#13|熱中症?それとも別の病氣?──見分けるときの考え方
熱中症シリーズ
〜命を守る完全ガイド〜
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熱中症から命を守る
知らなかったでは済まされない、
予防・後遺症・暑さに備えるカラダづくり
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第2章|熱中症の症状を知る
#13|熱中症?それとも別の病氣?──見分けるときの考え方
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暑い日に、
「頭が痛い。」
「吐き氣がする。」
「カラダがだるい。」
「フラフラする。」
そんな症状が現れたら、
「熱中症かもしれない。」
と考えることは、とても大切です。
熱中症は、早く疑い、早く対応することで、重症化を防げる場合があるからです。
しかし、ここで知っておいてほしいことがあります。
暑い場所で体調が悪くなったからといって、
すべてが熱中症とは限りません。
頭痛。
吐き氣。
めまい。
倦怠感。
大量の汗。
意識の変化。
こうした症状は、熱中症だけでなく、別の病氣でも現れることがあります。
その中には、
一刻も早い治療が必要な病氣もあります。
だからこの記事で一番伝えたいことは、
「熱中症かどうかを自分で診断すること」ではありません。
熱中症を疑いながら、
別の病氣の可能性も忘れず、
必要なときには迷わず医療につなげること。
その判断が、自分と大切な人の命を守ることにつながります。
■|熱中症と似た症状が現れる病氣
熱中症と似た症状が現れる病氣には、
代表的なものとして、
脳卒中。
心筋梗塞などの心疾患。
低血糖。
感染症。
脱水。
などがあります。
暑い日に体調を崩すと、
どうしても、
「熱中症だろう。」
と思いやすくなります。
しかし、
発症した場所や、その日の暑さだけで原因を決めることはできません。
だからこそ、
熱中症だけを考えるのではなく、
命に関わる病氣も知っておくことが大切です。
ここからは、
特に注意したい病氣について見ていきます。
■|脳卒中を疑うサイン
特に注意したい病氣の一つが、脳卒中です。
脳卒中では、
突然、
顔の片側がゆがむ。
片方の腕に力が入らない。
ろれつが回らない。
言葉が出てこない。
相手の言葉を理解できない。
といった症状が現れることがあります。
日本脳卒中学会では、
「Face(顔)」
「Arm(腕)」
「Speech(言葉)」
の異常が突然現れた場合には脳卒中を疑い、
発症時刻を確認して、
速やかに対応する
「ACT FAST」
が示されています。
一方、熱中症でも、
意識がおかしい。
受け答えがおかしい。
まっすぐ歩けない。
などの神経症状が現れることがあります。
だから難しいのです。
暑い日に突然倒れたり、受け答えがおかしくなったりすると、
「熱中症だ。」
と思ってしまうことがあります。
しかし、
顔や手足の異常が片側だけに現れる。
言葉が突然出なくなる。
このような症状は、脳卒中を疑う重要なサインです。
脳卒中は、できるだけ早く治療につなげることが重要な病氣です。
熱中症だと思い込み、様子を見続けることで、必要な治療が遅れてはいけません。
■|心筋梗塞を疑うサイン
心筋梗塞などの心疾患にも注意が必要です。
急性心筋梗塞では、
突然の強い胸の痛み。
胸を締め付けられるような感じ。
胸の圧迫感。
息苦しさ。
冷や汗。
吐き氣や嘔吐。
などが現れることがあります。
ここで難しいのは、
吐き氣。
だるさ。
冷や汗。
息苦しさ。
など、一部の症状は熱中症でも起こり得ることです。
さらに、高齢者や糖尿病がある人では、典型的な胸の痛みがはっきり現れない場合もあるとされています。
つまり、
暑い日に氣分が悪くなったからといって、
熱中症だけとは言い切れません。
胸の痛み。
胸の圧迫感。
強い息苦しさ。
突然の冷や汗。
などがある場合には、
心疾患の可能性も考え、速やかに医療機関を受診することが大切です。
■|低血糖を疑うサイン
低血糖でも、汗や意識の異常が起こります。
糖尿病の治療をしている人などでは、低血糖にも注意が必要です。
低血糖では、
大量の汗。
動悸。
手の震え。
強い空腹感。
などが現れることがあります。
さらに血糖値が低下すると、
集中できない。
受け答えがおかしい。
意識がもうろうとする。
意識を失う。
といった症状へ進むことがあります。
ここで難しいのは、
大量の汗。
ぼんやりしている。
反応が鈍い。
意識がおかしい。
こうした様子だけを見ると、
熱中症と思ってしまうことがあることです。
しかし、
特に糖尿病の治療を受けている人では、
低血糖という可能性も考える必要があります。
熱中症と思い込んで対応が遅れることで、
必要な治療の開始が遅れてしまうこともあります。
■|感染症を疑うサイン
発熱。
頭痛。
吐き氣。
倦怠感。
意識の変化。
こうした症状は、感染症でも現れることがあります。
感染症の種類によって症状はさまざまですが、
重い感染症では、
けいれん。
意識障害。
循環不全。
などへ進むこともあります。
暑い日に体調が悪くなると、
「熱中症だろう。」
と思いやすくなります。
しかし、
発熱が続く。
悪寒が強い。
咳や喉の痛みなど、感染症を疑う症状がある。
このような場合には、
感染症の可能性も考えなければなりません。
夏だから。
暑かったから。
汗をかいていたから。
それだけで、
熱中症と決めつけてしまうと、
本当に治療が必要な病氣を見逃してしまう可能性があります。
■|脱水の可能性もある
暑い日に体調が悪くなると、
熱中症を思い浮かべる人は少なくありません。
しかし、
水分不足による脱水が主な原因となり、
めまい。
頭痛。
倦怠感。
などが現れることもあります。
脱水と熱中症は深く関係していますが、
同じ意味ではありません。
暑い環境にいなくても脱水は起こりますし、
脱水だけで体調を崩すこともあります。
脱水でも、熱中症とよく似た症状が現れることがあります。
そのため、
暑い日に体調を崩したからといって、
すべてを熱中症と決めつけないことが大切です。
暑さだけに目を向けるのではなく、
カラダ全体の状態を考えることも忘れないようにしましょう。
■|病名を当てることが目的ではない
ここまで読むと、
「では、どうやって見分ければいいの?」
と思うかもしれません。
しかし、
一般の人が症状だけで、
熱中症。
脳卒中。
心筋梗塞。
低血糖。
感染症。
などを正確に見分けることは、とても困難です。
だからこそ、大切なのは、
病名を当てることではありません。
「熱中症かもしれない。」
と疑うこと。
そして、
「熱中症に違いない。」
と決めつけないこと。
この二つは、
似ているようで、大きく違います。
熱中症を疑いながら、
別の重大な病氣の可能性も考える。
そして、
「この状態を、自分たちだけで判断してよいのだろうか。」
という視点を持つことが、
命を守る判断につながります。
■|「様子を見る」より医療へ
次のような症状がある場合には、
熱中症かどうかを考え続けるよりも、
速やかに医療につなげることを優先してください。
・意識がおかしい。
・呼びかけへの反応が悪い。
・突然、顔がゆがんだ。
・片方の手足に力が入らない。
・ろれつが回らない。
・けいれんしている。
・強い胸の痛みや圧迫感がある。
・強い息苦しさがある。
・自力で水分を飲めない。
・症状が改善しない、または悪化している。
こうした状態では、
「熱中症なのか、別の病氣なのか。」
と悩み続け、
「様子を見る。」
よりも、
速やかに医療へつなげることを優先してください。
■|まとめ
暑い日に体調が悪くなると、
「熱中症だ。」
と思うことは自然なことです。
しかし、
頭痛。
吐き氣。
めまい。
大量の汗。
意識の変化。
こうした症状は、
熱中症だけでなく、
脳卒中。
心筋梗塞などの心疾患。
低血糖。
感染症。
脱水。
などでも起こることがあります。
だから大切なのは、
病名を自分で決めることではありません。
危険な状態を見逃さず、
必要なときには迷わず医療につなげることです。
「熱中症かもしれない。」
と疑う力。
「それとも別の病氣かもしれない。」
と考える力。
その判断が、
自分と大切な人の命を守ることにつながります。
|次回予告
同じ熱中症でも、
症状や状態によって危険度は大きく異なります。
では、
どこからが軽症で、
どこからが重症なのでしょうか。
そして、
症状を見たとき、
私たちは何を基準に判断すればよいのでしょうか。
次回は、
#14|熱中症の重症度とは?──症状に応じた考え方
熱中症の重症度と、
症状に応じて対応を変えるための考え方について解説します。
|参考資料
・日本救急医学会「熱中症診療ガイドライン2024」
・厚生労働省「職場における熱中症予防情報」
・厚生労働省「熱中症が疑われる人を見かけたら」
・日本脳卒中学会「脳卒中の予防・発症時の対応」
・国立循環器病研究センター「急性心筋梗塞」
・国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター「低血糖」
※本記事の内容は、執筆時点で公的機関が公表している情報をもとに作成しています。
|関連記事
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大量の汗が出る、汗が減ってくる、暑いのに汗をかいていない。発汗の変化からわかることと、「汗をかいているから大丈夫」とは判断できない理由を解説しています。
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|暑さに備えるために、日頃からカラダを整える
熱中症から命を守るために大切なのは、
暑い日に水分をとることや、
無理をしないことだけではありません。
日頃から、
自分のカラダの変化に氣づくこと。
呼吸を整えること。
姿勢を整えること。
適度にカラダを動かすこと。
そして、
体調がいつもと違うときに、その変化を見過ごさないことも大切です。
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呼吸・姿勢・運動を通して、
自分のカラダと向き合い、
毎日の体調を整える習慣づくりを行っています。
熱中症対策も、
暑くなってから始めるものだけではありません。
毎日のカラダづくりから、暑さに備える。
その積み重ねも、
自分の健康を守るための大切な準備です。
|シリーズ一覧
第1章|熱中症の正体を知る(全9記事・公開済)
「熱中症とは何か」から始まり、体温調節の仕組み、発症メカニズム、重症化する理由まで、熱中症の本質を体系的に学べる章です。
第1章|熱中症の正体を知る
🟠 #0|なぜ今、熱中症を学ばなければならないのか
熱中症を今学ぶ必要性と、本シリーズを通して身につけてほしい知識と行動について解説しています。
🟠 #1|熱中症とは何か──まず知っておきたい基本
熱中症の定義と、体温調節が破綻することで起こる病態の基本を解説しています。
🟠 #2|熱中症を防ぐ体温調節の仕組み──人はなぜ体温を保てるのか
人間が体温を一定の範囲に保つために働く、汗や皮膚血流などの体温調節機能を解説しています。
🟠 #3|熱中症はどう起こる?──カラダの中で起きていること
熱中症が発症するまでに、熱・血液・水分・脳や臓器にどのような変化が起きるのかを解説しています。
🟠 #4|熱中症は誰でもなる──「自分は大丈夫」が一番危ない
年齢や体力に関係なく、誰にでも熱中症が起こる可能性がある理由を解説しています。
🟠 #5|熱中症は予防できる──起きる前の判断が命を守る
熱中症を防ぐために必要な基本的な考え方と、早い段階で行動を変える重要性を解説しています。
🟠 #6|熱中症になると何が起こる?──全身に及ぶ影響
熱中症が進行したとき、脳・心臓・血管・腎臓・筋肉・肝臓・血液凝固など、全身へどのような影響が及ぶのかを解説しています。
🟠 #7|熱中症が命を奪う理由──死亡と後遺症を防ぐために
熱中症が重症化すると、なぜ死亡や後遺症につながることがあるのか。命を守るために知っておきたい危険性と、早期対応の重要性を解説しています。
🟠 #8|第1章まとめ──熱中症を正しく知ることが命を守る第一歩
熱中症の仕組みや危険性など、第1章で学んだ大切なポイントを整理した記事です。
第2章|熱中症の症状を知る
熱中症では、どのような症状が現れるのか。
初期症状から重症化のサイン、受診の判断まで、熱中症を見逃さず、命を守るために知っておきたい症状と対応を学ぶ章です。
🔵 #9|熱中症ではどんな症状が出る?──見逃してはいけないサイン
熱中症では、軽い異変から命に関わる症状まで、さまざまなサインが現れます。症状全体を俯瞰し、第2章で何を学ぶのかをわかりやすく解説しています。
🔵 #10|これって熱中症?──最初に現れやすい初期症状
めまい、立ちくらみ、大量の発汗、こむら返り、頭痛、吐き氣、倦怠感など、熱中症の初期に現れやすい症状と、「まだ大丈夫」と見過ごさず早めに氣づくことの重要性を解説しています。
🔵 #11|危険なサインを見逃さない──重症化を疑う症状
意識がおかしい、呼びかけへの反応が鈍い、まっすぐ歩けない、けいれん、高体温など、熱中症の重症化を疑う危険なサインと、迷わず救急要請につなげることの重要性を解説しています。
🔵 #12|熱中症では汗はどう変わる?──汗が出ない・汗が止まらないとき
大量の汗や、暑いのに汗が出にくい状態など、熱中症で見られる汗の変化と、汗だけでは重症度を判断できない理由を解説しています。
🔵 #13|熱中症?それとも別の病氣?──見分けるときの考え方(今回の記事)
熱中症と似た症状を示す病氣もあります。熱中症を疑うことは大切ですが、思い込みによって重大な病氣を見逃さないための考え方を解説します。
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