₂規制をめぐっては、複数の案が存在している。
従来の制度では、2035年に新車のCO₂排出量を2021年比100%削減することが目標だった。
欧州委員会は2025年、これを90%削減へ緩和し、残り10%について低炭素鋼材や代替燃料などによる補完を認める案を提示した。
さらに10月16日、フランスとドイツは90%削減を維持しながら、残り10%の補完義務を撤廃する共同方針で合意した。
今回の欧州議会3会派の妥協案は、削減目標そのものを87.5%とする。
つまり、仏独合意とは異なる仕組みで、メーカーの規制対応負担を軽減しようとしている。
重要なのは、これらの案が同時に存在しており、最終的な制度がまだ確定していないことである。
2030年目標も柔軟化
今回の妥協案では、2035年だけでなく、2030年の目標にも変更が盛り込まれた。
乗用車の2030年CO₂削減目標は55%を維持する。
一方、小型商用車については、欧州委員会案の40%から35%へ緩和する。
また、2030年目標への適合について、2029~2031年の3年間の平均で判断する仕組みも提案された。
これにより、特定の年にBEV販売が想定を下回った場合でも、前後の年の実績によって補える可能性がある。
自動車メーカーにとっては、年ごとの販売構成を厳密に調整する必要性が小さくなる。
ただし、規制の柔軟化によって、メーカーのCO₂削減義務そのものがなくなるわけではない。
小型BEVと再生可能燃料にも配慮
今回の妥協案には、小型で価格の安いBEVや、特にエネルギー効率の高いBEVに対する優遇措置も含まれる。
対象車両について、CO₂規制上の実績を通常より有利に計算できる仕組みである。
また、再生可能燃料で走行する車両を、一定の条件下でゼロエミッション車として認める案も盛り込まれた。
ただし、再生可能燃料を利用するすべてのエンジン車が無条件でゼロエミッション車になるわけではない。対象燃料や認定条件の詳細は今後の制度設計によって決まる。
今回の動きは、欧州の自動車政策がBEVへの一本化から、複数の技術を利用しながらCO₂排出量を削減する方向へ転換しようとしていることを示している。
一方、規制緩和にはリスクもある。
メーカーがエンジン車やPHEVの販売を長期間維持できるようになれば、BEVへの投資を先送りする可能性がある。
逆に、技術選択の柔軟性が高まることで、収益性を確保しながら電動化投資を継続できるという見方もある。
今回の欧州議会側の妥協案は、2035年規制の最終決定ではない。しかし、欧州の自動車政策が一段と柔軟化する方向へ動いていることは明確である。
今後は、欧州議会の正式な立場が確定するか、EU加盟国がどの案を支持するかが焦点となる。
2.GM、第3四半期営業利益22%増――大型トラックが収益を支える一方、HEV不足とコスト上昇が課題
GMは10月20日、2026年第3四半期決算を発表した。
米証券取引委員会に提出した決算資料によると、主要な業績は次のとおりである。
売上高:500億1500万ドル、前年同期比2.9%増
株主帰属純利益:33億3500万ドル、前年同期の13億2700万ドルから増加
調整後EBIT:41億600万ドル、同21.6%増
調整後EBITマージン:8.2%、前年同期6.9%
自動車事業の調整後フリーキャッシュフロー:58億8200万ドル、同40.0%増
北米事業の調整後EBITは35億9200万ドルとなり、前年同期比43.4%増加した。
一方、海外事業の調整後EBITは2800万ドルにとどまり、前年同期から87.7%減少した。
自動車金融事業の税引き前調整後利益も6億6800万ドルとなり、前年同期比16.9%減少している。
利益を支えたのは大型ピックアップトラック
今回の決算で重要なのは、GMがどの商品によって利益を確保したかである。
Reutersによると、GMは第3四半期に利益率の高い大型ピックアップトラックの販売構成比を高める一方、EV販売を縮小した。
その結果、調整後EBITは前年同期比約22%増加した。
GMは米国でシボレー・シルバラードやGMCシエラなど、大型ピックアップトラックを販売している。
これらの商品は米国市場で高い収益性を持ち、GMの利益を支える重要な存在である。
ただし、収益性の高い商品に依存することにはリスクもある。
GMは今後、シルバラードとシエラの新型車投入を予定している。
モデル切り替えに伴って、第4四半期には大型トラックの出荷台数が減少する見通しである。
さらに、原材料費や物流費の上昇が利益を圧迫する可能性がある。
原材料費などの上昇が年間20億ドル規模に
GMは2026年の原材料費や物流費などの上昇による負担を、約20億ドルと見込んでいる。
鉄鋼、アルミニウム、半導体、物流費などが対象である。
関税による総負担については、従来示していた25億~35億ドルの範囲の下限に近づく見通しを示した。
一方、原材料費などが現在の高い水準で推移した場合、2027年にも約20億ドルの利益圧迫要因となる可能性がある。
GMは2026年通期の調整後EBIT予想を、従来の140億~160億ドルから145億~155億ドルへ変更した。
予想の下限を引き上げる一方、上限を引き下げた形である。
また、自動車事業の調整後フリーキャッシュフロー予想は、従来の95億~115億ドルから115億~125億ドルへ引き上げた。
利益の見通しを狭めながら、現金創出力については改善を見込んでいる。SEC
HEV市場の拡大に対応できていない
今回の決算説明では、GMのHEV戦略も問題となった。
米国ではHEVの新車販売比率が15%を超えている。
しかし、GMはこれまでBEVを中心とする電動化戦略を進め、HEVの品ぞろえを十分に整えてこなかった。
Reutersによると、GMは2026年に米国市場でシェアを失っており、HEV商品の不足がその一因とするアナリストの指摘がある。
メアリー・バーラCEOは決算説明会で、GMもHEVを投入すると説明した。
ただし、具体的な投入時期や車種については明らかにしていない。
前日の朝刊で取り上げた米エネルギー情報局の統計では、2026年第3四半期の米国新車販売に占めるHEV比率は16%、BEVは6%だった。
GMの今回の決算は、その市場構造の変化が完成車メーカーの経営に与える影響を具体的に示している。
200億ドルの自社株買いを発表
GMは今回、新たに200億ドルの自社株買い枠を設定した。
同社は2026年1月に発表した60億ドルの自社株買いをすでに完了している。
2023年末に約12億株あった発行済み株式数は、2026年9月末には8億4900万株まで減少した。
自社株買いによって株式数が減れば、利益総額が同じでも1株当たり利益は増加する。
ただし、自社株買いは完成車の販売競争力を直接高める投資ではない。
また、今回の200億ドルは複数年にわたる取得承認枠であり、直ちに全額を支出するという意味ではない。
GMは好調なキャッシュフローを背景に株主還元を拡大しようとしているが、市場では将来の収益性への懸念が残った。
Reutersによると、GM株は20日の取引で下落した。
今回のGM決算は、エンジン車を中心とする事業でも高い利益を確保できる一方、HEVへの対応不足や原材料費の上昇が将来の収益を左右することを示している。
3.VW、XPENG協業車の販売が計画を大幅に下回る――中国向けEV、月平均267台
VWが中国事業の再建に向けて進めている現地企業との協業について、Reutersは10月20日、内部資料と関係者への取材に基づく調査報道を公開した。
対象となったのは、XPENGとの協業によって開発した電動SUV「ID. UNYX 08」である。
Reutersが引用したThinkerCarのデータによると、同車の2026年4~8月の販売台数は月平均267台だった。
一方、VWが当初想定していた2026年の月平均販売目標は3622台だった。
実際の販売実績は、当初目標の約7.4%にとどまる。
VWは2023年、XPENGとの協業によって中国市場に適したBEVを短期間で開発する方針を打ち出していた。
しかし、今回の販売実績は、現地企業の技術を採用するだけでは中国市場での競争力を回復できないことを示している。
技術協業は進んだが、商品競争力につながらず
Reutersによると、ID. UNYX 08の発売価格は約3万4260ドルだった。
しかし、同価格帯には中国メーカーの競争力の高いBEVが存在している。
例えば、小米YU7は高度なセンサー構成を備え、Zeekr 7Xは急速充電性能を訴求している。
ThinkerCarのデータでは、2026年4~8月に小米YU7は約5万7000台、Zeekr 7Xは2万1000台以上を販売した。
これに対し、ID. UNYX 08は約1300台にとどまった。
ただし、これらの車種は販売開始時期や価格帯、販売網が完全に一致するわけではない。
そのため、販売台数の差をそのまま技術性能の差として扱うことはできない。
重要なのは、VWが中国メーカーとの協業によって開発速度を高めても、商品価格や装備、販売方法まで含めた競争力を確保できていないことである。
販売網も制約に
Reutersは、販売網の問題も指摘している。
VWはID. UNYX 08を、主にVW安徽の新しい販売網を通じて販売している。
一方、一汽VWと上汽VWは中国国内に3000以上の販売店を持つ。
VW安徽の販売網はこれに比べて小さく、商品を消費者へ届ける能力に制約があった。
VWはReutersに対し、VW安徽の販売網を166拠点まで拡大し、一汽VWの一部販売店との連携も進めていると説明した。
これは重要な点である。
中国市場で競争力のある車両を開発できても、消費者が商品を認知し、試乗し、購入できる環境が整っていなければ、販売台数は伸びない。
技術開発と販売網の整備を同時に進める必要がある。
中国事業の利益貢献が大幅に低下
Reutersによると、VWグループ全体の利益に占める中国事業の比率は、かつての約50%から約10%へ低下した。
また、2019年には中国の乗用車市場で約20%のシェアを持っていたが、2026年1~8月には約10%まで低下した。
VW中国の経営陣は9月の社内メッセージで、中国市場の厳しい状況について説明している。
Reutersが確認した資料によると、VWは2026年の中国乗用車市場が約20%縮小すると予測していた。
ただし、これはVWの社内予測であり、中国市場全体が実際に20%縮小したという確定統計ではない。
VWは生産能力を市場の実態に合わせ、重複する事業や組織を整理する必要があるとしている。
次のID. UNYX 09も高い販売目標
VWは、XPENGとの協業による次のモデル「ID. UNYX 09」を10月中に市場投入する予定である。
Reutersが確認した商品計画資料では、同車について月平均約4900台の販売を想定していた。
ただし、これは社内計画に基づく数字であり、現在の正式な販売予測として確定したものではない。
VWはReutersに対し、XPENGとの協業によって中国向けの新しい電動車アーキテクチャを18カ月という短期間で完成させたと説明している。
つまり、協業による技術開発の成果は存在する。
問題は、その成果を実際の販売と利益へ結び付けられるかどうかである。
VWの中国事業が示すのは、現地企業の技術を導入することと、現地市場で競争力を取り戻すことは同じではないということである。
今後は、ID. UNYX 09の販売実績に加え、VW安徽の販売網拡大、商品価格、ソフトウェア機能、開発期間短縮の効果を確認する必要がある。
4.CATL、売上高59%増も純利益15%増に鈍化――大型トラック電池交換で新市場を開拓
CATLは10月20日、2026年第3四半期決算を公表した。
Reutersによると、同四半期の売上高は前年同期比58.6%増の1652億元、株主帰属純利益は14.5%増の212億元となった。
純利益の伸び率は第2四半期の36.5%から大きく鈍化し、約2年ぶりの低い水準となった。
一方、売上高の伸び率は第2四半期の56.9%を上回った。
売上高が大幅に増加する一方、利益の伸びがそれに追いついていない。
市場シェア拡大と利益率維持は別の問題
CATLは世界最大の車載電池メーカーである。
Reutersが引用した業界データによると、2026年1~8月の世界のEV用電池使用量に占めるCATLのシェアは39.4%となり、前年同期の37.7%から拡大した。
一方、中国国内では競争が激化している。
中国の車載電池搭載市場におけるCATLのシェアは、1月の49.8%から9月には40.9%へ低下した。
同期間にBYDのシェアは17.4%から21.1%へ上昇している。
つまり、CATLは世界市場での地位を強めながら、中国国内では競争圧力を受けている。
ただし、売上高と純利益の伸び率の差を、すべて価格競争によるものと断定することはできない。
製品構成、原材料価格、海外事業、研究開発費、会計上の要因なども利益に影響する。
今回の決算から確実に分かるのは、売上高の増加に比べて利益の伸びが大幅に小さかったことである。
大型トラック向け新型電池を発表
CATLは同日、大型トラック向けの新型電池「Tianxing II」と、電池交換システム「Qiji」の拡大計画を発表した。
Tianxing IIでは、車両の用途に合わせて薄型、軽量型、車体下部搭載型などの電池を用意する。
長距離走行向け仕様では、760kWhの電池を搭載し、600kmを超える航続距離を実現すると説明している。
一方、Qijiは大型トラックの電池を約5分で交換するシステムである。
CATLは、中国国内の大型トラック向け電池交換拠点について、2026年末までに900カ所、2027年に2000カ所へ拡大する目標を示した。
長期的には1万カ所を目指す。
また、新しい標準化された交換用電池ブロックでは、従来製品と比較して部品点数を52%削減し、コストを15%引き下げたとしている。
大型トラックでは充電時間が事業コストになる
乗用BEVでは、急速充電性能の向上が重要な競争領域となっている。
しかし、大型トラックでは事情が異なる。
長距離輸送に必要な電池容量は大きく、充電に必要な電力量も増える。
そのため、急速充電設備には大きな電力供給能力が必要となる。
さらに、充電中は車両を運行できないため、物流事業者にとっては稼働時間の減少が問題になる。
電池交換方式であれば、充電済みの電池へ短時間で交換できる。
車両の停止時間を短縮し、稼働率を高められる可能性がある。
ただし、電池交換方式にも課題がある。
交換用電池を複数保有する必要があり、拠点整備にも投資が必要となる。
また、車両メーカーをまたいだ電池規格の標準化が進まなければ、交換拠点を効率的に利用できない。
したがって、電池交換方式が急速充電より常に有利というわけではない。
輸送距離、運行ルート、車両稼働率、電池の保有形態などによって、経済性は変わる。
電池販売から物流エネルギー基盤へ
CATLの今回の戦略は、電池メーカーの事業領域が変化していることを示している。
従来の車載電池メーカーは、完成車メーカーへ電池を販売する事業が中心だった。
しかし、電池交換拠点を整備すれば、電池そのものに加えて、交換サービスや電池の運用管理などにも事業機会が生まれる。
CATLは9月、DHL Groupとの間で、欧州における電動トラック向け物流ルートの開発について予備的な合意を結んでいる。
今回の大型トラック向け電池交換事業は、中国国内だけでなく、海外の物流市場にも応用できる可能性がある。
ただし、欧州で具体的な交換拠点の整備計画が確定したわけではない。
CATLは、車載電池の販売量を増やすだけでなく、物流事業者の車両運用そのものへ関与することで、新しい収益機会を開拓しようとしている。
今後は、交換拠点の実際の稼働率、電池規格の共通化、物流事業者の導入実績、投資回収期間が重要になる。
今日の小さな変化
GMの200億ドル自社株買い、労組と共和党候補がともに批判
GMが発表した200億ドルの自社株買いについて、全米自動車労組(UAW)とミシガン州の共和党上院議員候補マイク・ロジャース氏が、それぞれ批判した。
Reutersが20日に報じた。
UAWは、自動車労働者への待遇改善よりも株主還元を優先していると批判した。
一方、ロジャース氏は、GMが需要に見合わないEV投資に資金を使い、ミシガン州の労働者への投資を十分に行わなかったと主張した。
ただし、UAWとロジャース氏の政治的立場が一致したわけではない。
UAWは民主党候補を支持している。
GMは批判に対し、2020年以降、商品、工場、従業員などへ1000億ドル以上を再投資してきたと説明した。
今回の対立は、完成車メーカーが生み出した利益を、設備投資、従業員への還元、株主還元のどこへ配分するかという問題を示している。
LG、車両と道路設備を連携させる安全技術を実演
韓国のLG Electronicsは、10月19~23日に開催されているITS世界会議2026で、車両と道路設備、通信ネットワークを組み合わせた安全技術を紹介している。
20日から22日には、会場周辺の公道で実証を実施する。
今回の技術は、車両同士や道路設備との直接通信に加え、クラウド経由の通信を組み合わせるものである。
例えば、交差点で建物などによって見えない位置にいる歩行者や自転車の情報を、車両へ伝えることを想定している。
従来の車載カメラやレーダーだけでは検知が難しい危険を、通信によって補完する仕組みである。
ただし、今回の実証は量産車への全面導入を意味しない。
通信設備の普及、標準化、情報の信頼性などが実用化の課題となる。
車両単体の認識性能を高めるだけでなく、道路交通システム全体で安全性を高めようとする動きとして注目される。
今日の読み筋
10月21日の世界自動車朝刊で注目すべきなのは、電動化をめぐる議論が技術の優劣から、事業としての成立条件へ広がっていることである。
EUでは、2035年のCO₂排出削減目標をさらに緩和する案が浮上した。
規制の柔軟化によって、メーカーはBEVだけでなく、HEVやPHEV、一定の条件を満たすエンジン車などを組み合わせる余地を確保できる可能性がある。
しかし、選択肢が増えることと、利益を確保できることは同じではない。
複数のパワートレインを開発・生産すれば、それぞれに設備投資や開発費が必要になる。
規制の柔軟化が経営上の負担軽減につながるかどうかは、実際の販売構成によって変わる。
GMの決算は、その問題を別の角度から示している。
同社は大型ピックアップトラックによって高い利益を確保した。
一方、EV事業を縮小し、HEV市場への対応が遅れている。
現在の収益性を高めることと、将来の市場変化へ対応することを同時に進める必要がある。
VWの中国事業も、技術開発と商品競争力の関係を示している。
XPENGとの協業によって新しい電動車アーキテクチャを開発しても、それだけでは販売台数は伸びなかった。
商品価格、装備、販売網、ブランドへの評価などが組み合わさって、初めて販売競争力が形成される。
これは、完成車メーカーが外部企業の技術を採用する際に、特に重要な問題となる。
技術の導入によって開発期間を短縮できても、その技術を利用した商品が消費者に選ばれるとは限らない。
CATLの動きも同じ問題を示している。
世界最大の車載電池メーカーでありながら、売上高の増加に対して利益の伸びが鈍化した。
電池の需要が増えても、競争が激化すれば利益率を維持することは難しくなる。
そのためCATLは、大型トラックの電池交換という新しい事業領域へ進出しようとしている。
ここでは、電池の性能だけでなく、物流事業者がどの程度のコストで車両を運行できるかが重要になる。
電池交換時間を短縮できても、交換拠点の整備費用が高すぎれば事業として成立しない。
逆に、車両稼働率を大幅に高められれば、電池交換サービスそのものが競争力になる。
今日の4つの重要ニュースには、共通する問題がある。
技術的に実現できることと、経済的に成立することは別である。
EUの規制緩和は、メーカーの技術選択を広げる。
GMは、現在の市場で利益を生む商品を重視している。
VWは、技術協業の成果を販売競争力へ転換することに苦戦している。
CATLは、電池の販売量を増やすだけでなく、物流の運用コストを下げる新しいサービスを開発している。
これらはすべて、技術と収益性を結び付けるための異なる取り組みである。
また、今回のGMとCATLの決算は、収益性を判断する際に販売台数や売上高だけでは不十分であることを改めて示した。
GMは、EV販売を縮小しながら利益を増やした。
CATLは、売上高が約59%増加したにもかかわらず、純利益の伸びは約15%にとどまった。
ただし、両社の事業構造は異なり、これらの数字だけで経営効率を直接比較することはできない。
重要なのは、売上高や販売台数の増加と、利益の増加が必ずしも一致しないことである。
今後の世界自動車産業では、電動化への投資を継続しながら、その投資をどのように回収するかが一段と重要になる。
規制への対応、技術開発、商品構成、生産能力、販売網、金融サービス、そして車両の利用コストまで含めた経営判断が必要である。
10月21日の世界自動車朝刊が示すのは、電動化の競争が技術開発の段階から、技術を持続的な利益へ転換する段階へ進んでいることである。
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