5年前の私が書いた定時退社のコツ10個は、10個とも「自分の時間」の話でした
1個ずつ見ていたときは、気づきませんでした
2021年の夏、私は毎朝noteに短い「定時退社のコツ」を書いていました。5年ぶんの投稿がそのまま残っています。
先月、そのうち10個に○×をつける記事を書きました。
▶ 5年前の私が毎朝つぶやいていた「定時退社ハック」を、管理職になったいま採点する
先週は、そのうちの1個を全部撤回する記事も書いています。
▶ 5年前の私は「会議中に別の仕事をしましょう」と書いていました。管理職になって、撤回します
どちらも、1個ずつ中身を見て、合っている・間違っていると判定する書き方でした。
今週、その10個を縦に並べ直しました。1個ずつ見ていたときには出てこなかったものが、並べた瞬間に出てきました。
並べたリストが、これです
電話は暴力的に時間を奪う。緊急時以外はチャット・メールで
生産性が高い午前中は、メールを見ない
定時前の10分間は、仕事をセーブする時間にする
出社前に、帰宅する電車の時間を決めておく
シングルタスクを心がける
休憩時間は、スマホを見ない
習慣化するまでやり続ける
意味のない会議には出ない
5時起きをめざす
季節の変わり目は無理をしない
しばらく眺めて、手が止まりました。
10個とも、主語が「私」です。
私の集中、私の午前中、私の帰宅時間、私の休憩、私の習慣。誰か他の人の時間について書いた行が、1行もありません。
採点したときは、◎が4個、○が3個、△が2個、×が1個、といった話をしていました。リスト全体が同じ方向を向いていることには、最後まで触れていません。
なぜ気づかなかったか
当時の私は、割り込みを受ける側にいたからです。
電話が鳴る。会議に呼ばれる。メールが積み上がる。全部、自分では止められない場所から飛んできます。その位置にいる人間にできることは、防御しかありません。
だから10個とも防御の技になりました。悪気はありませんし、いま読んでも技として間違っているものは多くありません。受ける側にいる人にとっては、いまでも有効です。
問題は、その10個を「定時退社のコツ」として人に配っていたことのほうでした。
管理職になって反転したこと
守った時間は、消えてなくなるわけではありません。押し返した先に、必ず人がいます。
自分の技が、そのまま誰かの負担になっていた例が3つあります。どれも、立場が変わってから気づきました。
① 電話をやめて、チャットに寄せた
私の作業は途切れなくなりました。代わりに、送ったほうは「いつ返ってくるか分からない」を持ったまま待つことになります。電話は相手の時間を奪う代わりに、その場で終わっていました。私はそこを見ていませんでした。
② 連絡を、午前と午後の2回にまとめた
これは今月、別の記事で自分から書いています。まとめて返す工夫は、私の中断しか減らしていませんでした。
▶ 2分に1回、私たちは中断されている。速く働いても定時に帰れない理由
③ 意味のない会議に出ない
出席をやめても、会議そのものは残ります。決まらないコストは、その場に残った人が払います。ここは先週、主催する側から書き直しました。
▶ 5年前の私は「会議中に別の仕事をしましょう」と書いていました。管理職になって、撤回します
3つに共通しているのは、手間が消えたのではなく、移動していたということです。そして移動先が、私のリストには書かれていませんでした。
いま11個目を足すとしたら
こう書きます。
減らした手間が、誰の手元に移ったかを確認する
抽象的に聞こえるので、実際にやっていることを1つだけ書きます。
私はいまも、連絡を返すのは1日2回のままです。回数は増やしていません。増やしたのは、1回に渡す情報のほうです。
返信には必ず、誰が・何を・いつまでに・難しい場合はどうするかを書きます。これを書いておくと、私の返事が遅くても、相手は待っているあいだに動けます。
やっていることは「自分の時間を守る」で5年前と同じです。違うのは、押し返した先に何が起きるかを、返信の中で先に潰しているところだけです。
誤解されたくないので、留保を書きます
自分の時間を守るのをやめろ、という話ではありません。
守れていない人が、他人の時間を配ることはできません。5年前の10個は、いまも私自身にはよく効いています。順番として、まず自分を守るのは正しい。
言いたいのは、そこで止まっていたということです。
私は5年間、リストを増やすことばかり考えていました。10個を11個にする。もっと良い技を探す。ところが今回わかったのは、技が足りなかったのではなく、リストの向きが1方向しかなかったということでした。
まとめ
立場が変わって最初に見えたのは、間違いではなく、空白でした。
10個のうち1個が間違っていた、という話なら採点で済みます。10個とも同じ方向を向いていた、というのは採点では出てきません。並べて、離れて見るまで気づけませんでした。
いま受ける側にいる方へ。あの10個は使ってください。本当に効きます。
そのうえで1つだけ。その工夫で浮いた時間の分だけ、どこかで誰かが待っています。 それを知っているかどうかは、立場が変わったときに効いてきます。
私は5年、知らずにやっていました。
定時退社については、こちらにも書いています。
▶ 「定時で帰ったらキャリアは終わる」と思っていた。あれから5年、失ったもの・得たもの
▶ 残業を減らしても、時間は増えなかった。30代管理職が「時短投資」に100万円使った話
実際に試したことだけを書いています。スキ・フォローをいただけると、とても励みになります。
さあ、今日も定時ダッシュです。
