見出し画像

バーチャロイド・コンセプトアファームド(後篇)


 電暦拾遺、前回はアファームド前篇と題して近接格闘戦の誕生経緯をお話させていただきました。

▼前回はこちらから

 ちょっと間があきましたので、軽くおさらいさせてください。

 1994年末の第一回ロケテストを乗り切ったバーチャロンは、年明けに追加予算が承認され、新しいバーチャロイドの仕込みができるようになりました。これまでの反省を踏まえ、事前にきちんと機体コンセプトを決めておこうと考えた私は、手始めに二体分の原案作成に着手します。アファームドはそのうちの一体です。
 この機体は、テムジンとは異なるタイプの中型機、ソリッドな操作感、決め手は近接戦闘……という三点をコンセプトの核としていましたが、肝心の近接戦闘はこれから作るぶっつけ本番体制で、常識的に考えると普通に無謀でした。
 案のじょう3Dフィールドでの格闘戦をゲーム化するのは難度が高く、かなりの地獄をみることになります。それでも半年ほどねばっているうちに、ジャンプ・キャンセルなどを流用する形で、2D格闘とは一線を画する殴り合いやり合いができるようになりました(※1)。「これなら何とかなるのでは」と思える程度に地ならしが進む中、並行してアファームドの製作が進みます。その運命やいかに。

©SEGA  CHARACTER DESIGN:KATOKI HAJIME

 ……ということで、後篇の始まりです。
 まずは武装の選定からお話したいと思います。

▼過去の機体解説 : 一号機(テムジン)、二号機(ライデン)、バイパー、ベルグドル、ヤガランデの記事もあわせてご覧ください!

▼「2026年間購読マガジン」だと、2026年に掲載された分の記事すべてをいつでも読み返すことができるようになります。ぜひこちらからお求めください!

※本記事はこちらからもお楽しみいただけます(※上記の「2026年間購読版」は購入後もずっと記事を保存できますのでおすすめです)。

トンファーに秘められた野心

 コンセプトの段階から近接戦闘専用装備を持たせることを明記したのは、初代バーチャロンに登場する機体の中ではアファームドが最初です。

 本機に先立ち1994年から製作を始めていた前期開発グループの機体、例えばテムジンやバイパーなどは、銃器から光刃が発生して近接戦闘を行ないますが、これらはみな、1995年の初頭に近接戦闘実装が決まってから付け加えられたものです(※3)。
 対して、機体のコンセプト立案が近接戦闘実装とほぼ同タイミングで始まったアファームドとドルカスは、最初から専用武装込みで仕様が検討されたのです(※4)。

 アファームドにあてがわれた近接戦用武装はトンファー。私の独断に近い形でリクエストさせていただいたもので、出発点は、既存のロボとはあまり縁がなさそうな武器を持たせたいという欲望でした。剣とか斧とか槍とか、若干ありきたりと言いますか、もうこれまで散々使われてきて手垢がついている感があったので、できれば違う趣向の物を……と思っていたのです。それだけ使い回されるくらいに勝手の良い装備であることは承知していたのですが、敢えて定番を除外する方向での挑戦心を抑えがたく、こだわってしまいました。

©SEGA  CHARACTER DESIGN:KATOKI HAJIME

獣王記

 トンファーの選択にはもう一つ、起点となるものがありました。『獣王記』五面に登場する敵キャラのイノシシです(※5)。

ここから先は

15,145字 / 10画像

■サブスク版 毎週Beep21とは 伝説のゲーム誌が21世紀の2021年に奇跡の復活を遂げた『Bee…

サブスク版 毎週Beep21

¥500 / 月

「2026年間購読版」は2025年版に続き、お得な価格で好評販売中です! 一度買えば買い逃しなく2026年すべての記事が収録されていく、お得な2026年間購読マガジンをぜひお求めください!

伝説のゲーム誌『Beep』が2021年に21世紀仕様になって5年目に突入! 『Beep21』は他では読めない独自取材記事と当時の関係者によ…

Amazon Payで支払うと最大2%還元のチャンス! 9/30まで

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?