【本の紹介/裏話④】ミステリの中のお菓子を、現実へと連れてくるまで
2024年発行の『アメリカ菓子とミステリ』(原書房)。
ずっと書きたかったテーマで、念願が叶いました。
アメリカのミステリに登場するお菓子を作品やシーンとともに取り上げ、あわせてオリジナルレシピも掲載しています。ドリンクやパイ生地、グレイヴィーも含めて30品です。
アメリカの「コージーミステリ」

本書で取り上げたのは、アメリカの「コージーミステリ」を中心とした25作品です。コージーミステリ専門の文庫レーベル「コージーブックス」をもつ原書房からの刊行ですが、東京創元社、ハーパーコリンズ・ジャパン、早川書房の作品も掲載許可をいただき、取り上げることができました。関係各位に心より御礼申し上げます。
"cozy=くつろげる"の言葉通り、心穏やかに読める作品が多いのがコージーミステリ(ジャンルの境界についてはさまざまな考え方があると思いますが)の特徴です。多くの作品では日常生活が丁寧に描かれ、しばしば食のシーンが登場します。
取り上げたのはこんな菓子

本書で扱ったのは、そうしたミステリに登場する、アメリカで広く親しまれている伝統的なお菓子やドリンクです。特定の作品だけに登場するものや、あまり一般的ではないものは今回は外しています。
たとえば、ブルーベリーマフィン。ある作品では、このマフィンのレシピをめぐって事件が起こります。
そのため、掲載するレシピも「これなら欲しくなるだろうな」と思っていただけるものでなければいけないと感じました。作品をてがかりに試作を重ね、私なりの理想のブルーベリーマフィンを形にしています。
表面はカリッと、中はしっとりふんわり、ブルーベリーはジューシーにたっぷりと。そうした食感のバランスにこだわりました。お好きな方にはぜひ一度お試しいただきたい一品です。
作中では、このマフィンの具体的な姿や味は詳しく描かれていません。読者それぞれが理想の一品を思い描ける余白でもあるのだと思います。そこに踏み込みレシピを提示するのは、私にとっては大きなチャレンジでした。
写真と器のこと

撮影とスタイリングはすべて自分で行いました。
作品を読み込み、イメージをふくらませながら試作を重ね、器を選び、少しずつ撮影を進めました。
最初の数日とカバー撮影では、原書房の編集の方や編集者の本村のり子さんにも手伝っていただき、とても心強かったです。
長く集めてきたアメリカの古い器も多く使用しています。『アメリカ菓子図鑑』とはまた違う器も使っているので、その違いもお楽しみいただけたらうれしいです。
写真のコーヒーのカップはファイヤーキングです。ターコイズブルーは、グリーンのジェダイとはまた違った表情を見せてくれます。
お菓子について執筆する仕事をはじめた当初は、アメリカのミステリと菓子について一冊の本としてまとめる機会が訪れるとは想像もできませんでした。
これまでの本を読んでくださった読者の方々、支えてくださった皆さまのおかげで形になった本です。
自分にとっては大きな挑戦となった本ですが、楽しんでいただけたらうれしく思います。
*下記は【本の紹介/裏話】の過去記事一覧です。
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