読書メモ:八咫烏⑧追憶の烏
一気読みした八咫烏シリーズの読み直し、第8巻「追憶の烏」。短編集を間に挟み、前巻「楽園の烏」より前の時世、雪哉の冷酷さに磨きがかかった経緯が描かれる。
全般的に辛く切なく、寂しい巻。
冒頭早々の雪哉の名乗りが「垂氷の」ではなく「北家の」となっていて、あんなにこだわっていたのに…という変化を感じる。
聡明な紫苑の宮が女金烏となっていくのかと思いきや、藤波による奈月彦暗殺。そしてサイコパスあせびが産んだダメ父・捺美彦との間に生まれた息子が擁立される。捺美彦はあせびの母の浮雲LOVEじゃなかったんかい。
分かりやすく対立する南家もさることながら、東家の恐ろしさよ。
雪哉は、愛情深い男である分、弱みが多い。そして、合理的であるがゆえに、付け込む隙もまた多いと見込んでいた。
そう動かざるを得ないようにお膳立てしてやれば、彼は利用しやすい部類なのだ。
どんなに憎い相手だろうが、どれほど恨みが深かろうが、雪哉は、目の前に実があれば、それを過たず手に取れる男だ。たとえ主君を殺されようが、仇討ちのために山内全体を巻き込むことはしないだろうという確信があった。
奈月彦が暗殺されたとき、雪哉は外界に留学していたから、以前「勝手に死んでください」と言い放った雪哉の言葉を、長い時間を経て回収したといえる。主を選ばず闇落ちした雪哉を救えるのは、紫苑の宮だけだと思うのだけど…。
「姫さま」
ややあって、雪哉は静かな声を出した。
「私と、逃げては下さいませんか」
姫宮が息を呑む。
治真も、信じられない思いで雪哉を見た。
その表情からは何を考えているのか読み取れなかったが、治真には、彼の目が今にも泣きそうな、縋るような光を湛えているように思えてならなかった。
明留、いいやつだったな。
千早のじっと悲しみに耐える感じが、辛い。
前巻に登場した「幽霊」の正体は、最後まで明かされず。
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八咫烏シリーズ読書メモ
