死ぬまでに観たい世界遺産映画101《第9章:あとがき》
第9章:あとがき
2026年1月の作品選定から半年かけて12万字近くの文章および動画で世界遺産映画を紹介してきました。2025年の「【上映時間3時間以上】超長尺映画100本を代わりに観る」、2024年の「チェ・ブンブン Presents 2020年代注目の映画監督100選」と比べるとはるかに難易度の高いプロジェクトでした。
まず、日本の世界遺産映画を集めるのに苦労しました。富岡製糸場や琉球王国のグスク及び関連遺産群といった有名な世界遺産に関して、映画となるとほとんどなかったからです。厳島神社は『ミステリと言う勿れ』があったのですが、実際に観てみるとミステリーのネタ晴らしパートで厳島神社が登場しており、また本遺産の歴史的な部分との絡みが希薄だったため掲載を取りやめることにしました。
また、以前の企画とは異なり、エリアごとのバランスを調整する必要がありました。少しでも気を抜くとフランスやイタリアの世界遺産ばかりとなってしまうため、適度に抜きました。また、オセアニアの世界遺産が登場する映画を探す難易度が高く、最初は『世界の中心で、愛をさけぶ』『ロード・オブ・ザ・リング三部作』、そしてシドニーのオペラハウスが登場する映画群しか思いつかなかったのですが、最終的に7本の作品を選定することができました。
個人的には、人間が住めない程に暑い場所として知られているルート砂漠を舞台にしたイランの心理ドラマ『Cause of Death: Unknown』を扱いたかったのだが、最後まで鑑賞が叶わず泣く泣くリストから除外しました。
今回、世界遺産映画を紹介するプロジェクトをやってみて、抜けている知識や断片的知識が繋がり、世界遺産のことがさらに好きになりました。世界遺産検定1級やマイスターを受験していた頃は、単語や用語をひたすら丸暗記していたため、合格してからはすぐに忘れてしまいました。改版されたテキストもひとまず購入してみたものの、ほとんど開くことはありませんでした。しかし、今回のプロジェクトを通して受験時代以上にじっくり読み込み、必要に応じてユネスコのサイトより世界遺産リストへ登録された当時のICOMOS評価報告書に触れ学びを深めることができました。
自由研究は小学生がやるイメージが強いですが、大人になってからやる自由研究は幼少期以上に面白いものがあるなと実感。今年の創作大賞も有意義な時間が使えたので大満足だったのでした。
近々で公開される世界遺産映画として、マーティン・マクドナー監督『Wild Horse Nine』がラパ・ニュイ国立公園(イースター島)を舞台にしたスパイサスペンスとのことなので首を長くして待ちたいと思います。
【目次】
【著者プロフィール】

che bunbun(チェ・ブンブン):映画ライター/映画批評VTuber
大学時代から映画祭映画や日本未公開映画を発掘して紹介している映画ライター。CINEMAS+といったWeb媒体から、NIGHTMARE OF GUYMADDINやオムネス・フィルムズ特集、ラース・フォントリアー特集のパンフレットに寄稿しています。
また、2024年には飲み会のプロとしてプレイボーイ様より取材を受けました。
ここ数年は、映画批評VTuberとしても活動を行っております。
【関連記事】
【参考文献】※集約版
・ふみこんで学ぶ世界遺産700 世界遺産検定準1級公式テキスト(世界遺産検定事務局 、2023/12/12)
・101 CULT MOVIES YOU MUST SEE BEFORE YOU DIE(スティーヴン・ジェイ・シュナイダー、Barron's、2010/1/1)
・すべてがわかる世界遺産1500(上巻) 世界遺産検定1級公式テキスト(世界遺産検定事務局 、2024/3/22)
・すべてがわかる世界遺産1500(中巻) 世界遺産検定1級公式テキスト(世界遺産検定事務局 、2024/3/22)
・すべてがわかる世界遺産1500(下巻) 世界遺産検定1級公式テキスト(世界遺産検定事務局 、2024/3/22)
・死ぬまでに観たい映画1001本 改訂新版(スティーヴン・ジェイ・シュナイダー総編集、ネコ・パブリッシング、2011/8/31)
・改訂版 西洋・日本美術史の基本 美術検定1・2・3級公式テキス(美術検定実行委員会 、2014/5/19)
・続 西洋・日本美術史の基本(美術検定実行委員会 、2016/5/12)
・「オーバーツーリズム」のリスク、観光地の対応は…白川郷・仁淀川・浅草の現場から(讀賣新聞、2026/1/05)
・世界遺産のある町・北九州サイト
・高炉なくなる「八幡」に交錯 仕事失う危惧と6千億円投資への熱視線(江口悟、朝日新聞、2025/8/11)
・薬師寺東塔 大修理に挑んだ匠たちの現場レポート。「凍れる音楽」は今、どうよみがえったのか?(荻布裕子、中川政七商店、2020/1/26)
・なぜ富士山は世界遺産になったのか(小田全宏、PHP研究所、2013/8/27)
・世界の美術(アンドリュー・グレアム=ディクソン 、河出書房新社、2009/10/22)
・『溺れるナイフ』は中上健次で読み解ける!?特別試写会&クロストークに山戸結希監督らが登壇(MOVIE WALKER PRESS、2016/8/8)
・ユリイカ 2026年6月臨時増刊号 総特集◎中上健次 ―生誕80年―(青土社、2026/5/12)
・ナビCafe スクリーン名場面ロケ地ガイド【今月の映画】『溺れるナイフ』(ナビCafeパナソニック)
・佐渡金山(磯部欣三、中央公論新社、1992/8/1)
・縄文杉トレッキング(屋久島観光協会)
・学校に行けない子どもたち~日本初の不登校専門クリニックから見た最前線 日本における不登校の歴史【第2回】(時事メディカル、2024/9/2)
・ジブリの世界を感じる東北旅(旅東北 東北の観光・旅行情報サイト、2020/10/19)
・青森の絶景スポット4選。白神山地・十和田湖・鶴の舞橋・仏ヶ浦(Amazing Aomori)
・技術への問い(マルティン ハイデッガー 、平凡社、2013/11/8)
・パルテノン・スキャンダル(朽木ゆり子、新潮社、2004/9/18)
・沈黙(遠藤周作、新潮社、1981/10/19)
・Martin Scorsese To Make Noise On ‘Silence’ At Cannes; Emmett/Furla Funding The Film(Mike Fleming Jr、DEADLINE、2013/4/19)
・Quentin Tarantino holds out for HERO(FANGORIA、2004/3/15)
・キネマ旬報ベスト・テン90回全史(キネマ旬報社、2017/7/28)
・九寨溝(「セイナン・スカイ」九寨溝館~四川省中国旅行社)
・青海フフシル(Qinghai Hoh Xil)(UNESCO)
・世界の記憶 高麗大蔵経板および諸経板 (2007)(国家遺産庁)
・海印寺(VISITKOREA)
・記憶の場 1《対立》(ピエール・ノラ、岩波書店、2002/11/8)
・記憶の場 3《模索》(ピエール・ノラ、岩波書店、2003/3/12)
・江戸時代、アンコール・ワットに落書きした武士がいた!?(刀剣ワールド)
・「なぜダメ?」 悪びれず落書きする外国人、掴めぬ真意 日本人武士もかつてカンボジアで #エキスパートトピ(南龍太、Yahoo! Japanニュース、2026/2/8)
・タイ映画「すれ違いのダイアリーズ」 ニティワット・タラートーン監督単独インタビュー(吉田彩緒莉、タイランドハイパーリンクス、2015/9/24)
・ケーン・クラチャーン森林関連遺産群(UNESCO)
・タージ・マハル(UNESCO)
・Mumbai Railway station renamed to Chhatrapati Shivaji Maharaj Terminus(Maharashtra Times、The Times of India、2017/6/30)
・世界遺産 ル・コルビュジエ作品群(山名善之、TOTO出版、2018/3/20)
・ペトラ(UNESCO)
・タタール人の砂漠(ブッツァーティ、岩波書店、2013/4/17)
・東京外国語大学言語モジュール アラビア語 有声・両唇・破裂音
・サンティアゴ・デ・コンポステーラと巡礼の道(グザヴィエ・バラル・イ・アルテ 、創元社、2013/5/10)
・美術の物語(エルンスト・H・ゴンブリッチ、河出書房新社、2024/10/18)
・Grotte Chauvet 2 Ardèche(ショーヴェ・ポン・ダルク洞窟サイト)
・ブルゴーニュのブドウ栽培の景観のICOMOS評価報告書(ICOMOS)
・Le film "Premiers crus" tourné en Bourgogne a été présenté en avant-première(Christophe Tarrisse、franceinfo、2015/9/4)
・Disney reconoce que el Alcázar de Segovia inspiró el castillo de ‘Blancanieves’(Vicente G. Olaya、EL PAÍS、2023/9/26)
・Christopher Nolan’s Top(Criterion、2013/1/29)
・Pen (ペン) 2026年6月号「特集:ガウディとサグラダ・ファミリア」(ペン編集部、CEメディアハウス、2026/4/28)
・羊飼いの暮らし──イギリス湖水地方の四季(ジェイムズ・リーバンクス、早川書房、2018/7/19)
・Sleeping Beauty Castle Walkthrough(Disneyland)
・バイエルン王ルートヴィヒ2世の宮城群: ノイシュヴァンシュタイン、リンダーホーフ、シャッヒェン、ヘレンキームゼー - 夢想から現実へ(UNESCO)
・ハルシュタット=ダッハシュタイン/ザルツカンマーグートの文化的景観(UNESCO)
・■ 研究員ブログ192 ■ 第45回世界遺産委員会はサウジアラビアのリヤドで開催決定!(宮澤光、世界遺産検定、2023/2/1)
・プリモルスキー階段(UNESCO)
・ノンベルグ修道院サイト
・Фильм с трудной судьбой: «Тема»(ウラジーミル地域科学図書館)
・ゴダ-ル的方法(平倉圭、インスクリプト、2010/12/1)
・メテオラ(UNESCO)
・増補新装 カラー版西洋建築様式史(熊倉洋介 他、美術出版社、2010/3/26)
・アートワーカーズ: 制作と労働をめぐる芸術家たちの社会実践(ジュリア・ブライアン゠ウィルソン、フィルムアート社、2024/3/26)
・イスラエル 人類史上最もやっかいな問題(ダニエル・ソカッチ、NHK出版、2023/2/25)
・University Officials Yield to Student Strike in Mexico(Julia Preston,New York Times,1999/6/8)
・グアナフアトの歴史地区と銀山(UNESCO)
・パタゴニア(ブルース・チャトウィン、 河出書房新社、2017/9/5)
・チェ・ゲバラ モーターサイクル南米旅行日記(エルネスト・チェ・ゲバラ、現代企画室、2004/9/24)
・チェ・ゲバラ伝(三好徹、原書房、2001/1/1)
・シドニーのオペラハウス(UNESCO)
・シドニーのオペラハウス、青葉市子公演情報(シドニーのオペラハウス公式サイト)
・パーヌルル国立公園(UNESCO)
・カカドゥ国立公園(UNESCO)
・ニューカレドニアのラグーン:サンゴ礁の多様性と関連生態系(UNESCO)
・ジャン・ルーシュ──映像人類学の越境者(千葉文夫、金子 遊編集、森話社、2019/10/23)
・オリエンタリズム 上(エドワード・W・サイード、平凡社、1993/6/21)
・オリエンタリズム 下(エドワード・W・サイード、平凡社、1993/6/21)
・教養のフランス近現代史(杉本淑彦、竹中幸史、ミネルヴァ書房、2015/6/25)
※サムネイルはキューバの世界遺産「ビニャーレス渓谷」です(筆者撮影)
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