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#21|若くて元氣でも、なぜ熱中症になる?──仕事・スポーツに潜む危険

熱中症シリーズ
〜命を守る完全ガイド〜

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熱中症から命を守る

知らなかったでは済まされない、
予防・後遺症・暑さに備えるカラダづくり

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第3章|熱中症になりやすい人・環境を知る

#21|若くて元氣でも、なぜ熱中症になる?──仕事・スポーツに潜む危険

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「若いから大丈夫。」

「普段から運動しているから大丈夫。」

「体力には自信がある。」

「これくらいの暑さなら、まだ頑張れる。」

仕事やスポーツをしていると、

そんなふうに考えてしまうことがあります。

たしかに、

高齢者や子どもには、それぞれ熱中症になりやすい理由があります。

しかし、

だからといって、

若くて元氣な人なら熱中症にならないわけではありません。


むしろ、

屋外での仕事。

スポーツ。

部活動。

イベント。

長時間の作業。

こうした場面では、

元氣だからこそ動き続けてしまい、

氣づいたときには熱中症が進んでいることがあります。

今回、知ってほしいのは、

「体力があること」と「暑さに耐えられること」は、同じではない。

ということです。



■|仕事やスポーツでは、カラダ自身も熱をつくっている

暑い日に熱中症になると聞くと、

多くの人は、

「外から暑さを受けること」

を想像すると思います。

しかし、

仕事やスポーツでは、

もう一つ考えなければならない熱があります。

それが、

カラダの中でつくられる熱です。

筋肉を動かせば、

カラダはエネルギーを使い、

その過程で熱が生まれます。

歩く。

走る。

荷物を運ぶ。

物を持ち上げる。

自転車に乗る。

スポーツをする。

活動量が増えるほど、

カラダの中では多くの熱がつくられます。

つまり、

仕事やスポーツをしている人は、

外から暑さを受けるだけではなく、

自分のカラダでも熱をつくりながら活動している

ということです。

そして、

つくられた熱を十分に外へ逃がせなくなれば、

若くても、

鍛えていても、

カラダの中に熱はたまっていきます。



■|「体力があるから大丈夫」が危険な理由

普段から運動している人。

体力に自信がある人。

若くて健康な人。

こうした人は、

暑い中でもある程度活動を続けられることがあります。

しかし、

活動を続けられることと、安全であることは別です。

ここは、とても大切です。

「まだ走れる。」

「まだ働ける。」

「まだ話せる。」

「まだ倒れていない。」

だから、

大丈夫。

とは限りません。

熱中症は、

カラダが動かなくなった瞬間に突然始まるわけではありません。

暑さの中で活動を続け、

カラダに入る熱や、カラダがつくる熱が、

外へ逃がせる熱を上回っていけば、

少しずつ熱がたまっていきます。

元氣に動けていることを、安全の証拠にしない。

これは、

仕事でもスポーツでも覚えておいてほしい考え方です。



■|仕事では「もう少し」が積み重なりやすい

仕事の場合、

暑いと感じたからといって、

すぐにやめられるとは限りません。

「ここまで終わらせよう。」

「あと少しだから。」

「みんな働いているから。」

「自分だけ休むわけにはいかない。」

「仕事だから仕方がない。」

そんな状況もあると思います。

しかし、

熱中症は、

仕事が終わるまで待ってくれるわけではありません。

作業を続ければ、

その間もカラダは熱をつくり続けます。

だからこそ、

職場での熱中症対策は、

本人の体力や自己管理だけに任せるものではありません。

2025年6月には労働安全衛生規則が改正され、

一定の暑熱環境で行われる作業について、

熱中症のおそれがある人を早く見つけ、

適切に対応するための体制づくりや手順の整備などが、

事業者に義務づけられました。

これは、

職場の熱中症が、

「本人が氣をつければいい問題」ではないことを示しています。



■|スポーツでは「頑張ること」が危険につながることがある

スポーツでは、

頑張ること。

苦しいところから粘ること。

最後までやり切ること。

こうした姿勢が大切にされる場面があります。

しかし、

暑さの中では、

その価値観を一度切り離して考える必要があります。

暑くても練習を続ける。

体調がおかしくても我慢する。

周りが続けているから、自分も続ける。

試合だから無理をする。

こうした行動は、

熱中症を進行させる可能性があります。

日本スポーツ協会では、

スポーツ活動中の熱中症を防ぐために、

暑さ指数(WBGT)に応じて、

運動を軽くする。

激しい運動を中止する。

場合によっては、運動そのものを原則中止する。

という指針を示しています。

つまり、

暑い日のスポーツでは、

「どこまで頑張れるか」ではなく、「今日はどこまでなら安全なのか」を考える必要がある

ということです。



■|部活動でも「みんなと同じ」で判断しない

特に注意したいのが、

学校の部活動やチームスポーツです。

同じ場所で、

同じ練習をしていても、

全員が同じ状態とは限りません。

暑さへの慣れ方。

その日の体調。

水分の状態。

疲労。

体格。

運動強度。

さまざまな条件によって、

熱中症へのなりやすさは変わります。

一人が平氣だから、

全員が平氣とは限りません。

周りが走っているから。

監督やコーチが見ているから。

仲間に迷惑をかけたくないから。

そんな理由で、

自分の異変を隠してしまうこともあります。

しかし、

体調の異変を伝えることは、弱さではありません。

命を守るために必要な行動です。



■|イベントやレジャーでも起こる

熱中症のリスクがあるのは、

仕事や本格的なスポーツだけではありません。

夏のイベント。

フェス。

スポーツ観戦。

テーマパーク。

キャンプ。

アウトドア。

長時間の行列。

こうした場面でも、

歩き続けたり、

長時間立っていたり、

暑い場所で活動したりすることで、

カラダには少しずつ負担がかかります。

しかも、

楽しいときほど、

自分の体調変化より、

目の前のことを優先してしまうことがあります。

「せっかく来たから。」

「もう少しだけ。」

という氣持ちが、

休むタイミングを遅らせることもあります。

熱中症は、仕事中だけでも、運動中だけでもありません。

暑さの中でカラダを動かし続ける場面には、

いつでも起こる可能性があります。



■|「根性」で暑さに勝つことはできない

暑い。

苦しい。

少し氣持ちが悪い。

頭が痛い。

フラフラする。

それでも、

「氣合いが足りない。」

「このくらいで休むな。」

「昔はもっと厳しかった。」

そんな言葉で活動を続けさせてしまえば、

本来止められたはずの熱中症を、

進行させてしまう可能性があります。

暑さに対して、

根性や精神力で、

カラダの熱を外へ逃がせるようになるわけではありません。

水分不足がなくなるわけでもありません。

体温調節の限界が消えるわけでもありません。

だから、

熱中症に対して必要なのは、

我慢ではなく、

カラダの状態を見て、行動を変えることです。



■|安全を決めるのは「若さ」ではなく、その日の条件

高齢者だから危ない。

子どもだから危ない。

それは間違いではありません。

しかし、

その裏側で、

「自分は若いから大丈夫。」

と思ってしまえば、

それ自体が、危険な思い込みになります。

若くても。

健康でも。

運動習慣があっても。

体力に自信があっても。

暑い環境と、

激しい活動と、

さまざまな条件が重なれば、

熱中症になる可能性があります。

大切なのは、

「自分は熱中症になる人か、ならない人か。」

と考えることではありません。

「今日の自分は、この環境で、この活動を続けて大丈夫なのか。」

と考えることです。



■|今日からできること

仕事やスポーツをするときは、

年齢や体力だけで安全を判断しないでください。

暑い日は、

「いつもできているから。」

ではなく、

その日の環境と、

その日のカラダを見て判断する。

少しでも異変を感じたら、

早めに活動を止める。

休む。

周囲に伝える。

そして、

一人で我慢しない。

指導する立場や、

一緒に働く立場の人も、

「本人が何も言っていないから大丈夫。」

と考えず、

周囲から声をかけることが大切です。

熱中症から命を守るために必要なのは、限界まで頑張る力ではありません。

限界になる前に、やめる判断ができることです。



■|まとめ

若くて元氣でも、

熱中症になります。

仕事やスポーツでは、

外から受ける暑さに加えて、

カラダを動かすことで、

自分自身も熱をつくっています。

さらに、

仕事だから。

試合だから。

部活だから。

みんな頑張っているから。

という理由で、

活動を止めにくくなることがあります。

だからこそ、

体力や根性を、

安全の基準にしてはいけません。

「まだできるか」ではなく、

「このまま続けて安全か。」

そこを考える。

そして、

必要なときには、

止まる。

休む。

伝える。

その判断が、

自分自身だけでなく、

仲間や同僚の命を守ることにつながります。


|次回予告

次回は、

#22|持病や薬だけじゃない──熱中症リスクを高めるカラダの状態

についてお伝えします。

熱中症のリスクを高めるのは、

年齢や暑い環境だけではありません。

持病。

服用している薬。

身体機能の低下。

認知機能の変化。

そして、

自分で水分を取ったり、

暑さを避けたりすることが難しい状態。

こうした条件も、

熱中症の起こりやすさに大きく関係します。

次回は、

「どんなカラダの状態が、熱中症のリスクを高めるのか。」

を考えていきます。



|参考・出典

厚生労働省
|職場における熱中症対策の強化について

職場での熱中症の重篤化を防ぐため、2025年6月1日から施行された改正労働安全衛生規則における、報告体制の整備、対応手順の作成・周知などについて参考にしました。

公益財団法人 日本スポーツ協会
|熱中症予防のための運動指針/スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック

スポーツ中の熱中症リスク、運動による体温上昇、暑さ指数(WBGT)に応じた運動の中止・軽減、休憩などの考え方について参考にしました。

環境省
|熱中症予防情報サイト

暑さ指数(WBGT)と運動に関する指針、暑熱環境における熱中症リスクの考え方について参考にしました。

※本記事の内容は、執筆時点で公的機関が公表している情報をもとに作成しています。症状や体調には個人差があります。体調に異変を感じた場合や、熱中症が疑われる場合は、自己判断だけで済ませず、必要に応じて医療機関への相談・受診や救急要請を行ってください。



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今回の記事でお伝えしたように、

「体力があるから大丈夫。」

とは限りません。

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|シリーズ一覧

第1章|熱中症の正体を知る(全9記事・公開済)

「熱中症とは何か」から始まり、体温調節の仕組み、発症メカニズム、重症化する理由まで、熱中症の本質を体系的に学べる章です。

第1章|熱中症の正体を知る

🟠 #0|なぜ今、熱中症を学ばなければならないのか

熱中症を今学ぶ必要性と、本シリーズを通して身につけてほしい知識と行動について解説しています。

🟠 #1|熱中症とは何か──まず知っておきたい基本

熱中症の定義と、体温調節が破綻することで起こる病態の基本を解説しています。

🟠 #2|熱中症を防ぐ体温調節の仕組み──人はなぜ体温を保てるのか

人間が体温を一定の範囲に保つために働く、汗や皮膚血流などの体温調節機能を解説しています。

🟠 #3|熱中症はどう起こる?──カラダの中で起きていること

熱中症が発症するまでに、熱・血液・水分・脳や臓器にどのような変化が起きるのかを解説しています。

🟠 #4|熱中症は誰でもなる──「自分は大丈夫」が一番危ない

年齢や体力に関係なく、誰にでも熱中症が起こる可能性がある理由を解説しています。

🟠 #5|熱中症は予防できる──起きる前の判断が命を守る

熱中症を防ぐために必要な基本的な考え方と、早い段階で行動を変える重要性を解説しています。

🟠 #6|熱中症になると何が起こる?──全身に及ぶ影響

熱中症が進行したとき、脳・心臓・血管・腎臓・筋肉・肝臓・血液凝固など、全身へどのような影響が及ぶのかを解説しています。

🟠 #7|熱中症が命を奪う理由──死亡と後遺症を防ぐために

熱中症が重症化すると、なぜ死亡や後遺症につながることがあるのか。命を守るために知っておきたい危険性と、早期対応の重要性を解説しています。

🟠 #8|第1章まとめ──熱中症を正しく知ることが命を守る第一歩

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第2章|熱中症の症状を知る

熱中症では、どのような症状が現れるのか。

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🔵 #17|第2章まとめ──熱中症の症状を知ることが命を守る

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第3章|熱中症になりやすい人・環境を知る

熱中症は誰にでも起こる可能性がありますが、その危険性は年齢、体調、持病、生活環境、活動内容などによって変わります。

第3章では、「危険な人」を決めつけるのではなく、どんな危険な条件が重なっているのかを見て、熱中症になる前に危険を予測する力を身につけていきます。

🟢 #18|熱中症はどんな人がなりやすい?──リスクを知ることが予防の第一歩

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🟢 #19|高齢者はなぜ熱中症になりやすい?──加齢による変化を知る

加齢によって、暑さやのどの渇きを感じにくくなり、体温調節機能なども変化します。高齢者が熱中症になりやすい理由と、本人の感覚だけに頼らず、周囲が見守ることの大切さを解説しています。

🟢 #20|こんなに氣をつけているのに、なぜ子どもが熱中症になるのか?

帽子や水分補給などに氣をつけていても、子どもが熱中症になることがあります。子ども特有のカラダや行動の特徴と、周囲の大人がさらに一歩先回りして守るために知っておきたいことを解説しています。

🟢 #21|若くて元氣でも、なぜ熱中症になる?──仕事・スポーツに潜む危険(今回の記事)

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