自分専用のClaudeを90分で作る完成版
Claudeの設定を90分で組み終える12ステップです。記入済みテンプレート12本と、同じ依頼を設定前後に投げた入出力の全文を渡します。
新しいチャットを開くたびに、会社のことを一から説明する。返ってきた文章を、結局は自分で書き直す。今週の月曜から、その2つをなくすための設定を1日1つずつ書いてきました。
今日は、その6日ぶんを1本につないだ完成版です。
わたしは元SEで、いまはnoteでClaudeの使い方を書いています。テンプレートの記入例は、わたしの職種ではなく、読者の方に近い3業種(食品メーカーの営業企画/社会保険労務士/社内SE)で用意しました。
この記事を読み終えると、こうなります
90分後には、会社の前提・出力の形・文体・記憶がClaude側に常設された状態になります
新しいチャットの1通目から、説明なしで仕事を頼めるようになります
返ってきた文章の手直しが、「全文を書き直す」から「1か所だけ直す」に変わります
月1回10分の点検で、その状態を保てるようになります
こんな人におすすめです
月曜から土曜の6本を読んだけれど、まだ手をつけていない方
6本を追いかけていないので、通しの手順が1本ほしい方
設定してみたけれど、効いているのかどうか分からない方
こんな人には向いていません
すでに6本を読んで設定を終えた方。テンプレートの記入例と実測は増えますが、手順そのものは同じです
ClaudeのAPIやCLIを使っている方。この記事はブラウザとアプリのチャット画面だけを扱います
「これを貼れば文章がうまくなる魔法の呪文」を探している方。渡すのは、自分の言葉を書き出して置いておく作業の手順です
設定前と設定後で、何がどう変わったか
先に、同じ依頼に対する返答の書き出しを並べます。依頼文は一字一句同じ、モデルも同じ(Claude Opus 5)です。
題材だけ先にお断りします。使った材料は、わたしがアプリのバグを直したときのメモです。中身は技術の話なので、読み飛ばして語尾と文の長さだけ見てください。やらせているのは「箇条書きのメモを、人に見せる文章にする」だけです。議事録でも、日報でも、メールの下書きでも、骨格は同じです。
設定前
2026年5月4日、自作アプリのタイムゾーンバグを直していた。社内では「B6-2」と呼んでいる機能で、日時はすべてJSTで扱っているつもりだったのに、実際にはタイムゾーン情報を持たない素のdatetimeのまま流れていて、画面の表示が数時間ずれる。
設定後
2026年5月4日、自作アプリの画面を見て、ぴたりと手が止まりました。表示している時刻が、ずれていました。この記事でお伝えするのは、原因を1つ突き止めて安心した直後に、その安心ごとひっくり返された話です。
語尾が「〜だ」から「です・ます」に変わっています。一文が短くなりました。そして最初の3文で「この記事は何の話か」を言い切っています。設定前は、状況の説明が2文続いてから本題に入っていました。
条件を正直に書きます。設定前は、指示欄を空にし、メモリを一時停止し、文体スキルをオフにして測りました。設定後は、ふだんの状態のままです。つまりこの差には、この記事で配るテンプレートだけでなく、わたしが自分用に足した文体ルールと、メモリに溜まった分も混ざっています。同じ条件で測り直したものではないので、差はそのぶん大きめに出ています。
数字にすると、こうなります。

数え方を書いておきます。「直した箇所」は、わたしが手を入れた文の数です。語尾を直した文が1つあれば1箇所と数えました。「書き換え率」は、返ってきた文章と手直し後の文章をClaudeに比べさせて出した、文字数ベースの割合です。「10%」は、返ってきた文章の1割の文字を書き換えた、という意味になります。わたしが目分量で出した数字ではありません。出させ方は有料エリアに全文を載せました。
主役は上の2行です。時間は手元の時計で開始と終了をメモして測っているので、1分前後の誤差が乗ります。14分と4分の差は10分なので誤差に埋もれませんが、依頼の種類によっては差が数分しか出ません。そういう場面では、時間より上の2行を見てください。
測定の条件を開示します。わたしのClaudeはすでに育っていて、スキルも入っています。そのまま測っても、これから設定する方と条件がそろいません。
なので、読者と同じ状態を一度作りました。「Claudeの指示」を空にして、メモリを一時停止して、文体スキル(my-writing-style)をオフにして、プロジェクトの外で新しいチャットを開いています。測り終えたあと、すべて元に戻しました。
なぜ「AIっぽくなく、簡潔に」では効かないのか
素朴なやり方が効かない理由は1つです。こちらが基準を1つも渡していないからです。
「簡潔に答えてください」と書いても、返ってくるのは見出しつきの長文です。こちらの簡潔は200字でも、Claudeの簡潔は800字かもしれません。「AIっぽくなく自然な日本語で」も同じで、「AIっぽい」の中身を指定していません。
抽象的な形容詞は、指示になりません。効くのは数字と、名指しした文字列です。「400字以内」「見出しは使わない」「〜ではないでしょうか、が出たら〜だと思います、に直す」。ここまで書いて初めて動きます。
置き場所は3つあります
同じ内容を書いても、どこに書くかで効く範囲が変わります。公式ヘルプは、自分向けに調整する方法を3つに整理しています。
先に言葉を3つだけ説明します。
プロジェクト 案件ごとに、指示と資料をまとめて置いておく箱です。その箱の中で始めた会話にだけ、中身が効きます
ナレッジベース そのプロジェクトを開いたときに、画面の右側に並ぶ資料棚です。見積書や議事録を入れておくと、その箱の中の会話から参照されます
スキル 用途ごとの指示をひとまとめにして登録しておく場所です。この記事では6章で扱うので、いまは「3つ目の置き場所がある」とだけ覚えてください
もう1つ、メモリという言葉がこのあと何度も出てきます。あなたが会話で話した内容を、Claudeが自動で覚えておく仕組みです。指示欄とは別物で、こちらは書かなくても勝手に溜まります。指示欄を空にしても、メモリからは文体が効きます。設定の効き目を測るときに、ここが効いてきます。

分け方の基準は1行で足ります。「来月この案件が終わったあとも、この指示は正しいままか」と自分に聞くこと。正しいままなら上、案件が終わったら意味を失うなら真ん中です。
効かないときの切り分け、3手順
ここは無料のまま渡します。設定したのに変わらない、というときに上から順に見る3つです。
1. 新しい会話で試したか。公式ヘルプには「ここに追加した指示はClaudeとのすべての会話に適用されます」と書かれています。ただし、書く前から開いていた会話にさかのぼって効くかどうかまでは明示がありません。確実に見分けたいので、新規のチャットで試します。
2. 同じ指定を2か所に書いていないか。「Claudeの指示」に400字以内、プロジェクト指示に300字以内。この状態でどちらが優先されるかは、公式ヘルプに記載がありません。わたしも測っていないので、一律の答えは出しません。代わりに切り分ける手順を渡します。片方を消して、差の大きい字数(400字と150字のように)で試すと、どちらが効いているかが目で分かります。近い字数どうしで試すと見分けがつきません。
3. 投げた依頼が短すぎないか。「こんにちは」では差が出ません。打ち合わせメモを貼って「要点だけ教えて」くらいの長さがあると、違いが見えます。
この3つで直らないときは、会社から配られたアカウント(Team / Enterprise)を疑ってください。組織の指示が別に置かれていると、そちらが優先されます。
90分の中身を、先に開示します
タイトルの90分は、材料集めを含めて、ゼロから組む場合の目安です。内訳はこうなっています。

いちばん時間を食うのは第2部です。うち10分は「自分が過去に書いた文章を3本探す」時間で、作業そのものではありません。送信済みメールを探すのに、それくらいかかります。
正直に書いておきます。わたしの実測は、この合計より短く出ました。材料がすでに手元にあったからです。月曜の指示7項目が7分、水曜の出力3行が3分、木曜の文体ルールが5分で、この3日ぶんの合計は15分でした。火曜・金曜・土曜は作業時間を測り損ねたので、数字を出しません。
つまり、上の84分は測った合計ではなく、各記事に書いた目安を積み上げた見積もりです。材料がそろっている方なら、これより短く終わります。逆に、過去の文章を探すところから始める方は、90分を見ておいてください。この差はほぼ材料集めの時間です。
無料でお渡しする完成物:アカウント全体の指示7項目(記入済み)
月曜の記事で配った雛形の、埋めた状態です。ここまでは無料で持ち帰ってください。
職種:中堅の食品メーカーで、営業企画を担当しています。
扱う商材:スーパー向けの冷凍食品。単価200〜600円の家庭用が中心です。
読み手:社内の営業部長と、取引先のバイヤーです。
使う用語と社内語:「帳合」「棚替え」「PB」。新商品案を社内では「タネ」と呼びます。
避けたい言い回し:「〜させていただきます」の多用、意味のないカタカナ、煽り表現。
よくやる仕事3つ:提案資料の骨子づくり、商談メモの議事録化、販促企画の案出し。
返答の前提:結論から書いてください。専門用語はそのまま使って構いません。
貼る場所は、画面左下のイニシャル → 設定 →「Claudeの指示(Instructions for Claude)」です。公式ヘルプが書いているのはこの3ステップですが、実際の画面では「設定」と「Claudeの指示」のあいだに「一般」が挟まることがあります。見当たらなければ、そちらも開いてみてください。
書く量の上限は、個人の欄については公表されていません。組織向けの指示には3,000文字という上限と「指示は簡潔で明確に保つ」という推奨が公式に書かれていますが、これは組織の話です。個人の欄に当てはめて書かれた記述は見つかりませんでした。
わたしの運用ルールは、この7項目については1項目1〜2行、合わせて15行以内です。このあと文体ルールと出力の形を足すと、欄全体では32行前後になります(貼り先にプロジェクトを選んだ方は10行前後のままです)。効き目を測った数字ではないので、目安として受け取ってください。
この記事の位置づけ
月曜から土曜までの無料6本は、どれも欠けたところなく1手ずつ渡してあります。この6本だけで、設定は完成します。
このあと本文では、記事を曜日で呼びます。「月曜の7項目」「水曜の3行」といった書き方が出てきたら、上のリストを見てください。
では、この記事を買う理由は何か。1文で書きます。6日ぶんを自分の職種に合わせて組み直す90分を、記入済みテンプレートと順番の決まった12ステップで省けることです。
6本を順に読んで自分で組み直せる方は、買わなくて大丈夫です。そのほうが安く済みます。
一方で、6本には無いものが4つ入っています。手順の順番、入出力の全文3件、月1回の点検表、スキル化の通し手順(木曜に先送りにした部分です)。
手順の順番だけ、中身を先に書きます。6本をそのままの順で実行すると、2か所で手が止まります。1つは、設定前の状態を測るときに指示欄とメモリの両方を外さないと基準が汚れること。もう1つは、木曜(文体ルール)を火曜(プロジェクト)より先にやると、貼り先が存在しないことです。この2か所を並べ替えて、12ステップに組み直してあります。
なお、この日曜版は9月末に「2026夏号」として5本まとめ、1,500円で出す予定です。今週末に手を動かす方は今日の1本を、急がない方は9月末をお待ちください。毎週500円ずつ買うと5本で2,500円になるので、待ったほうが1,000円安く済みます。
▶ 連載の全記事:Claude週報
ここから先に入っているもの
記入済みテンプレート12本の全文 — アカウント全体の指示3業種分/プロジェクト指示4種(客先提案・社内報告・採用広報・調べもの)/出力の形4パターン/文体ルール10項目。うち6本は月〜木の記事にも載っているものです。今日が初出なのは6本で、内訳は有料エリアの冒頭に表で出してあります
ゼロから90分で組む12ステップ — 所要時間と「ここまでやれば完了」の判定つき。6本をそのままの順で実行すると転ぶ2か所を並べ替えてあります
入出力の全文3件 — 設定前・途中・設定後の返答の全文。設定前と設定後には手直し後の完成版と直した箇所数も付けました(途中の1件は返答のみです)。書き換え率の出させ方も入れてあります
失敗パターンと復旧5件 — 実際に踏んだ1件と、6本の仕様から導かれる落とし穴4件。症状・原因・復旧手順の3点セット
月1回の棚卸し点検表12項目 — そのままカレンダーに貼れる形
スキル化の通し手順 — 非エンジニアがブラウザだけで進める道と、公式が案内するZIPの道の2通り
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