得意な「動詞」でわかる、商学部・経営学部・経済学部の選び方
「商学部と経営学部って、何が違うの?」
「経済学部も似ている気がして、どれを選べばいいかわからない」
文系の進路を考える生徒から、この相談を何度も受けてきました。
この3つの学部は、名前だけを見ても違いがわかりにくく、「なんとなく就職に強そう」「ビジネスに関係ありそう」という理由で選んでしまうことがあります。
「自分が何を学びたいのか」「どの学部に適性がありそうなのか」を考えないまま決めてしまうと、「思っていた学びと違った」「自分には合わなかった」と感じてしまいます。
ここでは「受験学部」を決める段階で、「どの学部が自分に向いているのか」を考えるための判断材料をお伝えします。
□ 「学部」の適性は「動詞」で考える
学部の違いを考えるときに大切なのは「ビジネスに興味がある」「お金や会社に関心がある」という気持ちだけで判断しないことです。
同じようにビジネスや社会の仕組みに興味があっても、関わり方は人によって違うからです。
商品やサービスを、必要な人に「届けたい」のか
会社や組織をうまく「動かしたい」のか
社会全体のお金や人の動きを「分析したい」のか
消費者に価値を「伝えたい」のか。
人や組織の力を引き出して「成長させたい」のか
このように、自分が会社や社会に対して何をしたいのかを「動詞」で見ていくと、学部選びの判断材料が見えてきます。
「学部」の違いや「適性」を判断するには、次の2つのステップで考えます。
① 得意なことを「動詞」で見つける
② 学部で求められる「動詞」とつなげる
この順番で考える理由は「何に興味があるか」だけでなく「どのような役割で関わりたいか」によって向いている学部が変わるからです。詳しくは以下の記事で紹介していますので、ぜひご覧ください。
① 「得意なこと」を見つける
自分の「得意なこと」を「動詞」で見つけていきます。例えば「得意なこと」とは、以下のようなものです。
情報を「整理する」ことが得意
人にわかりやすく「説明する」ことが得意
実験結果やデータを「分析する」ことが得意
細かい変化を「記録する」ことが得意
人や役割を「調整する」ことが得意
同じように会社やお金、社会の動きに興味があっても「何をすることに面白さを感じるのか」は人によって違います。学部を選ぶときには「何に興味があるか」だけでなく、「どのように関わることが得意か」を見ることが大切です。
得意なことの見つけ方については、以下の記事で詳しく説明しています。ぜひご覧ください。
② 得意な動詞×学部の動詞
次に見ていくのは、学部ごとの「動詞」です。その学部では、学問に対してどのような役割で関わるのかを見ていきます。
たとえば、商学部を「名詞」で見ると、商品、サービス、市場、企業、消費者、お金、流通、会計、広告、金融といった分野が見えてきます。
しかし、経営学部でもマーケティングを学ぶことがありますし、経済学部でも金融を扱うことがあります。だから、高校生からすると「結局、どれもビジネス系の学部ではないのか」と感じてしまいます。

そこで、商学部を「動詞」で見てみます。商学部は、「売る」「届ける」「広める」「交換する」「測る」「つなぐ」といった行為を学んでいく学部と見ることができます。これらはどれも「価値を相手に渡す」という一点に集約されるため、商学部の中心にある動詞は「届ける」と言えます。
そして、自分の「得意な動詞」と、「学部で求められる動詞」が合わさったところが、自分の適性を考える手がかりになります。

□ 商学部で求められる動詞
商学部の中心にある動詞は「届ける」です。
「どうすれば商品やサービスを必要な人に届けられるのか」
「どのように価値を伝えれば、選んでもらえるのか」
「企業の活動は、数字やお金の流れとしてどのように表れるのか」

こうした問いを考えるのが商学部です。経営学や経済学に近い内容を学ぶこともありますが、出発点にあるのは「社会の中で価値がどのように交換され、人や企業に届いていくのか」を理解することです。
以下の動詞が、自分の得意なことと重なるなら、商学部は進路の候補として考えやすくなります。

例えば、
同じ商品やサービスでも、「誰に向けて、どう見せれば欲しくなるか」を考えてしまうタイプ
値札やキャッチコピーを見て、「この値段・この言葉だから買いたくなるんだな」と、売り方そのものに興味が向いてしまうタイプ
は商学部に向いていると言えます。
□ 経営学部で求められる動詞
経営学部の中心にある動詞は「動かす」です。
「組織をどうすればうまく動かせるのか」
「人が力を発揮するためには、どのような仕組みが必要なのか」
「会社は、どのように戦略を立て、成長していくのか」
「限られた人・お金・時間を、どのように使えばよいのか」

こうした問いを考えていきます。出発点にあるのは、企業や組織を一つのまとまりとして捉え、それをどう動かしていくかを考えることです。
以下の動詞が、自分の得意なことと重なるなら、経営学部は進路の候補として考えやすくなります。

例えば、
部活やバイトのシフトで、「誰が何の時間にどれだけ動けるか」を考えながら全体を組み立てるのが、苦にならないというより、むしろ楽しいと感じるタイプ
何かのイベントで、予算や時間が限られているとわかった瞬間に、「何を削って何を残すか」を真っ先に考え始めるタイプ
は経営学部に向いていると言えます。
□ 経済学部
経済学部を動詞で見るなら、中心にあるのは「分析する」です。
「なぜ物価は上がるのか」
「なぜ景気がよくなったり悪くなったりするのか」
「人や企業は、どのような条件で行動を選ぶのか」

こうした問いを考えていきます。出発点にあるのは、個別の商品や会社を見ることよりも、社会全体の仕組みや人々の行動を分析することです。
以下の動詞が、自分の得意なことと重なるなら、経済学部は進路の候補として考えやすくなります。

例えば、
ニュースで値上げの話を聞いたとき、「自分の生活がどう変わるか」より先に、「なぜこのタイミングで値上げなのか」「他の業界にも同じことが起きているのか」が気になってしまうタイプ
クラスや部活で何かが流行ったとき、「なぜこれが今のタイミングで流行ったのか」を後から振り返って考えてしまうタイプ
は経済学部に向いていると言えます。
□ 進路面談で、次に何を質問すればよいか迷う方へ
ここまで読めば、商学部・経営学部・経済学部の違いは、動詞から考えられるようになります。
ただし、実際の面談では、生徒が最初から「届けたい」「動かしたい」「分析したい」と答えてくれるわけではありません。
「マーケティングに興味があります」
「でも、どの学部が合うかは分かりません」
そんな生徒に、次に何を聞き、どの順番で深掘りすればよいのか。
その面談の流れを、5つのSTEPに整理しました。
有料記事では、
28の学問キーワードを収録した進路ワークブック
生徒へそのまま配布できるワークシート
次に何を聞くかを整理した教師用ガイド
STEP1からSTEP5までの面談ロールプレイ
を使い、学部の仮決めから志望理由書までつなげる方法を解説しています。

商学部・経営学部・経済学部で迷う生徒との面談を、感覚ではなく「型」で進めたい方はこちらをご覧ください。
□ おわりに
商学部・経営学部・経済学部は、どれも社会やお金、企業の動きに関わる学部ですが、名前だけで判断しようとすると、違いが見えにくくなります。
進路選択で大切なのは、
自分が、どのような視点で社会を見たいのか。
どのような問いを考えることに、面白さを感じるのか。
どのような動詞が、自分の得意なことと重なるのか。
そこまで考えることで、学部の違いは少しずつ見えやすくなります。
また、「自分がどんな動詞に力を発揮しやすいか」を考えてみると、自分に合う学部が見えてくるはずです。
「商学部」と「経営学部」の違いを具体例で解説した、以下の記事も合わせてご覧ください。
理系学部の適性について「動詞」で考えたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
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