ちいかわの次に流行る絶望?|漫画『ニンゲンの飼い方』と、会社に「飼われる」私たちのリアル
ちいかわが好きな人に刺さりそうな漫画「ニンゲンの飼い方」
この漫画は怪物たちが跋扈するファンタジー世界に迷い込んでしまった人間たちのお話。
どう迷い込んでくるのかは語られていないが、いきなりファンタジー世界に入り込んでしまう。このファンタジー世界は人間が手のひらに乗るぐらいの大きな化け物たちが暮らしている。
多くの人間は死んでしまっているだろうが、一部化け物に拾われて飼われる。そんなお話。
なぜちいかわ好きにおすすめなのか。
理由は3点ある。
ひとつは出てくる化け物たちが可愛い。人間を大事に飼いたい、と思いながらもどうすればうまくいくのか、今やっていることがうまくいくのか分からずオロオロする。
起こったトラブルに対処する、仲間の化け物と助け合う。
あと見た目も可愛い。ぬいぐるみ化してほしい。
2点目は箱庭感だ。
ちいかわたちは小さな世界で暮らし、働き、遊んでいる。
あのシルバニアファミリーのような箱庭感。
それと同じものが本作にもある。
人間は小さなお家に飼われている。色んなグッズが置かれている。生きている木とか。
そして、ファンタジー世界自体にも箱庭感がある。
人間の飼い方についてのワンポイント解説がされるが、髪を染めるのが好きな人間、でもファンタジー世界には髪染めの道具がある訳じゃない。代替するファンタジー世界のグロテスクな草とかが紹介される。
こういう小さな設定がいっぱいあるのがうれしい。
3つ目はグロテスクな世界観だ。
今まで可愛い話をしてきたが、人間が迷い込むファンタジー世界は危険に溢れている。
そもそもだ、よく分からない世界に紛れ込んでしまったからと言って、化け物に飼われるなんて受け入れられない。
本作に出てくる人間たちは最初は化け物を恐れ、脱出を試みる。だが、次第に飼いならされていく。そして、化け物と意思疎通をし始める。だんだん飼われている状況に順応していく。
この順応しきった姿がちいかわ達と被らないだろうか。
いつ巨大な怪物に食べられるか分からない恐怖と隣り合わせで、理不尽な労働を強制されながらも、ささやかな報酬で「悪くない」と楽しく生きている。
だが、ふと我に返る。
これはファンタジー世界の話だろうか?会社や社会という大きなシステムの中で、自分の力ではどうにもならないルールに囲まれ、ささやかな給料日や週末のビールを楽しみに順応していく。我々現代のビジネスパーソンもまた、見えない何かに「飼われている」。
ちいかわや本作のような、キュートな皮を被ったディストピア作品が今の時代に強烈に支持される理由。それは、分断された社会の中で必死に環境を肯定しようとする、我々自身の自画像だからかもしれない。
ちいかわブームの次に来るこのビッグウェーブに、あなたも今のうちに乗ってみてはどうだろうか。

