失敗は「責めるもの」ではなく「考えるもの」
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失敗を恐れる心は、成長を阻害する
私と妻の間には、娘に接する上での確固たるルールがある。 それは、「失敗を責めない」ということだ。
「失敗は悪いことではない、誰にでもあることだ」という考えを徹底している。 なぜなら、失敗を責められ続けると、子供は「失敗すること」を極端に恐れるようになる。挑戦を避け、隠し事をするようになる。それは、彼女のこれからの長い人生にとって、決して良いことではない。
だから私は、娘にこう伝え続けている。 「失敗することが悪いわけではないんだよ。失敗は誰にでもある。大切なのは、それを繰り返さないこと。一度失敗したら、どうしてそうなったのかを考え、次はどうすればそうならないのかを一緒に考えようね」
牛乳がこぼれた朝の「事後分析(ポストモーテム)」
例えば、朝の食卓。娘が牛乳の入ったコップを倒してしまった。よくある光景だ。 「ごめんなさい……」と項垂れる娘。
ここで、妻はあらかじめ決めてある「役割」を果たす。ブツブツと小言は言う。だが、決して人格を否定したり、怒鳴り散らしたりはしない。感情の「ガス抜き」をしつつも、娘を追い詰めない絶妙なラインだ。
私は妻と協力して、淡々と後始末をする。 一段落して、娘の心が落ち着いた頃を見計らって、私は語りかける。これは叱責ではない。「分析」という名の対話だ。
「落ち着いたね。ところで……どうして、こぼれてしまったと思う?」 「手がぶつかった……」 「じゃあ、どうしたらいいと思う?」 「……わかんない」
娘が「わからない」と言うのは、思考が止まっている証拠だ。そこへ、論理的な道筋を一つずつ置いていく。
「ここに置いてあったから、手がぶつかったんだよね」 「うん」 「ここに置いたのは、だれかな?」 「わたし」 「だったら、もしコップがここじゃなくて、もっと遠くに置いてあったら、どうかな?」 「ぶつからない」 「そうだね。じゃあ次は、手がぶつからない位置に置くようにしよう。いいね?」 「うん、わかった」
何がいけなかったのか、そして次はどうすれば良いのかを教える。 一回で完璧にできるわけがない。根気よく、焦らず、教え続ける。そうすればやがて娘は、意識せずとも「手がぶつからない位置」へコップを置くようになる。
目の前の「こぼれた牛乳」という事象に囚われず、その奥にある「原因と対策」の本質を見抜く。この習慣を、幼い頃から身につけてほしいと願っている。
「自分の人生」を自分で決断するために
私は普段から、娘にこう言っている。「やっていいことか悪いことかは、自分で判断できるようになろうね。誰かに言われたからではなく、自分のことは自分で考え、自分で決断できるようになろう。最後に決断をするのは、自分なんだから」
そして、自分の意思を言葉にすることの大切さも説く。「どうしたいかは、自分で言えるようになろうね。嫌なことは『嫌だ』と言っていい。やめてほしいことは『やめて』と言う。パパにちゃんと伝えてね」
何を思い、何を考えているかは、言葉にしなければ相手には伝わらない。それこそがコミュニケーションの始まりだ。「食べたくないものを、無理に食べなくてもいい。飲みたくないものを、飲む必要もない。ただ、『どうして食べたくないのか』はパパにちゃんと伝えてね」 娘は「わかった!」と笑って答えてくれる。
アレクサの指示と、自分の責任
ある日、幼稚園から帰ってきた娘が「ママ、タオルがなかったよ」と言っていた。 私はそこへ割って入り、静かに確認した。
「幼稚園に行く前に、カバンの中身を確認したの?」 「……してない」 「なぜしないの。今朝もアレクサが『忘れ物がないか確認しましょう』と言っただろう」 「うん、言ってた」 「なぜカバンを開けて中身を見なかったの? アレクサに言われたのに、どうしてできなかったのかな」 「……わかんない」
問い詰めたいのではない。「どう改善するか」を彼女の口から引き出すためのフェーズだ。 「では、どうすればよいと思う?」 「……幼稚園に行く前に、カバンを開けて中身をみる?」 「そうだね。無くて困るのは自分なのだから。これからは家を出る前、靴を履くところでカバンを開けて中身を見るようにしよう。いいね、パパとの約束だよ」 「うん、わかった」
自由へ漕ぎ出すための羅針盤
パパとの約束は、娘を縛るための鎖ではない。 いつか彼女がこの家を離れ、自由という名の大海原へ漕ぎ出したとき、迷わず進むための「羅針盤」だ。
物事の本質を捉え、自分の意思を言語化し、失敗を糧にして改善を繰り返す。 この小さな習慣の積み重ねが、やがて彼女の「生きる力」になると信じている。
「失敗を責めるのは、誰のためか。私と妻がかつての自分たちの痛みから削り出した、娘へのたった一つの『約束』について書きました。育児を感情論から卒業させたいすべての人へ。」
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
失敗を責めず、本質を見抜く力を育てる。この試行錯誤の記録が、いつか同じ悩みを持つ親御さんのヒントになれば幸いです。
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▼「避雷針パパ」の物語はこちら(TALES版)
https://tales.note.com/gay_panda2698/wxlgro208ds02/episodes/ezpg2ovmv8d51
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無力さを知ったあの日から、もっと強く守ると決めた。
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