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「認識合わせ」が多い会社は、何を目指すか決まっていない

会社では、ずいぶん頻繁に「認識を合わせ」を行います。会議で合わせ、Slackで合わせ、企画レビュー会で合わせ、実行途中でも合わせる。1on1もあるし、ランチや雑談や飲み会も「大事なコミュニケーション」です。

もちろん、人と話すこと自体は楽しいし、必要な会話もたくさんあります。でも、これだけ認識を合わせ続けていると、少し不思議になります。そもそも、なぜ仕事をするたびに認識を合わせる必要があるのでしょうか。

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企画をレビューする前に、目標をレビューしたほうがいい

たとえば、新しい施策を考えて上司に持っていく。「もっと既存顧客を重視したほうがいい」と言われて直す。すると別の人から「でも新規獲得も大事だよね」と言われる。さらに「今期は収益性も重要」という話が出てくる。全部もっともらしい。だから困ります。こうなると「関係者で一度認識を合わせましょう」となる。会社員が困ったときに唱える呪文です。

でも、この問題を「コミュニケーション不足」と呼ぶのは少し変です。既存顧客と新規顧客のどちらを優先するのか。売上と利益率のどちらを重視するのか。どこまで品質を上げるのか。その判断基準が目標や制約として最初から明確なら、企画する人が自分でかなり判断できます。逆にそれが曖昧なら、企画を一本作るたびに上司へ聞く必要がある。実行中にも聞く。Slackでも聞く。会議でも聞く。つまり、目標が曖昧な組織では、仕事をするたびに小さな目標設定会議が発生するのです。

目標とは、期末に採点するための数字ではない

目標というと、期初にシステムへ入力して、期末に「あれどうなった?」と取り出すものになりがちです。半年寝かせることで味が出るものではありません。目標の一番大事な役割は、評価ではなく、時間の使い道を決めることです。

今期の最重要目標が「既存顧客の解約率を下げる」なら、その人の時間の大部分は当然そこに使われるべきです。顧客を調べる。原因を分析する。改善策を試す。ところが現実には、会議、資料作成、Slack、他部署からの相談、レビューで一週間が終わることがあります。そして「忙しくて目標に取り組む時間がない」。これは時間管理の問題に見えますが、実はそうとも限りません。その仕事が本当に重要なら目標に入れるべきです。守るべきことなら制約として明示する。探索ならラーニングとして時間を確保する。それでも入らない仕事なら、基本的にはやらない。

重要な仕事が大量に目標の外に存在しているなら、目標のほうが間違っています。

上司は目標を決め、メンバーは時間を守る

だから、上司とメンバーにはそれぞれ別の責任があります。上司の仕事は、組織目標を個人目標まで落とすことです。何を達成するのか、何を優先しないのか、どんな制約を守るのかを明確にする。そして、その目標を達成するために必要な時間を確保できるよう、仕事を減らしたり、役割を変えたり、優先順位を決めたりする。

一方、メンバーの仕事は、その時間を実際に目標へ使うことです。毎日の終わりに見るべきなのは、「今日は忙しかったか」ではなく、「今日は、自分の目標にちゃんと時間を使ったか」です。目標が未達なのに、目標と関係のない仕事ばかりしていたなら、その仕事をやめる。自分ではやめられないなら上司へ返す。「この目標を達成するには週20時間必要ですが、今は5時間しか取れていません。何をやめますか」。これはかなり健全な会話です。逆に「最近忙しいですよね」「そうなんですよね」と30分1on1をして、翌週も同じカレンダーなら、それは丁寧に忙しさを鑑賞しているだけです。

目標が弱いと、人間関係がインフラになる

そして、目標が曖昧な組織にはもう一つ特徴があります。「この会社では普通どうするか」を知らないと仕事ができなくなることです。判断基準が目標や制約として明文化されていないので、上司とよく話す人が有利になる。昔からいる人が強くなる。Slackの流れをずっと追い、雑談で背景を知り、飲み会で「実は社長はこう考えているらしい」を仕入れる。こうして、人間関係そのものが情報インフラになります。

すると今度は「カルチャーフィット」が重要になる。「うちの価値観を理解している人」「阿吽の呼吸ができる人」が重宝される。これはある意味で当然です。目標で人を揃えられないなら、人そのものを揃えるしかないからです。

逆に、何を達成すべきかと制約が明確なら、全員が同じ価値観である必要はありません。会社が大好きな人も、給料のために働く人も、飲み会が好きな人も、夕方になったらさっさと帰る人も、一緒に働けます。それぞれ事情も価値観も違う。それでも、何を達成するのかが揃っていれば、仕事は進められる。目標が人を揃えてくれるからです。

「コミュニケーション不足」の前に、目標不足を疑う

もちろん、コミュニケーションは必要です。予想外の出来事もあるし、部署をまたぐ調整もある。学習や探索には議論も必要です。ただし、それは補完であるべきです。企画するたびに確認し、実行するたびにレビューし、Slackで常に相談し、1on1で方向性を確認し、さらに雑談や飲み会までしないと同じ方向を向けない。そんな状態を見て、「もっとコミュニケーションを増やそう」と考えるのは、なかなか豪快です。

認識合わせが多すぎると感じたら、会議を効率化する前に、一度だけ確認したほうがいい。私たちは、何を達成するのかを本当に決めているだろうか。 上司なら、目標と制約をちゃんと設定できているか。メンバーなら、その目標に自分の時間をちゃんと使えているか。目標未達なのに、目標と関係のない仕事で一日が埋まっていないか。目標が仕事をしていない組織では、その代わりに人間がずっと認識を合わせ続けることになります。


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