評価を下げるほどではない。でも管理職が「任せにくい」と感じる7つの特徴
「任せにくい」と感じることと、「評価が低い」は同じではありません。
評価としては十分合格点。仕事もきちんとやっている。それでも「この仕事は、もう少し経験してから任せよう」と判断されることがあります。
これは能力の話ではありません。もっと感覚的な、でも管理職なら誰もが持っている「任せやすさ」のようなものです。
今回はその感覚を、自分の実体験も交えながら書いてみようと思います。これを読んだ若手・中堅の人が「あ!自分もやってるかも」と今後の仕事への向き合い方を見つめ直してもらえるとうれしいです。
『大丈夫です』だけでは、管理職は安心できない
部下に「これ、進められそう?」と聞いて「大丈夫です」と返ってくる。この一言は案外信用できないことがあります。
もちろん、条件反射的に「大丈夫です」と言ってしまう気持ちは分からなくもありません。運転中に助手席から「眠たくない?」と聞かれて、実際は少し眠くても、つい「眠たくないよ」と答えてしまうのと似ています。弱みを見せたくない、心配をかけたくない、そんな気持ちが咄嗟に出るのだと思います。
ただ、仕事に関してはそこで見栄を張らなくてもいいです。分かってもらえることがこちらの目的でもあるので、その時に分からないところがあるなら、腹落ちするまで聞いてほしいというのが本心です。
以前、設計変更の対応を任せた部下が「大丈夫です」と言っていたのに、締切の前日になって「実はここが分からなくて、、、」と打ち明けてきたことがありました。責めるわけではありませんが、わからなくなった時点ですぐに確認してほしいです。時間が経てば経つほど、巻き返すことができなくなります。
相手の反応や表情から「大丈夫」の本当の意味を見極める必要もあるのだと思っています。
だからこそ、こちらとしても「大丈夫?」と聞くだけでは足りない。
「懸念点はない?」
「自分だけでは判断できないところはない?」
と聞くことも必要なのだと思います。
聞かれるまで言わない
進捗は聞かれるまでなかなか報告しない人が意外と多いです。
管理職からすると、実は「報告がないこと」そのものより、「こちらから確認しないと状況が分からないこと」が負担になります。
「どうなってる?」
「予定通りです」
「何か問題ない?」
「大丈夫です」
これを毎回こちらから聞かなければならない人と、
「ここまで進んでいます。今のところ問題ありません。ただ、〇〇だけ少し気になっています」
と言ってくれる人では、安心感が全く違います。
10人の部下がいれば、10人分の状況を頭の中で管理しながら仕事をしています。こちらから聞く前に「ここまで進んでます」「ここで少し詰まってます」と自分から共有してくれる人には仕事の状況の把握ができて仕事を振りやすくなります。
これは報告の上手さの話ではありません。「この人は放っておいても発信してくれる」という安心感があります。
仕事の「その先」が見えているか
指示したことはきちんとやる。でもそれ以上のことはしない。そういう人がいます。
たとえば「この部品の耐久データをまとめて」と頼んだとき、言われた通りにまとめて終わる人と、「会議で使えるように比較表も作っておきました」と一歩先のことをしてくる人がいます。両者の違いは、能力ではなく、その仕事が何のためにあるのかを理解しているかどうかだと感じています。
目的から逆算して考えられる人は、自然と視野が広くなります。「この資料は誰が、どんな場面で使うのか」まで想像できるからこそ、他部署への伝え方や、会議での見せ方にも気を配れるようになるのです。実際、そういう部下は打ち合わせの前に「この資料、〇〇さんにも先に共有しておいた方がいいですか」と一言添えてくれたりします。こちらが気づいていなかった配慮をしてくれるわけです。
逆に、指示された範囲だけをこなす人は、決して悪いわけではありません。堅実で助かるところも多いです。ただ、任せる仕事の幅を広げようとしたとき、「自分で判断してほしい場面」でも指示待ちになってしまうと、結局こちらが細かく指示を出し続けることになります。1を指示したら10までやってくれる人には、次の仕事を任せやすくなります。
同じ指摘を繰り返す
一度伝えたことを、また同じ形で繰り返してしまう。これは、評価そのものよりも「次に任せる仕事をどうするか」に影響しやすいです
自分も部下時代、同じ資料フォーマットのミスを3回指摘されたことがあります。今思えば、あのとき上司は「この子にこの仕事を任せて大丈夫か」と不安を感じていたはずです。
同じミスというより、「指摘が活かされていない」ことが、任せにくさにつながっている気がします。
トラブルを自分だけで抱え込む
小さなミスやトラブルをすぐに報告してくれる人がいる一方で報告しない人もいます。
これも実際にあった話ですが、部下が試作品の検証データを一部取り違えていたのに、それを黙ったまま次の工程まで進めてしまったことがありました。発覚したのは数日後。本人に悪気はなく、「自分でなんとか帳尻を合わせようとした」だけでしたが、結果的に巻き返す工数が大きくなりました。
管理職として一番怖いのは、ミスそのものより「報告が遅れること」です。小さいうちに言ってくれれば大した問題にならないことでも、隠してしまう癖のある部下には任せにくさを感じます。
質問の粒度が合わない
質問すること自体は良いことです。
ただ、質問の粒度が極端だと、逆に管理職の負担になります。
聞かなくてもいいような細かいことを逐一確認してくる人もいれば、逆に、本当に確認すべき前提部分を飛ばして進めてしまう人もいます。
どちらも、こちらの手が止まる原因になります。
たとえば、
「この資料のファイル名は何にしますか?」
「この数字は小数点以下何桁ですか?」
といった、自分で判断しても問題ない細かいことまで確認してくるケース。
一方で、
「この条件だとA案とB案のどちらで進めるべきですか?」
のように、自分なりの考えを持たないまま判断を委ねてしまうケース。
管理職からすると、どちらも「もう少し自分で考えてから聞いてほしい」と感じることがあります。
良い質問は、
「自分でここまでは考えました。そのうえで、ここだけ判断してほしい」
という形になっています。
「どこまで自分で判断していいのか」の感覚がつかめている人は、それだけで管理職からすると安心して仕事を任せやすくなります。
苦手な仕事を避けようとする
得意な業務は積極的にやるのに、不慣れな分野の仕事になると、理由をつけて距離を取ろうとする人がいます。
以前、普段は評価データの分析を得意としている部下に、他部署との調整業務を頼んだことがありました。すると「自分より向いている人がいるのでは」と何度も遠回しに断ろうとしてきたのです。悪気がないのは分かっていましたが、正直、そのやり取りが管理職にとって面倒なのです。それならと別の人にお願いしてしまいます。
もちろん、明らかに負荷が高すぎる仕事や、経験不足でリスクが大きい仕事まで無理に引き受ける必要はありません。
大切なのは「できません」で終わるのではなく、「ここが不安ですが、〇〇のサポートがあればやってみます」と言えることだと思います。
管理職からすると、多少不慣れの仕事でも「やってみます」と言ってくれる人の方が、次の仕事を任せやすくなります。守備範囲を自分で狭めてしまうと、それだけ回せる仕事も狭くなってしまうし、色々な経験を得る機会を逃すので自身の成長としても損をしていると感じます。
おわりに
結局、管理職が「任せたい」と思う人は、何でも一人でできる人ではありません。
分からないことを早めに言える。
状況を自分から共有できる。
指摘を次に活かせる。
トラブルを小さいうちに相談できる。
そして、指示された仕事の目的まで考えられる。
そういう小さな行動が積み重なって、「この人なら任せても大丈夫」という安心感につながっていきます。
もし今回挙げた7つの中に、「自分もやっているかも」と思うものがあったとしても、悲観する必要はありません。
「任せにくい」と一度思われたら終わり、ではありません。
こうした小さな行動は、明日からでも変えられるものばかりです。
この記事が、自分の仕事の進め方を少しだけ見直すきっかけになればうれしいです。
【関連記事】
・管理職は部下をどう評価しているのか
・上司が部下を見限る瞬間
・昇進する人は、評価会議でどう語られているのか
・なぜ会議で発言しないのに評価されるのか
・飲み会の場で実は評価されていること
私は自動車製品開発の管理職として、
若手時代に知りたかったことや、
管理職になって初めてわかったことを発信しています。
参考になればフォローいただけるとうれしいです。
