漫画原作コンテストに挑戦

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WORKS
募集作品
10代後半〜30代前半の男性読者が
夢中
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エンターテインメント
作品
バトル、スポーツ、ミステリー、SF、ファンタジーなど、ジャンルは問いません。
SUBMISSION
提出内容
第1話の脚本
従来の「漫画の1話」のイメージにとらわれる必要はありません。
従来の「漫画の1話」のイメージに
とらわれる必要はありません。
第1話 届かなかった手
夏の午後、三時を少し過ぎていた。
住宅街を抜ける道路に、強い日差しが照りつけている。
片側一車線の道路が、信号のある交差点で十字に交わっていた。
角にはコンビニがある。向かい側には小さな公園があり、金網の向こうでブランコが風に揺れていた。
横断歩道の前では、買い物袋を持った女性と、会社員らしい男性が信号を待っている。
信号が青になった。
女性が歩き出す。
男性も続く。
「りっくん、早く!」
横断歩道の向こう側で、陽菜が振り返った。
八歳の陸より二つ下の妹だった。
肩まで伸びた黒い髪。その髪を黄色いヘアピンで留めている。
「待って、陽菜!」
陸は走った。
背中には小さなランドセル。
右手には、陽菜から預かった水筒を握っている。
陽菜は横断歩道の真ん中まで進んでいた。
陸はまだ道路のこちら側にいる。
そのときだった。
交差点の右側から、白い乗用車が入ってきた。
速度はそれほど出ていない。
だが、車は止まらなかった。
陽菜は前を見ている。
陸は車を見た。
「陽菜!」
声が届いた。
陽菜が振り返る。
目が合った。
その一瞬、陸には全部がゆっくりに見えた。
白い車。
横断歩道。
陽菜の黄色いヘアピン。
赤に変わりかけた信号。
そして、陽菜の小さな手。
「りっくん!」
陸は走った。
一歩。
二歩。
三歩。
水筒が手から落ちた。
ガシャン、と道路に転がる。
陸は気にしなかった。
あと五メートル。
四メートル。
三メートル。
「陽菜!」
陸は手を伸ばした。
陽菜も手を伸ばした。
指先が触れた。
あと少しだった。
陸は陽菜の手をつかもうとした。
だが、指が滑った。
その直後、ブレーキの音が交差点に響いた。
キキィィィ――。
陽菜の身体が横に飛んだ。
黄色いヘアピンが外れ、道路の上を転がっていく。
陸はその場に倒れた。
「……陽菜?」
返事がない。
交差点にいた人たちが一斉に走ってくる。
「救急車!」
「子どもがいる!」
「動かさないで!」
白い車の運転席から男が降りてきた。
コンビニから店員も出てきた。
信号が赤に変わる。
車の流れが止まった。
陸は道路に手をついた。
手のひらに小さな石が食い込んでいる。
立ち上がろうとした。
足が動かない。
「陽菜……」
少し先に、黄色いヘアピンが落ちていた。
陸は這うように近づいた。
ヘアピンを拾う。
小さな黄色い花の形をしていた。
「陽菜……」
涙が出てきた。
救急車のサイレンが近づいてくる。
赤いランプが交差点の建物を照らす。
陸はヘアピンを握った。
強く握りすぎて、指に跡がついた。
「ごめん……」
誰にも聞こえない声だった。
「ごめん、陽菜……」
救急隊員が陸の横を走っていく。
大人たちの声が重なる。
サイレンが鳴り続ける。
陸はその場から動かなかった。
握りしめた手の中に、黄色いヘアピンがある。
さっきまで、その手は陽菜の手をつかもうとしていた。
届かなかった。
その日から、陸は走るようになった。
もっと速く。
次は、間に合うように。
キャッチコピー
過去に届かなかった手を、少年は「もっと速く」と追い続けた。野球、世界、家族、そしてオリンピック。走る理由を変えながら、40年を駆け抜ける男の物語。
『シャトル・ラン』
――速く走ることしか知らなかった少年が、人生をかけて「走る意味」を見つけていく物語。
作品コンセプト
八歳の夏、神崎陸は妹・陽菜を交通事故から救えなかった。
ほんの数メートル。
ほんの一秒。
伸ばした手は、陽菜の手をつかめなかった。
その日から陸は「もっと速く」を追い始める。
中学では陸上選手として記録を伸ばし続ける。しかし、どれだけ速くなっても、過去に戻ることはできない。
高校では、幼い頃から想いを寄せていた白石美咲が野球部のマネージャーをしていることを知り、野球部へ入る。
野球は下手だった。
ボールも捕れない。
バットにも当たらない。
ただ一つだけ、誰にも負けないものがあった。
「足」だった。
ある夏、甲子園予選の最終回。
二死満塁、一点差。
負傷した打者に代わり、陸が代走としてグラウンドに立つ。
そこで美咲からかけられた言葉が、陸の「走る理由」を変える。
これまで陸は、過去を取り戻すために走っていた。
しかし、その日初めて、
「誰かのために走る」
という意味を知る。
この作品の最大の魅力
『シャトル・ラン』は、陸上、野球、プロ野球、メジャーリーグ、家族、そしてマラソンへと舞台を変えていく。
しかし、物語の中心にあるものは一つ。
「走る理由」
である。
少年時代は、
「間に合いたい」
ために走る。
高校では、
「仲間を勝たせたい」
ために走る。
プロでは、
「野球選手として勝ちたい」
ために走る。
メジャーでは、
「世界で自分を試したい」
ために走る。
家族を持てば、
「家族を守りたい」
と思う。
そして現役を引退したとき、陸は初めて気づく。
誰かのために走ってきた自分には、
「自分は何のために走るのか」
という答えが残っていない。
四十歳。
野球を辞めた陸は、もう一度走り始める。
今度は野球のためではない。
誰かに勝つためでもない。
過去を取り戻すためでもない。
自分自身のために走る。
そして最後に陸が向き合うのは、幼い頃に届かなかった妹への手と、自分の背中を見て走り始めた次の世代である。
世界観・物語の広がり
この作品では、主人公の人生そのものが舞台を変えていく。
少年時代
交通事故と妹との記憶。
中学時代
陸上競技。
「もっと速くなれば、何かを変えられる」
という思いから、ひたすら走る。
高校時代
野球との出会い。
野球初心者だった陸が、圧倒的な走力を武器にチームの勝利へ貢献していく。
やがて守備、打撃も身につけ、本物の野球選手へ成長する。
プロ野球
ドラフトを経てプロへ。
速さだけでは通用しない世界で、守備、打撃、判断力を身につける。
日本を代表する外野手へ。
メジャーリーグ
さらに世界へ。
言葉、文化、野球そのものの違い。
日本では通用した武器が、世界では簡単に通用しない。
そこで再び「もっと速く」という原点に戻る。
家族
美咲との結婚。
子供が生まれ、陸の人生に新しい「守るもの」ができる。
しかし、子供には子供の人生がある。
父親と同じ道を歩く必要はない。
引退
四十歳。
野球を終えた陸は、長い人生で初めて「走る目的」を失う。
マラソン
再び走り始める。
今度は百メートルではない。
42.195キロ。
一瞬の速さではなく、人生そのものを背負って走る競技。
そしてオリンピックを目指す。
主なキャラクター
神崎陸
物語の主人公。
最大の武器は「最初の一歩」。
一度走り出したときの加速力は圧倒的。
しかし最大の弱点は、「自分一人で何とかしようとすること」。
幼い頃に妹を救えなかった経験から、「間に合わないこと」を極端に嫌う。
物語を通して、
「速ければいい」から「どこへ走るのか」へ
考え方が変わっていく。
白石美咲
陸と同学年。
高校では野球部のマネージャー。
陸の速さだけを見るのではなく、陸自身を見る人物。
陸にとって最初の「走る理由」を変える存在になる。
ただ主人公を支えるだけのヒロインではなく、自分自身の人生と目標を持つ。
神崎陽菜
陸の妹。
幼い陸の記憶の中に残り続ける存在。
物語の始まりと終わりをつなぐ重要なキャラクター。
陸が「過去を取り戻すために走る」という考えから抜け出すための鍵になる。
神崎恒一
陸の父。
自動車整備工場を営む。
陸の走る人生を最も近くで見てきた人物。
陸が速さだけを追い続けることに対して、何度も別の視点を与える。
佐伯大地
高校時代のチームメイト。
捕手。
明るく、よく喋る。
陸とは正反対の性格だが、誰よりも陸を理解する友人になる。
陸が「一人で戦う」ことをやめるきっかけを作る。
鷹野恒一
高校時代の強敵。
投手。
完璧主義者で、自分の力を才能ではなく努力で証明しようとする。
陸とは「速さ」と「投球」という違う武器を持つライバル。
高校時代だけではなく、陸の人生に長く関わる存在になる。
神谷恒一
プロ野球時代のライバル。
センターの守備と強肩を武器にする。
「日本一の外野手」という座をめぐって陸と競い合う。
陸にとって、初めて「速さだけでは勝てない」と思い知らされる相手。
ジャック・ウィリアムズ
メジャーリーグ時代のライバル。
圧倒的な身体能力を持つ選手。
最初は陸を日本から来た小柄な選手として見ているが、やがて互いを認めるライバルになる。
神崎蓮
陸と美咲の息子。
父親の背中を見て育つ。
野球を選ぶのか、別の道を選ぶのか。
重要なのは「父親と同じ道を歩くこと」ではない。
父親の生き方を見た上で、自分自身の道を選ぶこと。
物語の最後に、蓮が走り始める。
そこに陸は自分の少年時代を見る。
物語のテーマ
この作品では、同じ「走る」という行動が、人生の段階によって意味を変えていく。
過去のために走る。
↓
誰かのために走る。
↓
勝つために走る。
↓
家族のために走る。
↓
自分のために走る。
↓
次の世代へ渡す。
速さそのものが主人公なのではない。
「なぜ人は走るのか」
それが、この作品のテーマである。
タイトル『シャトル・ラン』の意味
シャトル・ランは、同じ場所を何度も往復する。
陸の人生も同じだった。
過去と現在。
日本と世界。
野球と陸上。
少年と大人。
父と子。
何度も行ったり来たりしながら、少しずつ前へ進んでいく。
そして最後には、過去へ戻るために走っていた少年が、
未来へ走る子供の背中を見送る。
その瞬間、陸は初めて「走る」ということの本当の意味を知る。
最後に残したい一枚
少年が走っている。
少し離れた場所から、父親になった陸が見ている。
少年の影が一瞬だけ、幼い頃の陸の姿と重なる。
陸は追いかけない。
ただ笑って言う。
「行ってこい」
少年は振り返らず、そのまま前へ走っていく。


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