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音楽劇『エノケン』初日観劇レポ🦀|2役で描かれる、笑いと喪失


本田響矢くん、
7年ぶり2度目の舞台、お疲れさまでした!!

久しぶりのnoteです。
雑誌まとめやWEB記事の更新は続けていたのですが、
こうして1本の記事を書くのは、約5カ月ぶりになります。

その間に色んな変化もあり、
以前のように追えない時間が続いていました…

そんな中で迎えた「エノケン」。
正直、行くかどうかはかなり迷いました。
でも——行きました。初日に…!
生の本田響矢を浴びたくて!!

ここからは、
舞台初心者で、本田響矢推しの私が観た
音楽劇『エノケン』のレポになります。
※基本ネタバレなしです。

では、どうぞ。


🥁 第1幕──笑いがまだ希望だった時代

第1幕は、1923年から1937年まで。
エノケン(榎本健一)が喜劇の世界で頭角を現し、
仲間たちと舞台に立ちながら“笑い”を武器に生きていく時代が描かれる。

戦争の気配は少しずつ忍び寄っているけれど、
物語のトーンは全体的に明るく、
「笑わせること」「舞台に立つこと」そのものが原動力になっている。
重たい歴史ものというより、
夢中で何かをやっていた人たちの青春劇という印象に近い。

エノケンを演じる市村正親さんは、ほぼ出ずっぱり。
芸に対して真っ直ぐで、少し身勝手で、
でもなぜか憎めない人物として描かれていて、
“天才”というより“人間くさい喜劇人”として立ち上がってくる。

舞台の進み方はとても速い。
場面や演者の衣装が次々と切り替わり、
笑いが積み重なることで、時代が前へ進んでいく。
舞台に慣れていなくても、
置いていかれる感覚はほとんどなかった。

ただ、この第1幕は、
明るさだけで走り切るわけではない。

物語の終盤、
戦争という現実が、
それまでの舞台に、そっと影を落とす


どれだけの熱意や努力、
そして仲間との絆があっても、
それだけではどうにもならない瞬間がある——
そんな感覚が、静かに残る。


🥁 第2幕──それでも舞台に立つということ


後半は1952年から始まる。
戦争が終わり、社会が前へ進み始めた時代。
けれど舞台が描くのは、
回復ではなく、試され続ける時間だ

エノケンは病によって、
身体が思うように動かなくなる。
舞台から離れるという選択肢が、
現実として突きつけられる。

それでも彼は、
「立ちたいから」ではなく、
立つことを求められてしまう存在として
舞台と切り離せなくなっていく。

家族の時間も、
静かに、しかし確実に変わっていく。
耐えきれない出来事が起きても、
生活は止まらない。
悲しみのあとにも、
時間だけが淡々と続いていく。

この幕で何度も突きつけられるのは、
もう無理かもしれない
という感覚だ。

けれどそのたびに、
舞台に立たないという選択を、
周囲が簡単には許してくれない。

かつて笑わせてもらった人たち。
あの頃のエノケンを忘れられない人たち。
その期待が、
本人の迷いや弱さを置き去りにしたまま、
彼を“求め続ける”。

この第2幕にあるのは、
奇跡のような復活ではない。
拍手のための感動でもない。

諦めたい気持ちと、
求められ続ける現実のあいだで揺れる葛藤

それこそが、
この幕に静かに積み重なっていく重さだった



⏳ 舞台でしか味わえなかった瞬間たち

観終えたあと、
まず強く残ったのは、
舞台の中心に立ち続けていた市村正親さんの存在だ。

ほぼ出ずっぱりで物語を引っ張りながら、
ときどき客席側にまで降りてくる。
舞台って、こんなに近いんだ」
思わず息をのんだ瞬間が、何度もあった。

76歳とは思えない軽やかさとチャーミングさ。
お笑いに熱く、不貞なのにどこか憎めない。
舞台の上には、
理屈では説明できない“昭和の男”の体温があった。

その空気を支えていたのが、
舞台全体のリズムだ。

生演奏のバイオリンとドラムetc...。
客席側から見上げるように響く音は、
“聴く”というより、身体に浴びる感覚に近い。
俳優たちの声、楽器の音、照明の切り替えが重なり、
舞台全体が、ひとつの大きな楽器のように呼吸していた。

気づけば、俳優陣の出番は全員多く、
早替えのスピード感に思わず笑ってしまうほど。
その忙しささえ、
舞台が生きている証”のように感じられた。

そして、特に圧巻だったのが、
松雪泰子さんの2役だ。

前妻・喜世子と、長年想いを寄せられた愛子。
髪型も衣装も大きく変わらないのに、
声を出す前から、もうどちらを演じているかがわかる

“立ち方”ひとつで役が変わる——
女優という存在の凄みを、あの瞬間に見た。
(特に第2幕の晩年、
喜世子のような服を着ているのに、
仕草だけで愛子だとわかった瞬間が一番震えた。)

時間の経過は、書き割りひとつであっさり示される。
けれど、その“数年の年月”の重さを、
役者たちが身体で埋めていく。
そんな舞台だった。


初日の舞台では
観客の8割ほどが女性だと感じた。
(男性キャストが多い作品だから、というのもあるのかもしれない。)

客席を見渡すと、
本田の湯グッズのトートバッグを持っている人が、思っていた以上に多い。
「あ、ぺぱみさんだ」(本田響矢ファンネーム)と、
こちらまでちょっと、うきうきしてしまう。

静かに観る舞台というより、
誰かを想ってここに来ている人たちの空気があって、
初日ならではの温度が、はっきりと伝わってきた。

カーテンコールでは、
客席にいた又吉直樹さんもステージへ。
場の緊張が、ふっとほどける瞬間だった。

そして、市村正親さん。
挨拶の途中で見せた、
ほんの一瞬の「終わった……」という表情。
そこから笑顔に戻り、
誰よりも深く、長いお辞儀をする姿が、強く残っている。

物語の選択に、
すぐには理解しきれない部分も残る。
でもそれもまた、
ノンフィクションだからこその作品なのだろう。

——そんな余韻を残したまま、
舞台は静かに幕を閉じた。


🪅 舞台に“在っていた”本田響矢


この舞台で、本田響矢くんが演じていたのは、
物語を動かす主役ではない。
けれど、確実に物語の重心に関わる存在だ。

本田響矢くんはこの作品で、
エノケンの息子・瑛一と、
劇団員の田島太一という、
2つの役を担っている。

田島太一として舞台に立つとき
そこにはほんのりとした軽やかさがある。
間の取り方や台詞の緩急には、
喜劇の呼吸”があり、
出てきただけで舞台の空気が少し明るくなる。

一方で、瑛一になると、空気は静かに変わる
声の落ち着き、立ち姿の影。
父を尊敬し、家族を想いながら、
それでも自分の人生を探し続けている青年の
揺れが、言葉少なに伝わってくる。

舞台全体で見ると、
彼の出番は1幕で体感として全体の3分の1ほど。
2幕に入ると、
前半のある時点を境に舞台上から姿を消し、
最後のワンシーンまで再び現れることはない。

だからこそ印象に残るのは、
いなくなったあとの重さだった。


♨️ 推しとして観た、本田響矢の舞台顔

ここからは、
少しだけ推しとしての目線で語らせてほしい

まず、田島という役について
この田島は、今までの本田響矢くんでは
あまり見たことのないタイプのチャレンジに感じた。

今年の『すぱいす。』でも、
少しガサツで、熱量のある男の子を演じていたけれど、
そこで見えた新しいポテンシャルを、
演出の又吉さんが拾って、
この舞台でさらに広げたのかもしれない——
そう思うと、推しとしては素直にうれしかった。
新しい一面が見られたことも、もちろん。

一方で、瑛一を観ていると、
正直、最初に浮かんだのは
ジャックフロストの律っぽいな」という印象だった。

でもそれは、役が似ているというより、
私から見て、本田響矢くんが“得意そうに見える人物像
という感覚に近い。

明るめで、育ちが良さそうなのに、
どこか抱えているものがある。
感情を大きくぶつけるわけではなく、
内側に溜め込んだものが、
ふとした瞬間に滲む——
このタイプの役を演じているときの本田響矢くんは、
やっぱり目が離せなくなる。

本人がこのタイプを
「得意」と思っているかは、正直わからない。
でも、観ている側としては、
この空気を纏ったときの彼には、
自然と視線が引き寄せられてしまう。

(ちなみに私は、
この系統だと『セレブ男子は手に負えません』の律が一番好きです。)

そして、今回本人のインタビューで
瑛一という役を掴むのが難しかった
語っていたことも思い出した。

父のことを尊敬していると言いながら、
ほとんど家にいなかった父。
母よりも、別の女性を選んでいるように見える父。

正直、観ている私自身も、
「息子として、仕事以外のどこを尊敬できるんだろう?」
と、何度も引っかかった。

だからこそ、
彼が「難しかった」と言っていた理由は、
とても腑に落ちた。

それでも、舞台上の瑛一には、
不思議と嘘がなかった。


ぐれなかったこと。
母を大事に思っていること。
人を疑いすぎずに育った感じ。

そういう“育ちの良さが滲み出る佇まい”が、
この息子が父を素直に尊敬できた理由として、
静かに立ち上がっていたように思う。

そして、瑛一の死の場面。
客席のあちこちから、
小さなすすり泣きが聞こえた。

前半の仲間との別れでは、
ここまで空気は揺れていなかった。
でもあの瞬間は、
「若い命が、確かに消えた」
という感覚が、劇場に残った気がする。

それは、
“推しが出ているから泣いた”というより、
ひとりの人生を見送ってしまった感覚に近かった。


瑛一が舞台から消えたあと、
その空白は、思った以上に重かった。

でも、その重さこそが、
この役を本田響矢くんが“生きていた”証
なんだと思う。

——そして、カーテンコール。

少し緊張した面持ちで立っていて、
とても丁寧で、静かなお辞儀。

カーテンが右側に向かって閉まっていく中、
もう右側の人にしか見えないはずの方向へ、
ちゃんと身体を向けて最後まで手を振っていた。

ああ、こういうところよ…
らしさが出るのは。
メロいぜ…

推しの
この姿を見送れたこと自体が、
行ってよかったと思えた瞬間でした。

(YouTubeに初日のカテコあると思うのでよかったらみてみてね)これです↓ ↓ ↓


🎶 片耳で観た、『エノケン』

最後に、
今日この舞台を観た私自身のことを、少しだけ。

5ヶ月前から左耳が聴こえなくなりまして…
だいすきな映像作品も字幕に助けられながら観ている日々です。
補聴器もまだ試行錯誤中で、
音の世界が少し変わったな、と感じることが増えました。

だから舞台を観に行くのは、
正直ちょっと迷った…
生の舞台って巻き戻せないし、
聞き逃したら終わりだから。

でも実際に劇場に座ったら、
その不安はすぐ消えました!!

音の振動とか、
照明が切り替わる一瞬の空気とか。
耳で「聞く」っていうより、
身体で受け取ってる感覚のほうが多くて、
片耳だからこそ拾えたものもあった気がする!

歌は歌詞が聞き取れないところはあったけど、
パンフレットに載っていた!!(ありがたやあ)


そして!
この舞台、なんと配信も始まった!!!!!!
何回も戻って、確かめられるのありがたい。
正直、めちゃくちゃ助かる。

きっと配信で観たら、
また違う本田響矢くんが見えると思う。
だからこのレポは
繰り返し配信を観る前に感じた私のレポです!!また配信みたら追記するかもです。笑

耳の調子は気まぐれだけど、
それでも舞台は、ちゃんと届きました🫶

🎬 これから観る人へ —エノケンがくれるもの


『エノケン』は、
観た人にも、まだ観ていない人にも、
それぞれに“持ち帰れるもの”がある舞台
だと思う!

まず、脚本のテンポがとても良い。
重たい題材を扱いながらも、
笑いと静けさが、呼吸するように交互に流れていく。

観ている途中で、
「ああ、又吉さんの作品だな」と思う瞬間が何度もあった。
しっかり笑えるところがある
のに、どこか救いきれない。
努力や情熱だけではどうにもならない感じを、
声高に語らず、そっと置いていく距離感。
正直、もっと難解なのかなと想像していたけれど、
とても地に足のついた、感情を追いやすい脚本でした!

市村正親さんは、
ほぼ出ずっぱりとは思えないほど軽やかで、
76歳とは信じられないパワーチャーミングさ。
舞台上に立っているだけで、空気が変わる。

松雪泰子さんは、
二役を声と佇まいだけで鮮やかに切り替え、
愛子の可愛さ、喜世子の凛とした強さを、
一瞬で伝えてしまう存在感だった。

そして本田響矢くん
揺れる息子・瑛一と、軽やかな田島太一。
この真逆2つの役を、
声の色、空気のまとい方で自然に演じ分けていて、7年ぶりの舞台で、
“舞台俳優としての顔”がはっきり見えた気がする。

ひとつだけ補足すると、
この作品が描いているのは、
「芸人エノケンの面白さ」そのものではなく、
ひとりの人として、どう生きたかという側面。


だからもし余裕があれば、
YouTubeなどで当時のエノケン本人の映像を
ひとつだけでも観てから舞台に触れると、
作品との距離がぐっと縮まると思う。
笑いの天才が、家庭の中でどんな表情をしていたのか。
そのギャップも、この舞台の味わいのひとつだ。

そして今、『エノケン』は配信も始まっている
12/21(日)まで購入可能なので、
少しでも気になった人は、
ぜひ一度覗いてみてほしい。
ちなみに大千穐楽カーテンコール付です🌿

エノケン公式HP引用

🔗エノケン公式配信

💡 こんな人におすすめ💡
• 🎭 連日完売の話題作が気になっている人
• 📺 自分が観た回との違いを見つけたい人
• 🌱 出演者の中に、気になる俳優がいる人
• 💭 観たあとに、もう少し理解を深めたい人
• 📚 又吉直樹“初長編戯曲”に触れてみたい人


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💬 最後まで読んでくださって、ありがとうございます!
「♡」で反応もらえると、とても励みになります☺️
他にも、本田響矢くんについて色々書いてるので
よかったら、のぞいていってください🫶

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🎬 作品レビュー・感想まとめ

🌸『波うらかに、めおと日和』原作比較レビュー
▶︎ 第1話|▶︎ 第2話|▶︎ 第3話
▶︎ 第4話|▶︎ 第5話|▶︎第6話
▶︎ 第7話|▶︎ 第8話|▶︎ 第9話
▶︎第10話(最終話)

他作品レポ▼▽
🦀 『音楽劇 エノケン』
🍛 『すぱいす。』
📸 『ANIMALAS』
『BACK TO THE STORIES』

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🎥本田響矢 YouTubeまとめ
▶︎動画インタビュー|▶︎出演MV

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気になった方はこちら👇
• 舞台配信:[エノケン公式配信
• 販売期間12/21(日)20時まで
• 東京クリエ公演回&大千穐楽カーテンコール

📖 パンフレット・公式資料
• 公演パンフレット( 紙  電子 

🎞 エノケンを知る(予習・補足)
• YouTube:当時の榎本健一の喜劇映像
• YouTube:制作発表などの映像
• 公式HP:あらすじ

🛍 公演グッズ
• 通販:12/21(日)まで

最後までご覧いただきありがとうございました🌙

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