便秘とゆるいお腹は、反対の悩みではありませんでした
こんにちは、パーソナルトレーナーのリクです。
「追い込む」のではなく「一緒に整える」を大切に、運動が苦手な方の体づくりに寄り添っています。
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お腹の調子の話って、なかなか自分からは言い出しにくいですよね。
わたしがうかがうときも、3回目、4回目くらいになって、雑談みたいな顔で「あの、実は……」と出てくることが多いです。そして、そこで出てくる言葉は、だいたい2つに分かれます。「何日も出ないんです」か、「すぐお腹がゆるくなるんです」か。
たいていの方が、この2つを正反対のものとして話されます。片方は詰まっていて、片方は流れすぎている。だから、やることも反対だろう、と。
ところが、資料を読み直していて、そうではなかったと気づきました。今日はその話をさせてください。
はじめにひとつだけ。今日の話は、食べ方と暮らしで整えられる範囲のことです。血が混じる、強い痛みがある、長く続いている——そういうときは、まずお医者さんに診てもらってください(このあたりは記事の終わりにもまとめました)。
出ない日とゆるい日は、同じ方に来ています
最初に「あれ?」と思ったのは、その2つを両方おっしゃる方が、けっこう多いことでした。
「ふだんは何日も出ないのに、たまにドンとゆるくなります」
「旅行に行くと出ないんですけど、朝の通勤のときだけ急に来ます」
はじめは、体調の波なのかな、くらいに思っていたんです。でも、便秘の資料と、ゆるいお腹の資料を並べて読んで、はっとしました。両方の「原因の一覧」に、同じ名前が並んでいたんです。
消化がうまくいっていないこと
腸の中が乱れていること
この2つが、どちらの側にも書いてありました。ゆるいお腹のほうにいたっては、まとめのページに「この2つの影響がほとんど」とはっきり書かれていたくらいです。
つまり、出ない日とゆるい日は、反対側にある別々の症状ではなく、同じ入口から入って、途中で右に曲がるか左に曲がるかのちがいだった、ということですね。
これが分かってから、「便秘だから増やす」「ゆるいから減らす」と、左右に振り回されなくてよくなりました。
回数よりも、形のほうが正直です
まず、いちばん最初にやってみてほしいことがあります。回数ではなく、形を見てみませんか。

「毎日出ていないと便秘」と思っている方は多いのですが、資料に書かれていた目安は、こうでした。
1日1〜2回、バナナ状
回数だけでなく、形もセットで書かれているんですね。ここが大事なところです。
毎日出ていても、コロコロした固いものが少しだけ、という状態は、体の中に残っているサインです。逆に2日に1回でも、やわらかいバナナ状のものがすっきり出ていて、お腹が張っていないなら、そこまで心配しなくて大丈夫、ということになります。
医療の現場では、便の形を7段階に分けた物差しが使われています。1・2がコロコロした固いもの、4がいちばんなめらかで平均的、6・7が泥や水のようなゆるい側。 つまり1と7が両端で、4が真ん中です。
トイレで一瞬だけ見て、頭の中で「今日は4かな」と思う。それだけで十分です。
腸を動かす燃料は、腸の中でつくられています
便を先へ運んでいるのは、腸がうねうねと動く運動です。「よし動かそう」と思って動かせるものではなく、勝手に動いてくれています。
では、その運動は何をエネルギーにしているのか。資料には、腸内細菌がつくる「短鎖脂肪酸」(菌が食物繊維を食べてつくる、腸のエネルギー源)をエネルギーにして行われると書かれていました。そして続けて、便秘の方は、この短鎖脂肪酸をつくる量が少ない可能性がある、とも。
腸を動かす燃料は、口から入れたものそのものではなく、腸の中の菌が、届いた材料からつくっている。 燃料の工場が体の中にあって、そこが止まると、動きも一緒に止まってしまう、ということですね。
(短鎖脂肪酸そのものは お腹の中は、にぎやかなほうがうまくいきます に書きました。今日はその続きだと思ってください)
その工場が止まる原因として、資料には4つ並んでいました。①消化がうまくいっていない ②腸の中が乱れている ③代謝のつまみが下がっている ④食物繊維や、菌のごはんになるものが足りていない。
さっきの2つが、ここにもいます。そして④を見て、多くの方が「やっぱり繊維か」と思われるはずです。
でも、いったん待ってください。その手前に、もっと見落とされているものがあります。
出す力の前に、出すものが足りていないことがあります
資料の中に、思わず二度見したページがありました。

摂取カロリーが1,500kcal以下。1日2食。食べない時間を長くとっている。
こういうとき、便の量そのものが少なくなって、出したい合図が起きなくなる、と書かれていたんです。
しくみとしては、とても素直な話です。腸は、ある程度たまって壁が押されることで、はじめて「そろそろ出そう」という合図を出します。中身が少なければ、その合図が届かない。 出す力が弱っているのではなく、出すものが足りていないんですね。
体を整えようとしている方ほど、まじめに減らしていることが多いんですよね。朝は食べない、お昼は軽く、夜もサラダとヨーグルトくらい。そのうえで便秘に気づいて、「もっと繊維をとらなきゃ」「水をもっと飲まなきゃ」と、さらに足す努力をされる。
でも足りていなかったのは、繊維でも水でもなく、単純に食べている総量だったということが、けっこうあります。
しかも食べる量が少ない状態が続くと、代謝そのものも静かに下がります(この話は 食べる量を減らすほど、体は暖房を弱めます に書きました)。さっきの③が、ここでつながってきます。
ちなみに、軽い便秘の原因として並んでいたのは、運動不足・水分不足・お腹まわりの筋力の低下・食物繊維不足・カロリー不足の5つ。いちばん最後が、いちばん見落とされます。
繊維や水を足す前に、「そもそも、ちゃんと食べているかな」をいちど見てみてください。1日2食が当たり前になっていたら、3食に戻すだけで変わる方はけっこういます。
(繊維をどこから足すかは 野菜は食べているのに、食物繊維が足りない理由、水分の考え方は 水より先に見るところがあります にまとめてあります)
ゆるむほうも、行き着く先は同じでした
では、反対のほう。お腹がゆるくなりやすい方の話です。

ゆるさにもいくつか道すじがあるのですが、資料のまとめは、ひとことでこうでした。
腸内環境の悪化、消化不良による影響がほとんど
そう、便秘のときに出てきた2つと、まったく同じです。
考えてみると、不思議ではないんですよね。消化がうまくいかないまま送られると、こなれていないものが腸に届きます。腸はそれをうまく引き受けられません。「早く出してしまおう」と動きを速めればゆるくなるし、発酵が進まずに燃料がつくれなければ、動きが止まって出なくなる。 同じ入口から入って、右に出るか左に出るかが変わっているだけ。だから、同じ方に両方来ることがあるんですね。
ここまで来ると、やることも見えてきます。ゆるいときに真っ先にやるべきなのは、食べないことではありません。 やるのは、消化の負担を軽くすることと、腸の中をにぎやかに保つことの2つです。
そして消化のほうは、じつは「よく噛む」よりも先に見るところがあります。食べる前の、体の状態です(これは 食べたものが、そのまま栄養になるわけではありません に書きました)。急いでいるとき、画面を見ながらのとき、消化のスイッチはそもそも入っていません。
(食あたりのときや、お腹を冷やしたときは別です。体が出そうとしているサインなので、無理に止めなくて大丈夫です)
「0kcal」や「シュガーレス」でゆるくなることがあります
ゆるくなる道すじには、もうひとつ、濃いものを入れすぎたときに起きるものがあります。
体は、濃さを一定に保とうとします。ですので、腸の中に濃いものが入ると、それを薄めようとして、腸の壁から腸の中へ水がしみ出してきます。 その結果、便がゆるくなる。
やっかいなのは、この「濃いもの」が、体に気をつかっている方ほど口にしやすいものだということです。資料に並んでいたのは、こんな顔ぶれでした。
糖アルコール(シュガーレスのガム、0kcalのお菓子やゼリー)
乳糖(牛乳、乳製品)
中鎖脂肪酸(MCTオイル)
鉄のサプリメント、マグネシウム
カフェイン
「カロリーがないから」と思って選んでいたものが、そのまま並んでいますよね。
ただ、これは「体に悪いから避けましょう」ではなく、量の問題として見ればいい話です。ガムを1粒噛むぶんには何も起きません。でも仕事中ずっと噛んでいる、0kcalのゼリーを毎日2つ3つ、MCTオイルを大さじでとなると、いちど疑ってみる価値があります。
やめる必要はありません。1週間だけ、量を半分にして様子を見る。 それで変わるなら、答えが出たということです。
ゆるめればいい、という話でもありませんでした
「腸はリラックスしているときによく働く」はよく知られた話で、便秘の方には「ストレスを減らしましょう」と伝えられることが多いですよね。
これが、半分正しくて半分そうでもない、というのが資料の中身でした。交感神経(体を動かす側のスイッチ)が働きすぎると腸の動きが落ちて出なくなる。でも、副交感神経(休ませる側のスイッチ)が働きすぎても、腸が緊張しすぎて、うまく運ばれなくなる。 つまりどちらかに振り切れているのが困るのであって、ゆるめれば必ず良くなるわけではない、ということですね。
そして、ここでもう一度あの言葉が出てきます。交感神経に傾く側の原因に「一時的なカロリー不足」があり、副交感神経に傾く側の原因に「慢性的なカロリー不足」がある。
食べる量が足りないことは、両側に顔を出します。
わたしは、ここがこのテーマのいちばんの結論だと思っています。左右どちらに転んでいる方にも共通してできることがひとつあるとすれば、それはまず、ちゃんと食べることでした。
女性に多いのには、ちゃんと理由があります
「まわりの女性はみんな便秘って言うのに、夫はまったく平気そう」。これ、気のせいではありません。資料には理由が3つ書かれていました。
① 月経の周期。排卵のあとに増えるホルモンには、子宮の筋肉の収縮をおさえるはたらきがあります。妊娠にそなえる大切なしくみですが、そのはたらきは腸にもおよんで動きが落ちやすくなり、あわせて水分や塩分もためこみやすくなります。
つまり、月経前に出にくくなるのは、体がちゃんと働いている証拠でもあるんですね。「またこの時期か」と思ったら、責めないであげてください。
② お腹まわりの筋力(押し出す力が弱くなる)と、③ 代謝のつまみが下がりやすいこと。①はどうにもなりませんが、②と③は動かせます。そして歩くことは、その両方を助けてくれます。特別な運動でなくてかまいません。
今日からできる、小さな一歩
明日からできることだけ、並べておきますね。全部やらなくて大丈夫です。

1. トイレで、形をちらっと見る
回数ではなく形。バナナ状に近いかどうかだけで十分です。
2. 食べている総量を、いちど眺めてみる
朝を抜いていませんか。お昼が飲みものだけの日はありませんか。まず3食に戻す。 繊維や水はそのあとで大丈夫です。
3. 菌のごはんを、日替わりで
同じヨーグルトを毎日ではなく、きのこ・海藻・豆・麦ごはん・納豆・お味噌汁を日替わりで。多い少ないより種類です。
4. 食べる前に、ひと呼吸
座って、ひと呼吸してから食べはじめる。消化のスイッチは、あわてているときには入りにくいものです。
5. ゆるい日が続くときは、「濃いもの」を1週間だけ半分に
シュガーレスのガム、0kcalのお菓子、乳製品、MCTオイル、コーヒーの杯数。やめるのではなく、半分です。
いちばん上からひとつだけで大丈夫です。ぜんぶやろうとすると、それ自体がストレスになって、かえって交感神経のほうへ傾いてしまいますから。
こういうときは、がまんせずに相談を
最後に、これだけは書かせてください。次のようなときは、食べ方を見直す前に、お医者さんに診てもらってください。
血が混じっている
激しいお腹の痛みや、吐き気をともなう
ゆるい状態が1ヶ月以上続いている、または何度も繰り返している
急に体重が減った
飲んでいるお薬を変えたあとから始まった
いちばん下は、意外と見落とされます。痛み止め、咳止め、気分に関わるお薬、血圧のお薬、鉄のお薬などは、腸の動きに影響することがあると資料にも書かれていました。
これは「そのお薬が悪い」という話ではまったくありません。自己判断でやめるのは絶対にしないでください。 「このお薬を飲みはじめてから出にくいのですが」と、処方してくださった方に伝えるだけで大丈夫です。
わたしたち食事や運動の側にできるのは、土台を整えることまで。診断やお薬の調整は、お医者さんにしかできません。
さいごに
今日お伝えしたかったことを、もう一度だけ。
便秘とゆるいお腹は、反対の悩みではありません。 どちらの原因の一覧にも、「消化がうまくいっていない」「腸の中が乱れている」の2つが入っていました
見るのは回数より形。目安は 1日1〜2回、バナナ状
食べる量が少ないと、出すものそのものが足りません。 繊維や水より先に、そこを見てください
ゆるさには「濃いもの」の入れすぎもあります。やめずに半分で様子を見る
食べる量が足りないことは、両側に顔を出します
お腹のことは、変化がゆっくりで、しかも人に言いにくい。だから、ひとりで長くかかえこんでしまいやすいところだと思っています。
でも今日いちばんお伝えしたかったのは、「出ない自分」と「ゆるくなる自分」は、別々の問題を2つ抱えているわけではない、ということでした。見るところは、そんなに多くありません。
明日の朝、トイレでちらっと形を見るところから。そして、朝ごはんを1品足すところから。それくらいのペースで大丈夫です。
ここまで読んでくださって、ありがとうございました。
今日は「食べる量」「消化」「腸の中」と3つ出てきましたが、どこが効いているかは人によってちがいます。 量は足りていて消化のほうが効いている方もいれば、そもそも量が足りていない方もいます。
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